2023年TCR南米シリーズは全10戦を予定。新鋭モンテネグロはホンダ陣営へ。カローラも量産開始

2022年12月5日(月)16時51分 AUTOSPORT web

 南半球で最大規模に成長したリージョン選手権、TCRサウスアメリカ・シリーズの2023年カレンダーが公開され、新規創設TCRブラジルとの併催を含めた3カ国全10戦のスケジュールが確定した。その南米シリーズ新年度に向け、強豪スクーデリア・マルティーノはアルゼンチン出身の若手有望株、18歳のイグナシオ・モンテネグロとの契約を発表し、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRの1台を託す。


 また、2022年終盤3戦に“TOYOTA GAZOO Racingラテンアメリカ”としてテスト参戦し、こちらも18歳の新鋭ホルヘ・バリオが早くも2勝を飾った新型『トヨタ・カローラGRS TCR』は、本拠地アルゼンチンでカスタマー向け車両の本格生産が開始され、デリバリー初年度となる2023年は年間10台の製造が計画されている。


 創設3年目のシーズンとなる2023年のTCRサウスアメリカは、現状で開催各サーキットがまだ未定となるものの、来季レース日程の発表により当初予定されていたレース距離160km越えの耐久イベントは最終的に2戦のみの開催に抑制され、当初計画の全12戦から2戦減でシリーズを実施する計画が明らかになった。


 開幕からアルゼンチンでの3連戦が実施され、スプリント2戦を経て耐久戦を開催。その開催地は前年度最終戦を務めたサン・フアンや、首都ブエノスアイレス、そして同国が誇る最新トラック、テルマス・デ・リオ・オンドなどでの開催が有力視されている。


 その後、ブラジル国内での耐久戦が第4戦として続き、このイベントが初開催の国内シリーズ開幕戦にも割り当てられる。さらにウルグアイでのスプリント連戦を経て、ふたたび第7戦でアルゼンチンに復帰すると、終盤は全戦がTCRブラジル併催となる同国3連戦となり、10月の1戦ではダブルヘッダーが予定されている。


 そのシリーズでファン-アンヘル・ロッソらを走らせ、2022年もタイトル戦線に絡む活躍を見せたスクーデリア・マルティーノは、アルゼンチンを代表する人気ツーリングカー選手権『TC2000』で頭角を現すモンテネグロとの契約を発表。18歳になったスター候補生が、来季本格的なTCRフル参戦の機会を手にした。


 2022年度はクラウン・レーシングの初代アウディRS3 LMSや、コブラ・レーシングのホンダでスポット参戦を経験したモンテネグロは、香港を拠点とするALMモータースポーツのシビックをドライブし、この11月にはフランス・ポールリカールで開催された『FIAモータースポーツ・ゲームズ』にも参戦。メダルまであと一歩となる4位の成績を残している。

創設3年目のシーズンとなる2023年のTCRサウスアメリカは、3カ国全10戦のスケジュールが確定した
2022年はTC2000(旧スーパーTC2000)でルノー系のアクシオン・エナジー・スポーツSTC2000に所属した18歳のイグナシオ・モンテネグロ
ファン-アンヘル・ロッソらを走らせたスクーデリア・マルティーノに加入し、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRを走らせる


■「カスタマー車両の開発と製造を奨励」することが豊田章男からのメッセージ


 同じくTC2000ではルノー系のアクシオン・エナジー・スポーツSTC2000に所属してルノー・フルーエンスGTをドライブ。初優勝も記録してランキング6位に喰い込んだ。そのモンテネグロは来季もTC2000での活動と並行し、新たにTCRのシリーズを追うこととなり、FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握る。


 そのモンテネグロと好敵手の関係になる、ホルヘ・バリオが開発ドライバーを務めた新型トヨタ・カローラGRS TCRは、アルゼンチン法人の人気SUV『SW4』やピックアップの『ハイラックス』などが製造される、同国を代表する港湾都市サラテのファクトリーで量産体制に入っており、最初の6台はTCRサウスアメリカとTCRブラジルに割り当てられ、来年3月までに完成する予定だという。


 そのホモロゲーション登録と車両開発を担当したTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのゼネラルマネージャー、フアン-パブロ・グラーノは「新たなシーズンをこの新型モデルで開始できるよう、最初の6台は3月までに納入され、残りの4台は6月頃に完成する予定だ」と地元アルゼンチン版の『Motor1.com』に明かしている。


「世界的に見て、トヨタはモータースポーツに非常に力を入れている。誰もが私たちのクルマがダカールラリーやWEC世界耐久選手権、WRC世界ラリー選手権で成し遂げた成果を知っている。それらはすべて、トヨタの公式チームで走ったクルマたちだ」と続けるグラーノ。


「そして今、当社のグローバルCEOである“アキオサン(豊田章男)”からのメッセージは、プライベートチームがレースをするため、競技用カスタマー車両の開発と製造を奨励することだった。これにより、TOYOTA GAZOO Racingのマシンがますます多くのカテゴリーや地域のチャンピオンシップに登場するという考え方だ」


 ブエノスアイレスでのポール・トゥ・ウインを皮切りに、最終戦サン・フアンでも連勝を飾っているトヨタ・カローラGRS TCRだが、デリバリーに向けてはTCR規制の最高価格である14万8000ユーロ(約2100万円)で販売される。しかし、その納入先契約チームの詳細は明らかにされていない。


「それは個々のチームの責任になる領域で、まだ報告することはできない。2023年シーズンの開幕が近づくにつれ、詳細が明らかになるだろう」と応じたグラーノ。「我々が言えることは、ヨーロッパから輸入されたTCR車両でシリーズを戦ったいくつかのプライベーターが、テスト段階で得られた良好な結果を考慮して、我々が製造したカローラTCRに切り替えるということだ。すでにTCRの経験があるチームが優先されることは間違いないね」

新型『トヨタ・カローラGRS TCR』は、アルゼンチン港湾都市サラテのファクトリーで量産体制に入った
「最初の6台は3月までに納入され、残りの4台は6月頃に完成する予定だ」とフアン-パブロ・グラーノ
開発も担った18歳のホルヘ・バリオ。地元南米シリーズに加え、TCRオーストラリアへの供給も確実視されている


■TCRサウスアメリカ・シリーズ2023年カレンダー



























































ラウンド開催日開催地
Rd.13月26〜27日アルゼンチン(スプリント)
Rd.24月15〜16日アルゼンチン(スプリント)
Rd.34月29〜30日アルゼンチン(エンデュランス)
Rd.46月10〜11日ブラジル(エンデュランス)※
Rd.57月22〜23日ウルグアイ(スプリント)※
Rd.68月12〜13日ウルグアイ(スプリント)
Rd.78月19〜20日アルゼンチン(スプリント)
Rd.89月23〜24日ブラジル(スプリント)※
Rd.910月21〜22日ブラジル(スプリント/ダブル)※
Rd.1012月2〜3日ブラジル(スプリント)※


※TCRブラジル併催

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