日本ハム栗山監督が語るオープナー「勝つ戦術としてやらない手はない」

12月5日(木)6時20分 Sportiva

日本ハム・栗山英樹監督インタビュー(前編)

 今シーズン、65勝73敗5分で5位に終わってしまった北海道日本ハムファイターズだが、なによりも注目を集めたのは、オープナーや極端な守備シフトなど、これまで日本のプロ野球でほとんど目にしなかった戦術を積極的に取り入れたことだ。ファイターズの指揮官である栗山英樹監督に今シーズンを総括してもらうと同時に、オープナーを含めた新戦術の意図、手応えについても聞いてみた。


オープナーとして8月に中1日で2試合連続先発を務めた堀瑞輝

—— 2019年のファイターズ、7月を終わった時点では首位に0.5ゲーム差の2位でしたが、8月に5勝20敗1分と失速。クライマックスシリーズ進出も叶わず、3年連続で優勝を逃してしまいました。勝負の8月、いったい何が起こっていたのでしょう。

「理由はいつくかあったと思いますが、ウチは移動も厳しいし、8月をどう乗り切るかというのは毎年のテーマなんですけど、結果、そこをうまく乗り切ることができなかったということです」

—— 8月半ばの9連敗、8月末から9月にかけての8連敗……ずいぶん派手に負けました。

「連敗って、間に1つ(勝ちを)取るだけでずいぶん違ってきますし、その1つというのは、じつはそんなに大きな差がもたらすものではないと思っているんです。ただ、そこにはこれだけ勝たせてもらえなかった、連敗から学ばなきゃならなかったことがあるはずで、そこはこのオフもずっと考えているんですけどね」

—— 今シーズン、栗山監督はいくつもの新機軸を打ち出しました。たとえば極端な守備シフト、あるいはオープナーなど……そのあたりの意図をお聞かせいただけますか。

「守備シフトに関しては、データからもその効果ははっきりと見て取れるんです。だって、(内野なら)ゴロはそこに守っていればアウトにできるんですから。別に超能力を使っているわけじゃなくて、そこにいる根拠があって、そこで守っていればアウトにできる。だったらやらない手はないでしょう」

—— でも、極端なシフトを嫌がるピッチャーもいるんじゃないですか。

「そこは、シフトを敷くときとそうでないときの判断をこっちが間違えないようにするということで理解してもらうしかないんです。逆へ打ってくるケース、あるいは逆に打とうという発想をするバッターの時にも絶対にシフトを敷くんだと言ってるわけではないし、逆にバッターに聞くと、明らかにシフトが気になるって言うんです。ということは、何らかの影響をバッターに与えているわけで、それで打ち方を変えてくれたらこちらとしてはしめたものです。

たとえば外野を4人で守らせるというのは、ホームランじゃなきゃオッケー、ヒットはいいよというケースですから、そこでバッターが手薄になった内野の間を抜くような打ち方をしてくれれば、それがヒットになったとしても、それでいいんです。シフトはメジャーのマネだと批判もされましたけど、形をそのままマネするわけではなくて、その理由に納得できるところがあるならやってみる価値はある。僕はもともとシフトに興味があって、(シフトを変えることで)内野ゴロを確実にアウトにする発想はアリだと思いますからね」

—— オープナーについてはいかがですか。

「オープナーとか、ショートスターターとか、ブルペンデーとか、いろんな言い方があるみたいですけど、要はそのピッチャーの特長をいかに生かしてあげるかというだけの話。このピッチャーは、一回りはピシャッと抑えられるなら、そういう使い方をすればいいという、単純な話なんです」

—— 実際、ファイターズのピッチャーのFIP(防御率はチームの守備能力などにも左右されるため、ピッチャーのみの責任となる奪三振、与四死球、被本塁打、投球回数をもとに、そのピッチャーの能力を測る指標)はパ・リーグでナンバーワンなんですよね。

「だから、ピッチャーの特長は引き出せていたし、それぞれの持ち味も発揮できていたと思うんです。そもそもショートスターターって、たとえばクライマックスシリーズなんかでは普通にやる戦術だし、それはそのほうが勝ちやすいからやるわけでしょ。これまでの経験からも、どうしても勝ちたい時は大エースに託す。でもそうじゃない時はショートスターター、セカンドスターターという発想を自分でもしていた。

 だったら、その単純な発想を143試合、シーズン中にもやりましょうということです。もちろん、それで登板数を増やしすぎてしまったら弊害も生まれるんですけど、そこはある程度、長いイニングを投げられる先発が何人もいて、その間にそういう起用をする試合をつくれば、これは必ず機能するはずなんです」

—— 今シーズンは金子弌大投手、加藤貴之投手が打者一巡をメドにショートスターターを務めたり、堀瑞輝投手が中1日で2試合続けてオープナーを務めたりすることもありました。

「加藤ちゃんは一回りをパシャーッといってくれるから……今年は加藤ちゃんには本当に負担をかけてしまいました。でも、それは彼の長いイニングを信頼してないんじゃなくて、入りがあれだけよくて一回りだったら完璧に抑えてくれるという、加藤ちゃんだけが持っている特長を生かして、少しでもたくさんの試合に貢献してもらったほうがチームにとって大きいという、別の信頼感があったからなんです。

ほかにも村田(透)なんかはセカンドスターターで投げたときの数字は完璧だし、(斎藤)佑樹に関しても、ピシャッと抑えられる一回りというのが、必ずしも中継ぎじゃなくて頭からのほうがいいという可能性もあったわけで……実際、彼らにはそういう適性は間違いなくあるんです」

—— つまり、この戦術は引き続き、来年も取り入れていくということですか。

「大エースが何人も揃っていれば必要ないんですけど、今の野球で大エースなんてそう簡単にはつくれないし、だったらこれもやらない手はないと思っています。ショートスターターだかオープナーだかわからないけど、ピッチャーの特長によって一回りとか、4番までとか、9人が1イニングずつ投げるとか、いろんな幅を持たせて考えようと思っています」

—— 9人で1イニングずつですか?

「それは極端な例だけど、でも先入観にとらわれず、何をしたらバッターが打ちにくいかを突き詰めて考える。つまり、野球を原点に立ち返らせてみたら、どんなやり方があるのかということをいつも考えているんです。それでも現場ではいろんなことが起こる。4イニングスのつもりでいても予想以上に球数がいってしまうとか、点差が開いているから予定よりも引っ張っちゃおうとか、そういう臨機応変な対応が難しいし、でもそこがおもしろいところ。これに関してはまだいろんな形があるはずだし、どういうバランスで配置していけばいいのかということはいくらでも考えられます」

—— 栗山監督っぽい発想ですね。

「でしょ(笑)。野球のことをあれこれ考えるのはおもしろいからね」

Sportiva

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