巨人のFAは成功か? “失敗”を経験した堀内恒夫氏が採点

12月3日(月)7時0分 NEWSポストセブン

悪夢を知る指揮官だから言えることがある

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 広島から丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗、オリックスから中島宏之、メジャーからビヤヌエバを獲得。過去、12球団最多となる24人をFAで獲ってきた巨人が今年も新戦力を買い漁っている。もちろん、優勝できれば言うことはない。だが、ファンは過去に何度も期待を裏切られてきた。


 2004年の巨人は近鉄からローズ、ダイエーから小久保裕紀とパ・リーグ本塁打王経験者を同時に獲得しながら3位に沈み、翌年には5位にまで転落した。当時の指揮官、堀内恒夫氏は自身の経験を踏まえ言う。「今年の巨人は積極的に獲っている。しかし、これは補強とは言えません」“失敗”を経験した者だけに見える欠陥について、堀内氏が語る。


 * * *

 足りないポジションを補うのが補強で、足りているところに連れてくるのは強化でしかない。同じところに同じタイプを連れてきてもしょうがないんですよ。


 今の巨人でいえば捕手。炭谷を獲ってどう使うつもりなのでしょう。小林誠司が伸び悩んでいるのは事実で、その刺激になるようにということかもしれないが、その役割に1億5000万円は高すぎる。阿部慎之助も捕手に復帰するし、昨年のドラフトで獲得した大城卓三と岸田行倫、3年目の宇佐見真吾もいる。


 前ヘッドコーチの村田真一が、若い捕手を使ったり使わなかったり、コロコロ変えてきたからでしょう。その反省を踏まえるべきなのに、今度は宇佐見の背番号27を奪って炭谷に渡す。やっていることがよくわかりません。捕手を獲るよりもっと補強する場所があるんじゃないか。ファンもそう思っていますよ。



 広島からFA宣言した丸の獲得交渉では、5年契約で35億円なんて数字がスポーツ紙に躍りました。確かに丸は2年連続リーグMVPと素晴らしい選手ですが、報道通りの年俸で獲得すればチームの中が大変なことになると思う。数字が本当なら、丸の年俸は7億円。年俸3億5000万円の坂本勇人の倍になる。2人の実力にそれほどの開きがあるのか。選手間のバランスがおかしくなることが、気になってしまいます。


◆小久保獲得で不協和音が


──堀内氏がこう言うのは、ローズ、小久保を獲得した時の苦い経験からだ。


 当時の巨人は、とにかくバランスが悪かった。私は監督就任直後、球団に小久保を獲ってほしいとは言ったが、すでにペタジーニや清原(和博)がいた。1人しか使えない一塁手が2人も3人もいてもしょうがない。補強で獲得したのに使ってもらえないとなれば、色々と不協和音が生まれてくるんです。それにスラッガーとしてローズも獲ることが決まっていて、起用の幅が限られる。


 打線には1番から8番まで役割がある。そのバランスが取れていないと長丁場のペナントでは勝てません。長距離打者ばかり並べれば、エンドランや盗塁のサインも出せない。私の時は、ベンチでずっと本塁打を待っていました。打てば大量点差で勝てるが、打てないときは手も足も出ない。


 就任したときは“投手を中心とした守りの野球をしたい”と言っていたが、勝つことが宿命の巨人では5年後、10年後を見据えたチーム作りがなかなかできない事情もあり、チームを変えるには時間が必要だった。言い訳にしかなりませんが。


◆菅野ばかりに重圧が



 来季、一番心配なのは投手です。先発が菅野智之しかいない。彼は絶対的なエースだが、毎日投げるわけにはいきません。補強ならまず投手を補うべきだった。


 オリックスからFA宣言した西勇輝や自由契約になった金子千尋に手を挙げるのかと思ったが動かなかった。投打のバランスが悪いままなら、まず勝てません。


 外国人選手はギャンブルです。パドレスで20本塁打のビヤヌエバを獲得しましたが、日本の野球に合うかはやってみないと分かりません。私の時には新外国人のミセリが開幕戦でリリーフに失敗。4連敗してチームがおかしくなった。投手は投球を見れば実力がわかるので、優秀なリリーフを獲得することに力を入れるべきです。


──投手陣への心配はほかにもある。自身がかつて背負ったエースナンバー、18を菅野が継ぐことだ。


 これは菅野にとって冒険です。巨人で結果を出さないといけないのは18番だけというぐらいこの番号は重く、勝てないと批判される。巨人は18番がマウンドで相手をねじ伏せてこそチームに勢いが出る。18番が勝つと1勝が2勝にも3勝にも感じる。プレッシャーはあるでしょうが、菅野にはその期待に応えてもらいたい。


──堀内氏は最後にこう巨人のFA戦略を総括する。


 結局、FAは若手を育てるまでの時間稼ぎでしかない。そういう意味でFAを活用するならいいんですが、FA選手と長期契約を結んで何年も主力で働いてもらおうとするから若手が育つ土壌がなくなってしまう。今の巨人は私が引き継いだ時より若手が育っているだけに状態はいいと思う。それだけに若い芽を摘むようなことだけはしちゃいけない。背番号を炭谷に奪われた宇佐見がやる気になってくれることを期待したいね。


※週刊ポスト2018年12月14日号

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