森保ジャパン選手選考への疑問。なぜDFが6人しかいないのか

12月5日(木)6時30分 Sportiva

 12月10日から韓国・釜山で開催されるE−1サッカー選手権2019に出場する日本代表のメンバーが発表された。海外組の招集は見送られ、メンバーはすべて国内組。MF田中駿汰(大阪体育大学)以外はすべてJリーガーで固められている。

 畠中槙之輔(横浜F・マリノス)や橋本拳人(FC東京)など、このところ代表に定着している選手。大島僚太(川崎フロンターレ)、中村航輔(柏レイソル)など、定着はしていないものの、実力は認定されている代表歴のある選手。そして東京五輪を目指すU−22の候補選手たち。22人のメンバーは大きくこの3つに分類される。


日本代表に初招集された仲川輝人(横浜F・マリノス)

 唯一の例外は、代表に初招集された27歳、仲川輝人(横浜F・マリノス)だ。「Jリーグで活躍すればその先には日本代表がある。国を背負って戦うことを経験する場があることを知ってもらいたい」とは、選考理由を問われた森保一監督の言葉だ。誰に向けての言葉なのか不明だが、この手の選手(23歳以上で初代表)が、仲川ただひとりというのはいかにも少ない。

 前回の代表戦(ベネズエラ戦)では4人(進藤亮佑/コンサドーレ札幌、オナイウ阿道/大分トリニータ、古橋享梧/ヴィッセル神戸、荒木隼人/サンフレッチェ広島)が初招集されたものの、実際に試合で使われたのは古橋ひとりだった。

 Jリーグが終了する直後に行なわれる今回の場合、そこで活躍したU−22以外の中堅の実力派は、もっと登用されるべきではないか。森保監督は以前の記者会見で「相手が弱いのに欧州組を中心とする主力メンバーばかりをなぜ呼ぶのか。テストはしないのか」と問われると「それって、もっと若手を使えという意味ですか?」と、真意を問い返したことがあった。

 森保監督はA代表とU−22の兼任監督だ。それぞれの試合で結果を出したいと考えるあまり、現状どちらにも属さない選手(中堅Jリーガー)の強化を疎かにしている気がしてならない。仲川にしても、11月のベネズエラ戦はもちろん、10月に行なわれたW杯アジア2次予選(モンゴル戦、タジキスタン戦)の時、すでに招集してしかるべき選手になる。

 U−22だけが次期A代表候補ではない。五輪で金メダルを目標に掲げるのはいいが、世界的には、五輪の金メダルの価値はそう高くない。2022年カタールW杯本番で戦力になりそうな選手は、仲川を筆頭とするJリーガーにもいる。森保監督のバランス感覚を問題にしたい。

 招集メンバーの顔ぶれから想像される、サッカーそのものの問題も目にとまる。ディフェンダーが少ないことにも触れずにはいられない。

 センターバック(CB)が3人(三浦弦太/ガンバ大阪、畠中、渡辺剛/FC東京)。サイドバック(SB)は3人(佐々木翔/広島、室屋成/FC東京、古賀太陽/柏)。計6人しかいない。

 一方、MFは10人にも及ぶ。森保監督は言う。

「3バック、4バックどちらでも戦えるようにシミュレーションしています。ひとつのポジションだけでなく、複数のポジションをこなしてもらいたいと考えています。DFと中盤、中盤とサイド、ディフェンスとサイド、(3バックの)シャドーと(4バックの)攻撃的MFなど、いくつかできる選手が揃っていると考えます。短い時間ですけれど、可能性を探りながらやっていきたい」

 思い切った発想ではある。しかし言うは易く、行なうは難しだ。申し訳ないが、筆者には森保監督がそういうサッカーを得意にしているようには見えないのである。直近で言えば、ベネズエラ戦で交代出場の井手口陽介(ガンバ大阪)をサイドハーフで起用したことに、首を傾げたくなった。サイドに適性がない選手をそこで無理に使うことの弊害を見た気がした。

「賢く器用にプレーすることができる中盤の選手が攻守に絡むことができる点が、日本の特徴です。そうしたよさを活かしながら、いろんなオプションを試していきたい」と、森保監督は続けたが、サイドと真ん中、この両方を器用にこなすことができる選手はそうそういない。適性が真ん中にしかない人、サイドにしかない人が一般的な選手像だ。

 森保監督が長年採用してきた、ウイングバック1人が大外に張る3バックは、その特徴を象徴するかのような布陣になる。ウイングバックと中盤をともに難なくこなすことができる選手は少ない。限りなくゼロに近いといっても言い過ぎではない。

 4バックのサイドハーフは、その下にSBが構えるため、そこまで大外に張り出さなくてもなんとかなるかもしれないが、それでも先のベネズエラ戦で4−2−3−1の3の左を任された井手口には難しい要求だった。

 3バックのウイングバックが特殊な職種であることは事実。誰にでもこなせるポジションではない。4バックのSBもしかり。言ってみれば職人芸だ。守備的MFとSBを両方こなす選手として知られるのは永木亮太(鹿島アントラーズ)だ。そういうJリーグで多機能性を発揮している選手が、代表メンバーの中に多数含まれているなら、納得できるのだが。

 選手に多機能性を求める監督として知られるフース・ヒディンクは、筆者の取材に、「招集したすべての代表選手に、どのポジションで起用しようと考えているか、そのすべての可能性を集合する前に伝えていた」と述べていた。「代表の合宿期間は短いので、合宿に入って即テストができるように、心の準備だけでもあらかじめさせておいた」のだそうだ。

 森保監督は「短い時間ですが、可能性を探りながらやっていきたい」と言うが、それでチームを機能させることができるのですかと聞き返したくなる。そしてそれは、サイド攻撃への認識の甘さから出てくる言葉にも聞こえた。

 繰り返すが、選んだSBはわずか3人だ。重労働を課せられるウイングバックとして使われる可能性もあるのに、である。連係、連動を呪文のように唱える森保監督。しかし、そのイロハのイである、SBと4−2−3−1の3の両サイドとの連係、連動がうまくいった試しがない。両者はたいてい孤立気味だ。「3バックも4バックも原理原則は同じ」も森保監督の常套句だが、そこにたいしたこだわりがあるようには見えない。

 中盤の選手をあまりにも多く選んでしまった今回。はたして使い回しはうまくいくのか。監督自らが設定した条件のなかでそれを実現させるのは、ものすごく難しい話になるだろう。実際、日本代表はピッチにどのような姿を描くのか。E−1サッカー選手権2019に、とくと目を凝らしたい。

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