羽生結弦、ネイサン・チェン追撃へ。フリーに向け「計算を立てる」。

12月6日(金)13時50分 Sportiva


グランプリファイナルでSP2位発進となった羽生結弦

 12月5日のグランプリ(GP)ファイナル男子ショートプログラム(SP)。羽生結弦は、一騎打ちになると話していたネイサン・チェン(アメリカ)がノーミスで今季世界最高の110.38点を出したあとに登場した。そこで、思わぬミスをしてしまった。

 今季のGPシリーズでは「まだノーミスとは言えない」という不満を持つ滑りながら、2試合とも109点台を出しているSP。憧れる存在のひとりであるジョニー・ウイア(アメリカ)の、2006年トリノ五輪のフリーでの演技に感動したからこそ、羽生は同じ会場で開催される今大会で優勝に一歩近づけるような、納得できるノーミスの演技をしたいと思っていた。

 滑り出しは完璧だった。直前の6分間練習でも、余裕を持って跳んできれいに決めていた最初の4回転サルコウは、着氷後の流れもいいきれいなジャンプでGOE(出来ばえ点)加点4.16点をもらう出来にした。そして、6分間練習では一度パンクしてからは挑んでいなかった次のトリプルアクセルも、9人中6人のジャッジがGOEで満点の5点をつけ、他の3人は4点で3.77点の加点という完璧なジャンプにした。

 だがそのあとの4回転トーループ+3回転トーループは、最初の4回転は尻が下がってしまう着氷になり、連続ジャンプにできなかった。ジャッジ全員がGOEでマイナス点をつけ、4.75点の減点となる結果。その直後のフライングキャメルスピンは、レベル4にはしながらも少しスピードが落ちる回転になったが、次のチェンジフットシットスピンからは立て直し、ステップも丁寧に気持ちを込めた滑り。最後のコンビネーションスピンもレベル4にした。だが、連続ジャンプがなかったことで、チェンに12.95点差を付けられる97.43点の2位スタートとなった。

「トーループは悪くなかったと思うけど、力が入りすぎたかなと思っています。でも何か、ミスの仕方としてはあまりないパターンでしたし、何が何でも降りようと思っていたんですけど、しょうがないですね。本番で出し切れなかったということです」

 このミスは、どこか午前の公式練習の曲かけでのミスと似ているところもあった。曲かけでも最初の4回転サルコウと、次のトリプルアクセルはきれいに決めたが、次の4回転トーループでは、重心が少し後ろ側に行き過ぎてしまう着氷になって転倒していたのだ。トリプルアクセルから4回転トーループに入るつなぎが、少し気持ちが入りすぎていたようにも見えた。その勢いが、体の重心を少し先に行かせすぎたのだろうか。

「ネイサン選手の得点は頭に入っていました。もちろんその意識もあったし、ちゃんとやれば超えられる可能性はあると思っていた。ちゃんとやろうというか、きれいな演技をすればいいやと思ってわりと開き直れていたんです」

 こう話す羽生は、会場入りしてからのジャンプが安定していた。これまで時々見せていた、氷のコンディションに苦しむ気配もなかった。前日の公式練習のあとにも「すごく感触がよくて、『すごく好きだな』と思って滑っていた」と話していたように、ジャンプもしっかりハマっていた。そんないい感触だったからこそ、最初の2本のジャンプが完璧だったことで「いける」と思って少し力が入りすぎてしまったのかもしれない。

 トリノ入りする予定だったジスラン・ブリアンコーチが、トラブルがあって一緒に現地入りすることができず、この日、コーチは不在だった。だがその影響はまったくないと羽生は言い切る。

「悔しさはすごくあるけど、悔しいと言っていてもしょうがないですから……。滑り終わった時は反省というよりも、まずはフリーをどのようにこなしていくかということを考えていました。トーループは失敗したけど、トー系のジャンプは悪くない。あとは、自分の演技だけで決まるような結果ではないので。自分の結果を獲りに行くためにも、今何をすべきか、何ができるかということを考えなければいけないと思います。とにかく、明後日に向けて、これからの1分1秒をどうやって過ごすかということをいろいろ計算しながら、計画を立てながら、抜くところは抜いて入れるところは入れてというのをしっかりやっていかなければいけないと思います」

 この日の公式練習でも、前日に続いて1本きれいに決めていた4回転ルッツに関しては、「気持ちとしては入れたいと思っている」とも言う。だがそれも、当日の体調や氷の状態など、すべての条件を見たうえで決めることでもある。

 チェンの公式練習の曲かけを見た限りでは、フリーではフリップとルッツを含めた、4種類5本の4回転を入れてくる可能性は高い。

 それにどうやって対抗して、どうやって逆転を狙うのか。羽生はこれから、それを必死で考えようとしている。

Sportiva

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