2020年に向けて始動したMotoGP。テストで見えた6メーカーの狙い【ヤマハ・スズキ・KTM編】

12月5日(木)16時48分 AUTOSPORT web

 イギリス在住のフリーライター、マット・オクスリーが2020年MotoGPテストを分析。MotoGP最終戦バレンシアGP後には同地でオフィシャルテストが2日間行われた。現場で取材したオクスリーがホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの2020年に向けた狙い分析する。後編はヤマハ、スズキ、KTMについて。


ーーーーーーーーーー


■シャシーを大幅に変えたKTM


 KTMのチューブラースチール製シャシーは、KTMの最高峰クラス参戦4年目となる2020年に向けて、最初の大規模な再設計がなされている。メインフレームセクションは丸いチューブではなく、幅の狭い楕円形チューブになっている。


 バイクがコーナーを通過する際のコーナリングとグリップ、トラクションの改善のためには、側面のたわみの向上がひとつの目標だ。またブレーキングの安定性を高めるために、縦方向の剛性をさらに高める必要もある。


「シャシーの感触はとても良い。はるかに軽くなっている。だから大きな利点を引き出せるよ」とKTMのファクトリーライダーであるポル・エスパルガロは語った。


「僕たちはコーナー中盤でのグリップとコーナリングの改善に取り組んでいる。特にタイヤが摩耗しているときに苦しんできた点だ。これは良い一歩だよ。電子制御については本当にたくさんのことを試したけれど、問題はメカニカルグリップにあると判断した」


「このシャシーをテストすることで、バイクはより良いコーナリングができるようになったし、トラクションも向上した。エンジンについても、さらにトルクとパワーを引き出すためにさまざまなことを試しているところだ」

2019年のKTM RC16
2019年のKTM RC16
2020 年のKTM RC16
2020 年のKTM RC16


 ポル・エスパルガロの新チームメイト、ブラッド・ビンダーはMotoGPライダーとしての最初の走行の後、「信じられないよ!」と目を輝かせた。


「最初の1周目から別の世界にいるようだった。MotoGPバイクは、そのパワーといい、ウイリーといい、常軌を逸している! 自分のやっていることをまだ本当には理解できていない。何が起きているのか理解しようとしているところだ。このフィーリングは素晴らしいよ。ラップごとに、速かろうが遅かろうが関係なく、物事が簡単になっていくんだ」


「ポルの後ろで1周したけれど、多くのことを学んだ。他のライダーの乗り方を見れば見るほど、簡単に向上していける。すごくクールで、とても楽しいよ。最初はとても心配だった。これは手に負えない、というような感じだった。でも走れば走るほど、快適な気分になる」


「僕にとって一番難しいのはウイリーだ。コーナーを出てバイクを走らせ、スロットルの回転を維持する。それからスロットルを開けるのは僕にとっていっそう難しい。電子制御を信用するのが本当に難しいんだ」


■大幅なアップデートなしのスズキ


 スズキはファクトリーのなかでも最も保守的だ。そのためにスズキGSX-RRは前の年からほとんど変わらないように見える。スズキはバイクのバランスが非常に良く取れていることを認識しているので、それを台無しにしたくない。それがスズキの改善が常に急進的というよりは繊細なものである理由だ。


 バレンシアテストではアレックス・リンスとジョアン・ミルが2020年型エンジンと、フロントシャシーのパーツをいくつか試した。

スズキの2020年型エンジンとフロントシャシーをテストしたジョアン・ミ
スズキの2020年型エンジンとフロントシャシーをテストしたジョアン・ミ


「新しいエンジンはとても良いね。すごく乗りやすいしスムーズだ」とミルは語った。


「ポジティブだよ。でも本当に改善するためには、電子制御を調整しなければならない。それからシャシーについてもよりコーナリングをしやすくするために作業をしている。僕たちのコーナリングは優れているけれど、低速コーナーでは少々苦戦している。この点で少し改善が必要なようだね」


■新たなエンジンとシャシーで不振から抜け出そうとするヤマハ


 ヤマハはこの数年間陥っている穴から這い出そうと必死の取り組みをしている。マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシはヤマハの2020年型エンジンと、10年以上経って根本的に変更されたヤマハYZR-M1のシャシーを試した。


 ツインスパーフレームは通常通り機械加工されているが、以前のモデルとはまったく異なるもので、ステアリングヘッドの部分が完全に違う構造になっている。ヤマハは明らかにその領域の剛性を変えようとしており、おそらくバイクのコーナリングを向上させようとしている。そうすればライダーはコーナーを通過中に長いこと深くバイクを傾けなくてもよくなる。これはYZR-M1が抱えるタイヤのデグラデーション問題の原因のひとつなのだ。

2019年のヤマハYZR-M1
2019年のヤマハYZR-M1
2020年のヤマハYZR-M1
2020年のヤマハYZR-M1


「フレームは違うものだけれど、乗っている時のフィーリングはとても似ている」とロッシは語った。


「ヤマハはブレーキングをしてコーナーに入る時の機敏性を改善しようとしている。だからコーナー進入時により速く正確に入ることができる。新しいシャシーは気に入ったよ」


「でも電子制御とエンジンは一番改善しなければならないところだね。特にエンジンだ。新エンジンの最初の印象はとてもポジティブだったけれど、道のりは長い。なぜなら特にトップスピードの点で他のバイクと大きな差があるからだ。今のヤマハの作業のやり方は気に入っている。過去に比べて混乱が少なくなったし、プログラムも明確になった」


 ロッシはSky VR46のMoto2チームにいたダビド・ムニョスを新クルーチーフに起用して仕事を始めている。「フィーリングは良いよ。僕たちはガレージでの働き方を変えたんだ」とロッシは付け加えた。


 ヤマハのスタールーキーであるファビオ・クアルタラロも新パーツをいくつかテストした。そのなかには、ファクトリーライダー2名が以前のシーズン中テストで使用した、カーボンファイバー製のスイングアームが含まれていた。


AUTOSPORT web

「MotoGP」をもっと詳しく

「MotoGP」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ