F2やF3とスーパーフォーミュラはどう違う!? 若手ドライバーたちが振り返るSFテスト

2017年12月7日(木)20時44分 AUTOSPORT web

 12月6〜7日の2日間、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権のエンジンメーカー/ルーキードライバーテストが行われたが、このテストにはシートを求める外国人ドライバー、そして去就が注目される日本人若手ドライバーが数多く参戦した。このなかで、5人の日本人ドライバーたちが、それぞれがドライブしてきたマシンとの違いや、スーパーフォーミュラへの手ごたえを語った。


 今回は2日間のテストの後、日本レースプロモーションによって若手ドライバーたちの記者会見が行われた。それぞれ高星明誠(B-MAX Racing Team)と大津弘樹(ホンダテストカー)は全日本F3から、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はFIA F2から、福住仁嶺(TEAM MUGEN)はGP3から、金丸ユウ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はフォーミュラV8からと、カテゴリーが異なる。


 彼らの言葉を聞くと、スーパーフォーミュラとはどんなクルマなのか、そしてタイヤを含めるとどんなキャラクターがあるのかが見えてくる。少々長くはなるが、全員のテストを振り返ってもコメントを紹介しよう。


高星明誠(B-MAX Racing Team)


 スーパーフォーミュラSF14は初めてのドライブでしたが、今年アドバイザーをして下さっている本山哲さんからいろいろなインフォメーションをもらい、準備することができました。自分としては、エンジンのパフォーマンスがすごく高かったのが印象的で、トップスピードよりも加速していく感覚が、F3とは大きく違うと思いました。コーナリングスピードもそこまでの到達点がそもそも速いので、首にかかるGやダウンフォースのかかりが、F3とは全然違いましたね。その違いを感じることができたと思います。


 1日だけの走行でしたが、僕たちのクルマは少々パフォーマンスが低かったと思います。そのなかで問題を抱えている部分があり、そこでコースに留まっているのがやっとだったのが大きかったですね。速く走る以前の問題だったかもしれません。


 タイム差としてはあまり手ごたえを感じることはできませんでしたが、今回チームメイトよりも1秒近く速く走ることができたので、同じクルマで戦うことができれば、スーパーフォーミュラで戦える自信はあります。もし参戦することができるのであれば、マシンをどれだけレベルアップさせられるかになると思います。

高星明誠(B-MAX Racing Team)
高星明誠(B-MAX Racing Team)
高星の走りを見守る本山哲


松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)


 スーパーフォーミュラはダウンフォースとタイヤのグリップの部分がFIA F2とは大きく違うので、それに対して、自分のドライビングでアジャストする部分が大きいと感じました。初日、チームメイトの野尻智紀選手が速く、いいデータを見ることができたので、どうすればいいのかを試すことができたのは良かったと思います。


 今回履いたヨコハマは、FIA F2で履いていたピレリと比較すると、ピレリは例えばハンドルを切っているときはブレーキできないし、ブレーキを踏んでいるときはハンドルが切れなかったりと、“ひとつの動作”しか受け入れてくれないんです。でもこのクルマは同時にそれができる。ダウンフォースがあるからかは分かりませんが、むしろそれを同時にやって、ブレーキを踏んだ後にリリースして、エントリーしてスピードを稼ぐという部分はすごくキーになると感じました。逆にF2ではそれができず、できるだけ奥でブレーキを踏むだけ、曲げるだけ、トラクションをかけるだけ、という感じでした。タイヤのライフも全然違いますね。


 一方で、スーパーフォーミュラは一発のタイムを出すのが難しかったです。全体的にタイムを出すのが、ひとつのミスで大きなタイム差になるので、その度合いとミスをしない、というのがいちばん難しかったところです。あとはウォームアップでしょうか。シーズン中はこの気温で走ることはないと思いますが、冷えた状態ではすごく滑る。それで初日スピンしてしまいました。


 SFは同じサーキットで開催することも多いので、みんな走りはじめから速いですよね。でもF2は年に一度というコースが多く、走りはじめで誰がいい状態からスタートできるかがカギでした。その部分のアドバンテージはないかもしれません。でも、みんな状況は同じですし、プラクティスもあるので、スーパーフォーミュラでも戦っていけると思います。

松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)


福住仁嶺(TEAM MUGEN)


 今回のテストでは15号車をドライブさせてもらいましたが、第一印象としてはダウンフォースが大きく、コーナリングがとても速く、最初は驚きました。でもその分すごく楽しむことができましたし、今回の2日間のテストで吸収することも多かったと思います。次回はどうなるかはまだ分かりませんが、自分のスキルに関しては大きく上げることができた2日間だったと思います。


 難しかった点としては、GP3をやっていても一発のタイムを出すのが難しかったですが、このスーパーフォーミュラも難しいです。気合で出るかというとそんなことはないし、ていねいに乗るところは乗って、プッシュしてアグレッシブにいくところはいかないといけないです。今回、山本(尚貴)先輩と一緒に走って、データロガーを見比べたりして、それを痛感しました。あとはミディアムタイヤのときのウォームアップが難しかったですね。この次の周回で本当にいけるのか、いけないのかが、まだちょっと掴みきれませんでした。


 今回初めてスーパーフォーミュラに乗ってみて、昨日の走り出しからすぐ感覚を掴むこともできましたし、今日の全体的なタイムを見ると、まだまだ詰められる部分もあると思います。いろいろなところを踏まえて感じたところではけっこうモチベーションもありますし、自信もあります。


 先日アブダビでF2に乗った後に、今回SFに乗れたことはすごく大きな収穫で、松下選手も言っていたとおり、F2はブレーキがすごく効くので、真っ直ぐ止めてから曲がらなけれならず、同時操作ができないんです。でもスーパーフォーミュラは、F3の速い版みたいなイメージですね。F3でも自信があったので、やっていけると思います。

福住仁嶺(TEAM MUGEN)
福住仁嶺(TEAM MUGEN)


金丸ユウ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


 初めてのスーパーフォーミュラで、僕自身も初めての鈴鹿サーキットでした。乗ってすぐにマシンが速いのは分かりましたし、鈴鹿サーキットはやや狭いのもあって、それもあって余計に速く感じましたね。途中クラッシュしてしまいましたが、デグナーひとつめの縁石で右側のタイヤを引っかけてしまい、ジャンプして着地した時はコントロール不能でした。結果的にそのクラッシュでニュータイヤも入れられなかったです。クルマを直してもらいましたが、午後はフィーリングも違ってしまって、まともに走れる感じではなかったです。結局自分の力を半分も出せなかったと思いますが、自分のミスでもあるので、悔しいのひと言です。


 フォーミュラV8との比較で言うと、パワーステアリングがついているクルマに乗るのが初めてで、どれだけグリップがしているのかが分かりにくい部分があったのは事実です。ただ、コーナリングスピードもストレートも、ダウンフォースの部分でグリップが高く、速いな、という印象でした。


 2018年に向けては、正直僕たちの世代ややっていたカテゴリーから考えると、次の選択肢としてはFIA F2かスーパーフォーミュラしかないので、そのふたつについては乗りたいと思っています。ただ、F2はバジェットも高いですし、フォーミュラV8から3〜4倍の値段もしてしまいます。それが持ち込めるかというと、できないとしか言えないです。なので、スーパーフォーミュラで走ることができればと思いますね。

テスト終了後、JRPに寄る記者会見に出席した金丸ユウ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
金丸ユウ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
金丸ユウ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


大津弘樹(ホンダテストカー)


 2日間テストをさせていただきましたが、僕はこれまでF3しか速いクルマに乗ったことがなかったので、加速感やダウンフォースにすごく驚きました。昨日は(リオ)ハリアント選手がクラッシュしてしまったこともあり、乗る時間が限られてしまったのですが、今日にかけていろいろとデータを見ることもでき、改善して今日のセッションに臨みました。ただ、なかなかうまく乗りこなせず、その部分は悔しかったですが、スーパーフォーミュラはもっと乗りたいと思わせてくれるクルマだと思います。


 タイヤのウォームアップについては、新品タイヤでアタックするときに熱の入れ方だったりが足りず、アタック1周めの前半セクションでまだ温まっていなかったこともありました。その部分はもっと学ばなければいけないですし、ダウンフォースが大きいので、その使い方も活かしきれなかったと感じました。


 今日の結果を見る限りではスーパーフォーミュラはまだ厳しいと思う方も多いと思いますが、しっかり改善できればスーパーフォーミュラでも戦えると思います。もっと詰めなければいけない部分は多いですが、それができるように頑張りたいと思います。

大津弘樹(ホンダテストカー)
大津弘樹と福住仁嶺
ホンダテストカーを駆る大津弘樹


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