来春のクラシック候補はいかに?2019年2歳牝馬ランキング

12月5日(木)6時0分 Sportiva

 先のGIジャパンC(東京・芝2400m)で、3歳牝馬のカレンブーケドールが2着と奮闘。その上の世代では、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)を快勝したアーモンドアイが「現役最強馬」として圧倒的な存在感を示している。さらにその上の世代でも、ディアドラ、リスグラシューらが国内外の重賞で活躍。ここ最近は毎年のように、牡馬を圧倒する”大物牝馬”が続々と登場している。

 3歳牝馬で言えば、カレンブーケドールのほかにも、ラヴズオンリーユーやクロノジェネシス、グランアレグリアに、ダノンファンタジーなど、素質を秘めたメンバーがズラリ。古馬となって、一段と頭角を現す存在が出てきても不思議ではない。

 さて、今年の2歳世代はどうか。パソコン競馬ライターの市丸博司氏はこう分析する。

「今年も昨年に引き続き、牝馬のレベルが高い年、と言えるでしょう。現時点で、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)で『75』以上をマークした牝馬が28頭います。昨年の同時期は31頭だったので、やや少ないですが、それを補うように、上位5頭は昨年と同じか、やや高い指数を記録。飛躍が期待できる面々が十分にそろっていると言えるのではないでしょうか」


デビュー2戦2勝のリアアメリア

 ここまででJRAの重賞を勝っているのは、ウーマンズハート(父ハーツクライ)、レシステンシア(父ダイワメジャー)、リアアメリア(父ディープインパクト)。いずれも、2戦2勝の無敗馬だ。そしてその3頭が、12月8日に行なわれるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)で早くも激突する。

 そんな注目のレースを目前にして、現時点での2歳牝馬の『Sportivaオリジナル番付()』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。





 トップは、リアアメリア。前評判の高かった馬で、実際にデビュー2連勝でGIIIアルテミスS(10月26日/東京・芝1600m)を制したことが評価され、選者全員から万遍なくポイントを集めた。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「約5カ月ぶりだったアルテミスSは、馬体重が20㎏増。レースでは新馬戦(6月1日/阪神・芝1600m)と同じく、しんがりで折り合いに専念する立ち回りでした。道中で我慢できずに頭を上げて、鞍上がバランスを保つのに苦労するシーンも見られ、消耗とロスがあったのは確かです。それでも、大外からしっかり伸びて、差し切るあたりは能力の高さでしょう。

 まだ頭が高く、ハミを噛んでいるため、スッとギアが上がらない印象を受けますが、掻き込みの利いた大きな完歩で、長くいい脚を使えるタイプ。持っているものは、トップクラスであることは間違いありません。

 フルゲートになるのが必定のGI戦では、今の引き出しの少なさからして不安のほうが大きいですが、GIが施行されるコースは直線が長く、広い舞台設定。折り合い面による道中の消耗と、コース取りによる距離ロスが少しでも緩和されれば、直線だけの競馬でも、勝ち負けできる破壊力を秘めていると思います」

土屋真光氏(フリーライター)
「昨年のグランアレグリアやダノンファンタジーのような、圧倒的な印象はまだありません。正直なところ、ほかの重賞勝ち馬2頭との比較で、『減点が少ない』と判断しての1位評価です。

 どちらかと言えば、アルテミスSよりも、あっという間に馬群をとらえた新馬戦のほうを評価していて、そちらのほうが”本物”かどうかを確認するレースでもありました。ともあれ、このまま無事にいけば、来春のGI桜花賞(阪神・芝1600m)、GI NHKマイルC(東京・芝1600m)あたりまでは、主力として君臨しているのではないでしょうか」




 2位も、重賞勝ち馬のウーマンズハート。出世レースのひとつであるGIII新潟2歳S(8月25日/新潟・芝1600m)を制覇している。ただ、意外にも1位、2位で評価した選者はひとりもおらず、総合10ポイントというのは、2位としては若干低めだ。

木南友輔氏(日刊スポーツ記者)
「叔父が香港の名スプリンターであるラッキーナイン。距離がどこまでもつか、という心配はありますが、ハーツクライ産駒ゆえ、融通は利きそうです。

 新馬戦(8月3日/新潟・芝1600m)では、数字の見間違いかと思わせるほどの上がりタイム(32秒0)をマーク。カワカミプリンセス、クロコスミアらを送り出してきた西浦勝一厩舎の管理馬だけに、今後の成長にも期待が持てます」

 3位以下は、各選者の評価が大きく割れた。おかげで、3位には2勝馬を差し置いて1戦1勝のルーツドール(父ジャスタウェイ)がランクインした。

木南氏
「昨年のGI菊花賞(京都・芝3000m)と今年のGI天皇賞・春(京都・芝3200m)を勝ったフィエールマンの半妹。新馬戦(11月16日/東京・芝1600m)は5馬身差の大楽勝でした。

 524㎏と雄大な馬格を誇り、不安があるとすれば、故障だけ。牝馬限定の東京の新馬でデビューという、そのレース選択と、勝ったあとの藤岡健一調教師の雰囲気は、(同調教師が管理して)阪神JF2着、桜花賞3着、GIオークス(東京・芝2400m)2着と結果を残したリリーノーブルを思い出します」

 4位は、2戦1勝のクラヴァシュドール(父ハーツクライ)。前走のGIIIサウジアラビアロイヤルC(10月5日/東京・芝1600m)では、強豪牡馬相手に2着と健闘した。

吉田氏
「今年は、ハーツクライ産駒の当たり年と言えそうです。同馬を含めて、ここで2位に入ったウーマンズハートや、3戦3勝の牡馬マイラプソディなど、2歳戦からハイパフォーマンスを見せている馬が数多くいます。クラヴァシュドールもその1頭。450㎏の馬体重ながら、手脚が長く、つなぎも長めでストライドが伸びるフットワークが光ります。もう少しトモに厚みが出てくれば、前後のバランスがよくなり、さらにパフォーマンスがアップするのではないでしょうか。

 デビュー戦では、ハーツクライ産駒にしては珍しくスタートが決まり、前々で流れに乗って着差以上の完勝劇を披露。そして、中3週で挑んだサウジアラビアロイヤルCでは、牡馬トップクラスと競り合って、1分32秒9という好タイムを記録して2着。『強い』のひと言です。長距離輸送でも馬体を減らすことなく、パドックでもゆったりと歩けていたのは、精神面がしっかりしている証拠。ハイレベルな牝馬路線を引っ張っていくのは、この馬でしょう」

 5位にランクインしたのは2頭。重賞馬の1頭であるレシステンシアと、3位のルーツドールと同じ1戦1勝のスカイグルーヴ(父エピファネイア)だった。

市丸氏
「新馬(10月14日/京都・芝1400m)、GIIIファンタジーS(11月2日/京都・芝1400m)と2戦2勝のレシステンシア。ファンタジーSは速い流れでしたが、前々から早めに抜け出して押し切りました。2、3着馬が差し馬だっただけに、その先行力と末の確かさは強調できるものだと思います」

吉田氏
「スカイグルーヴは、母が5勝を挙げて重賞でも好戦していたアドマイヤセプター。そして、その母はGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を連覇したアドマイヤグルーヴです。また、母の全弟にはGI皐月賞(中山・芝2000m)とGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したドゥラメンテがいて、非常に活力のある一族から出てきた期待馬です。

 もともと闘争本能が旺盛な血筋で、同馬もパドックやレースで多少ハミを噛んでいましたが、鞍上ときちんと呼吸を合わせられていた点は、素質の高さを示すものでしょう。気性的には我慢が利いて、どんな競馬もできそう。血統や走法から、とくに長い直線のコースなら、高いパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか」

 今回、ランクインがならなかった馬の中にも、各選者が2番手の高評価を与えた馬が数多くいる。それらの馬にも、注目しておきたい。

市丸氏
「2位に挙げたのは、マジックキャッスル(父ディープインパクト)と、クリアサウンド(父キズナ)。マジックキャッスルは、現オープン馬のソーグリッタリングの半妹。ハイレベルだった1勝クラス(500万下)特別のサフラン賞(9月29日/中山・芝1600m)で2着になったあと、ファンタジーSでも2着と好走。今をときめく国枝栄厩舎の管理馬で、今後が楽しみです。クリアサウンドは、ファンタジーSでマジックキャッスルのクビ差3着。力があるのは確かゆえ、その後、骨折して休養中なのが残念です」

木南氏
「2位に挙げたルナシオン(父ディープインパクト)は、スワーヴリチャードの半妹。辛口であるはずの藤沢和雄厩舎のスタッフが、デビュー前から『スーパーホースになるかも』と話していた逸材です。新馬戦(10月14日/東京・芝1800m)でのジャッジは難しいところですが、やや重で(直線で)詰まりまくっていたなかで勝ち切ったことは、評価していいと思います」

土屋氏
アカノニジュウイチ(父ブラックタイド)は一風変わった名前のためか、あまり注目されていませんでしたが、完全に先行馬ペースだったデビュー戦(10月27日/東京・芝1400m)を、やや出遅れての後方待機から完勝。直線なかばで前方馬群を一気にとらえると、そこからさらに突き放すという、凄まじいパフォーマンスを見せてくれました。その後、負かした相手が未勝利戦を次々に勝ち上がっていることを考えると、相当な器と見ていいでしょう。半兄のレノヴァールも今春オープン入り。順調に成長していけば、大化けしそうな予感がします」

 混戦の2歳牝馬戦線だが、阪神JFで断然の存在が出てくるのか。2歳女王を決める大一番に、まずは注目である。

Sportiva

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