渋野日向子は最後も「笑けた」。やっぱりシブコが令和最強のヒロイン

12月2日(月)6時20分 Sportiva

 LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(11月28日〜12月1日/宮崎県)の開催コースである宮崎カントリークラブは、13番パー5と17番パー4のグリーンが隣接するレイアウトだ。

 最終日もバックナインに入り、賞金女王を争う別組のふたりの運命もまた、ここで交錯した。

 賞金女王レースのトップに立つ鈴木愛は最終日、首位と6打差の通算1アンダー、12位タイでスタートしたが、彼女がまず17番で、この日6つ目のバーディーを奪った。

 大きな歓声が沸き起こると、やがて隣の13番グリーンではさらに大きな、地鳴りのような歓声が起きる。

 鈴木を追う賞金ランキング3位の渋野日向子が、12番(パー3)に続くバーディーを決め、首位に立っていたペ・ソンウに1打差に迫ったのだ。

「優勝しか狙っていない」と話してきた鈴木が、大きく順位を上げている。そのため、渋野が逆転で賞金女王に輝くためには、この時点で優勝することが絶対条件となっていた。

「その時点で(トップの)スコアは見ていなかったですね。正直、一日を通して、優勝がちらついた場面はまったくなかったです。ほんと、まったくなかった。10番のバーディパットが入らなかった時点で、『あ、今日は終わったな』と思いました」

 渋野にとっては、苦しい一日だった。ティーショットがフェアウェーをとらえ切れず、持ち味であるショットも前半から左右にぶれ、セカンドがピンにからまない。

「なかなかチャンスにつけられず、『つけた』と思えば、(パットが)入らない……」

 初日は4パットのボギーを叩き、3日目はもう少しでチップインイーグルを決めそうだった9番パー5では、第2打が4日間で初めてグリーン手前のガードバンカーに飛び込み、その第3打が高いアゴに当たって跳ね返る、という大ピンチに直面した。それでも、4打目をピンまで約2mに寄せて、なんとかパーをセーブし、難を切り抜けた。

 耐えた前半はバーディーがひとつもなかったが、ボギーもなかった。チャンスホールの11番パー5でもパーがやっと。ようやくスコアが動いたのが、12番パー3だった。9番アイアンで放った第1打が、ベタッとピン横30cmの距離につく。

「11番のロングでティーショットがバンカーに入って、セカンドはダフって、サードも左に引っかけて。パーで終わったあと、キャディーさんに『ボールを見ることを意識したほうがいい』と言われたんです。たしかに力が入りすぎて、ボールをしっかり見ていなかった。そこに集中して打ったのが、12番のベタピンでした」

 そして前述のとおり、13番でもスコアを伸ばした。だがその後、最終組のペ・ソンウが瞬く間にスコアを伸ばして、通算11アンダーとした。

 追う渋野は15番(パー4)でボギーを叩いて、事実上の終戦となり、賞金女王への道も途絶えた。


今季最終戦を2位タイで終えた渋野日向子

 しかし、崩れたままでは終わらず、最後は笑顔で締めくくるのが、渋野だ。18番(パー4)のティーショットは「今日イチだった」というロングドライブとなり、「ダフって乗せるのは、今日の私を象徴していて、笑けました」と言う第2打は、ピン横2.5mに。

「最後、入ったら気持ちよく終われるんだろうなと思ったし、あそこまで寄ったなら、『決めたい』という気持ちが強かった。スッキリする終わり方でした。入った瞬間は、安堵! いや、笑いしか出なかったですね」

 逆転賞金女王はならなかったものの、賞金ランキングは申ジエを抜いて2位となった。

「(賞金女王を逃した)悔しさはないです。(賞金ランキング)2位という結果は、神様が『この一年間、よくがんばったね』というご褒美を与えてくれたのかもしれないし、『まだ1位になるのは早い』という試練を与えてくれたのかな、とも思います」

 国内でメジャーを含む4勝を挙げ、海外メジャーの全英女子オープン制覇によって国民のヒロインとなった。シード権取得を目標にしていたシーズン当初からすれば、想像だにしなかった、飛躍のシーズンとなった。

「今年1年を漢字一文字で? うーん、『謎』。いろんな意味で謎です(笑)」

  シブコ節のあとは、1年の激闘を支えた”チームシブコ”への感謝の言葉を口にした。

「この1年間戦ってこられて、ここまでの私になれたのは、青木翔コーチに出会ったからで、本当にたくさんのことを教えてもらった。青木さんがいてくれたから、今の自分がいる。それに家族、応援団の方々、マネジャーさん、キャディーさんだったり、スポンサーさんだったり……こういう方々の支えがなかったら、全英以降もやってこられなかった。感謝の気持ちでいっぱいです」

 2020年の目標は、現時点では8月の東京五輪しか頭にない。ただ出場するだけじゃない。メダルを、それも最も輝く色のメダルを狙う。

「まだ出場できるかどうかわかりませんが、やっぱり自国開催ですから、金メダルを獲りたいですねえ」

 年内はトレーニングを中心に行なって来季に備え、クリスマスイブには歯科クリニックで親不知を抜く。来季は、2月の海外のトーナメントから出場するという。

「今年1年、本当にありがとうございました」

 最後は、いつものシンデレラスマイルで、宮崎カントリークラブをあとにした。

Sportiva

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