サスケ君が断言。SASUKE史上ナンバー1の天才は「最強の漁師」

12月2日(月)6時30分 Sportiva

サスケ君のSASUKE勝利学 第3回  (第1回から読む>>)

 こんにちは、森本裕介です。SASUKEのトレーニングを始める前に必ずすること。前回「正しい目標設定をする」というお話をさせていただきましたが、もうひとつ。それは「映像を研究してエリアの特性を理解しておくこと」です。

 SASUKEというのは不思議な競技です。普通はどんなスポーツも、練習をして経験を積み重ねて動きの精度を上げていきます。が、SASUKEは「まったく同じ設備で練習をすることが不可能」。積み重ねるべき経験が、本番でしか得られないのです。そしてその本番は、ミスをすればあっという間に終わってしまう。
 
 ですから、常連選手の多くは自前のセットを造って「本番を想定した練習」に励みます。しかし、すべての選手がそうした環境にいるわけではない。そこで、セットの特性を知るために誰でもできる方法を紹介します。「過去の放送を見直す作業」です。


1stステージスタート直前の森本。滑り止めにまつやにをシューズに吹きつける

 

■「絶対にやってはいけない」のは……
 
 放送を見直すと言っても漫然と番組を楽しむのではなく、まずは「そのエリアで絶対にやってはいけないこと」を注意して見ることが重要です。
 
 例えば1stステージの第2エリア「ローリングヒル」。これは落ちた人の共通点がすごくわかりやすいのですが、あの筒の「面」を踏んでしまったらおしまいです。そうすると必ず回転してしまう。登るにしても下るにしても、しっかり映像を確認していれば「絶対に面を踏まない」というNG事項が徹底できるはずです。
 


 では、面を踏まないためにはどうすればいいのかということを考えると、「つま先を丸太と丸太の間に刺して登っていけばいい」という攻略法にたどり着きます。成功者の映像を確認すると、つま先をこれでもかというくらいガッツリ差し込んで移動していることがわかります(スピードに物を言わせて駆け抜けてしまう人もいますが……)。
 
 このように、僕がSASUKEの映像を見て研究するときは、成功例と失敗例を必ずセットで見ておくようにしています。
 

第36回大会1stステージ第2エリア「ローリングヒル」を下る森本


  ローリングヒルを例に出しましたがSASUKEのエリアには必ず、エリアごとにポイントがあります。「どうすればクリアできるのか」「何をしたら落ちるのか」、できる限り事前に知っておく。
 
 それと映像を研究するときの注意点がもうひとつあって、実際に放送される番組は、昔のTVゲームの『スーパーマリオ』みたいな横スクロールで映すのが基本です。だから多くの方にはそのイメージが刷り込まれていると思うのですが、実際にプレーヤーとして正面から進んでいくと全然見え方が違います。
 
 1stステージを例に出すと、第4エリアの「フィッシュボーン」などは、もうまったく別物です。


本番前、「フィッシュボーン」の試技をするシミュレーター(第36回大会)


  どんな新エリアが登場したときでも、「正面から見たときにどうなっているか」という想像は事前に巡らせるように常に心がけています。
 
 また、最近では「選手目線でSASUKEを楽しもう」という動画もTBSがYouTubeに上げているので、必ず見るようにしています。おそらく、シミュレーター(収録の前に安全面の確認などのため試技をするテストプレーヤー)が頭にカメラを付けてプレーしたときの映像で、それを視聴すれば「SASUKEを横から見るのと正面から見るのでは別物」という言葉の意味を理解していただけると思います。

 
■自分に最適な攻略法を探す

 例えば、1stステージ最初のエリアである「クワッドステップス」。僕のやり方は、たぶん僕しかやっていないのでは、というほど特殊な跳び方で、常連選手の多くは片足着地で一気にポンポンポンポンと行く方が多いなかで、僕の場合はまず1個目に両足で着地して一旦静止、そこから残りの3つをポンポンポンと片足で跳んでいく。
 
 もともと運動神経に自信がないのに加え、できるだけ確実なやり方で行きたいという慎重な性格も相まって、「100パーセント落ちない方法はこれだ」というあのやり方に行きつきました。
 

1stステージ第1エリア「クワッドステップス」。写真は第36回大会で最初に1stステージを突破したゼッケン63番の荒木直之。森本とは異なりすべて片足着地で跳ぶ


  初めてこのエリアが登場したとき、スタート直前に目の前であの斜めの台を見て、とても嫌な予感がしました。最初のステップが、自分の目の高さよりもだいぶ下にあるように見えたんですね。
 
 それに、スタート前というのは一番緊張しやすくて、えてして膝がいきなり抜けたりする。そういうアクシデントを避けるために、「まずはひとつ目のステップにしっかり跳び移って目線の高さをエリアに合わせる」という独自のやり方を編み出しました。
 
 ちなみに、僕が一番映像を見て研究したのは史上ふたり目の完全制覇者の長野誠さんでした。エリアの特性に合った合理的な動きをしていて、まったく無駄がない。僕も長野さんの動きからは多くのことを学ばせていただきましたが、完全に真似することはできませんでした。

 
 SASUKEにおける天才は誰か、という話をしたら、現役では又地諒選手もすごいですが、ひとり選ぶなら断トツで長野さんです。もちろん、漁師の仕事で鍛えた足腰や天性の運動センスもそうなのですが、何がすごいかというとエリアの攻略法を見つけるのが尋常じゃないくらい早い。
 

史上ふたり目の完全制覇者、長野誠。最強の漁師と呼ばれるSASUKEのカリスマ(現在は引退)


  これはフィッシュボーンが初登場したときのエピソードですが、あんなの誰も見たこともないし、やったこともないので、みんな不安なわけです。エリアの横に常連選手たちが大集合して議論していたところに、もうそのときは引退されていた長野さんが「これ、簡単だよ。俺、タイミング教えてあげるから」と、誰よりも先に攻略法を見つけてしまった。
 
 このことからもわかるように、SASUKEにおいては「エリアの特性に合わせた動きができるかどうか」というのが結果に直結します。僕は長野さんのような天才ではないので、そのためにはまず「映像から得られる情報を最大限生かす」というのが欠かせないプロセスになっています。
 
 そうやって情報を集めて「どうしたらクリアできるのか」「どうしたら落ちるのか」を理解して、僕は今のスタイルに行きつきました。特別な運動神経や運動センスがない分、ミスをしにくい動きを練習のときからシミュレーションして決めておく。本番でとっさに判断したり、変えたりするようなことができる限りないようにする。
 
 それゆえに見ている側からするとスリルがないので、番組総合演出の乾雅人さんには、
 
「おまえのSASUKE、つまんねえな」
 
 と言われたことがあります(笑)。
 
 
■今週の格言:エリアの特性を知り、自分に最適なSASUKE攻略法を研究する
 
<プロフィール>森本裕介 Morimoto Yusuke
1991年12月21日生まれ、高知県出身。IDEC株式会社にソフトウェア・エンジニアとして勤務。7歳でSASUKEに目覚め、15歳のときに第18回大会(2007年)で初出場。2015年に史上4人目の完全制覇を達成。第35回、36回大会で出場者100人中唯一FINALステージに進出した、現役最強のSASUKEプレーヤー

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