小山美姫がフォーミュラEテスト参加で多くの収穫。不完全燃焼も重要任務を完遂し高評価を得る

2024年12月6日(金)12時9分 AUTOSPORT web

 12月7日にブラジル・サンパウロで開幕を迎える2024/2025年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン11。それに先立ち、11月5〜8日にかけてスペイン・マドリードで公式プレシーズンテストが行われ、最終セッションに設けられた女性ドライバー限定枠で小山美姫がローラ・ヤマハABTから参加。改めて、そのときの感想と今後に向けた手応えを聞いた。


■“ステアリングが重い”GEN3 Evo


 テスト開催まで1カ月を切ったタイミングでフォーミュラEテスト参加の話が進んでいったという小山。自身が参戦するスーパー耐久シリーズやスーパーGTの合間を縫って渡欧し、テストの準備を進めてきた。


「チームのファクトリーでシミュレータートレーニングをしたときに『ハンドルが重い』という情報を得ていたのですが、テスト当日まで時間がなさすぎたので、もてぎでのスーパーGT(第8戦)には帯同せず、ひたすらトレーニングに励みました」と小山。時間がないながらもトレーニングに力を入れて、“ステアリングが重い”と言われるGEN3 Evoのテストに備えた。


 さらに自身のテストセッションをより充実したものにするため、全ドライバーが参加する初日からチームに帯同していたとのこと。


「本当なら私が乗る日だけサーキットに行けば良かったのですけど、みんなが走っているところも見たいなと思ったので『帯同させてもらえますか?』とチームにお願いしたら『もちろんだよ!』と快く引き受けてくれました。それで公式テスト初日から帯同させてもらい、無線も全部聞いていました」


 基本的には、彼女がテストの際に乗るゼイン・マローニ(22号車)の無線を聞いていたというが、早速GEN3 Evoの特徴が各ドライバーから聞こえてきたのが“ステアリングの重さ”だという。


「今年からクルマが変わって四駆になったことで、ハンドルが重くなっているらしくて……セッション中もルーカス(・ディグラッシ)が『ハンドルが重い』とすごく言っていて、他のドライバーも同じようなことを訴えていました。自分もシミュレーターの段階から『めちゃくちゃ重たいから!』と脅されていたので、ちょっとビビっていましたけど、実際に乗ってみるとそこまでではなくて、Wシリーズのときと同じか少し重いくらいでしたね」

2024/2025年フォーミュラEプレシーズンテストにローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームから参加した小山美姫


■小山に課せられたテストでの重要ミッション


 今回の女性ドライバーのみが参加できるセッションは、女性モータースポーツへの道筋づくりの一環として、フォーミュラEの車両をドライブする機会が設けられた。


 あくまで彼女たちにフォーミュラEのマシンに乗って経験を積んでもらい、パフォーマンスを確認するというのが主目的のチームも少なくなかったようだが、小山に関してはマローニの車両を使ってシーズンにつながる“重要ミッション”を任されていた。


 実は最低重量を合わせるため、女性ドライバーの場合はウエイトを積むことになるのだが、今回のテストではその部分の縛りは厳しくなかったとのこと。全ドライバー参加の公式テストから女性ドライバー限定セッションまでのインターバルが短かったこともあり、全車がウエイトを合わせていたわけではなかったというが、小山とマローニには“共通点”があり、シーズン中と同じ重量設定でテストをしていたという。


「ゼイン(・マローニ)と私の体重は装備品込みで2kgしか変わらない部分があったので、シーズンを想定したテストをすることができました。そのあたりを含め、私が彼のクルマでテストをしました」と小山。


 さらにマローニの車両は公式テストセッションからトラブルに悩まされており、小山が担当したセッションでも最初の1時間はまともに走行できなかった。それでもチームが修復を試み、セッション後半では問題なく走行することが確認できていた。


「実際に開幕戦からゼインが使うクルマなので、トラブルが出たままだとチームとしてもマズイです。そこの確認もしつつ、ゼインがシーズン中に高パフォーマンスで戦えるようなテストをメインにこなしつつ、基本的にはマイレージを稼ぐという役割でした。私がクルマに乗っていちばんやらなければいけなかったことは、そこでしたね」

小山美姫(ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム) 2024/2025年フォーミュラEプレシーズンテスト


■不完全燃焼も、伸び代がみえた4番手タイム


 セッション中はマシンの操作とコースに慣れながら、チームから与えられたミッションをこなしていった小山。最後には新品タイヤを装着して350kwモードでのアタックも実施して4番手タイムを記録したが、本人としては「セッション終盤に赤旗が出て、そこで予定が少し変わってしまいました」と不完全燃焼が多い部分もあったようだ。


「本来ならウォームアップを2周して300kwモードでプッシュ、その後1周のクールダウンラップを入れて350kwモードでプッシュする予定でしたが、セッション終盤で赤旗が出たことで予定がズレてしまい、最初のアタックに入ろうとしたセクター3で急きょ350kwモードでプッシュすることになりました」


「最後のアタックでは、チームと協力してうまくスペースコントロールはできていたのですけど、セクター2の終わりから前のクルマに追いついてしまい、セクター3は完全に引っかかってしまいました」


 小山はセクター1と2でトップ3に入るタイムを記録できていたものの、セクター3だけでは7番手タイムに終わった。その部分はチームもわかってくれている様子で「最終結果はあのタイムになりましたけど、セクター3で私が引っかかっているのはチームも見ていたので『それを考えれば上出来だったよ!』と言ってくれました」と、チームからの評価は上場の様子だ。


「最初はトラブルで全然走れておらず、アタックのときも急きょ予定変更になったなかで走り切ったので、チームのみんなもすごく喜んでくれていました。今回のテストはゼインのシーズンを見据えてのメニューもあったので『ゼインのために時間を使えたから助かったよ! ありがとう』と言ってもらえました」と小山。


 改めて初のフォーミュラEテストに参加した感想を聞くと「また乗りたい」という言葉が返ってきた。


「デブリーフィング(テスト終了後のミーティング)もすべて参加させてもらいましたけど、ドライバーやエンジニアが発言する内容は勉強になりましたし、フォーミュラEは関わっている人がすごく多いです。各役割での仕事ぶりを見ていると『すごくプロフェッショナルな場所だな』と感じました」


「今回は主にゼイン車の無線も全部聞いていましたし、デブリーフィングにも参加しました。エンジニアとの会話ひとつひとつがドライバーとしてすごく勉強になりました」


「乗ってみて楽しさも感じましたし、知らないことに触れると『より知りたく』なります。実際にフォーミュラEのクルマに乗ってみると、ドライバーとして『もっと乗りたい』『乗りこなしたい』と感じる部分はありました」


 ここから先がどう繋がっていくかはまったく未知数のようで、小山も「今後のことはまだ分からない」とのことだったが、雰囲気としては次の展開に発展していってもおかしくなさそうな手応えは掴んでいる様子だった。

小山美姫(ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム) 2024/2025年フォーミュラEプレシーズンテスト
2024/2025年フォーミュラEプレシーズンテストにローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームから参加した小山美姫




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