SF参戦ドライバーで構成されるFRDAがレースディレクターとミーティング。ジャッジに関し意見交換

2021年12月7日(火)19時22分 AUTOSPORT web

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の鈴鹿合同テストは12月7日、三重県の鈴鹿サーキットでテスト1日目が行われたが、午後のセッション2が終わった後の17時から、ブリーフィングルームにスーパーフォーミュラに参戦するドライバーたちで構成されるフォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション(FRDA)のメンバーが集まり、レースディレクターとジャッジに関する意見を交わした。


 FRDAは、フォーミュラ・ニッポン時代から続く国内トップフォーミュラに参戦するドライバーたちで構成される組織。国内モータースポーツの統括団体であるJAF日本自動車連盟と協調をはかりながら、ドライバーの立場からモータースポーツの振興と安全性の向上について活動している。


 これまで会長は本山哲や土屋武士、中嶋一貴らが会長を務め、国内最高峰フォーミュラの振興と安全に関して活動してきたが、この日は2021年に会長に就任した山本尚貴を中心に、参戦ドライバーたち、そしてオブザーバーとして会の活動を支える一貴、石浦宏明が加わり、レースディレクターたちと意見を交わした。


 冒頭、山本は2021年第6戦もてぎで自身が当事者のひとりとなったアクシデントにおける黒白旗、第7戦鈴鹿での大湯都史樹と野尻智紀の接触、牧野任祐とジュリアーノ・アレジとの接触によるタイムペナルティなどを例に出しつつ、「今年1年間、特に終盤2戦のアクシデントの内容に対しての判定、裁量に対して経緯の詳細などについて知りたいところがありました」と語った。


 実は、2020年から新型コロナウイルス感染拡大の影響で、通常ひとつの部屋に集まっていたドライバーズブリーフィングが行われていなかった。現在スーパーGTもサーキット内でのオンライン開催で、直接顔を合わせる機会は極端に減っていた。スーパーフォーミュラでも、ドライバーズブリーフィングは直接審査委員会、オーガナイザー等と意見を交わす貴重な機会で、それがここ2年失われていたのだ。「お互いの認識の統一と、改良点を見出してほしいと投げかけたところ、レースディレクターの方々、JRPさんに場を設けていただくことになりました」と山本。


「コロナ禍まではレースごとにブリーフィングがあり、意見を交換しながらやっていましたが、みんなで顔を合わせて意見を交わすことができなくなっていました。それがレースダイレクターの皆さんとドライバーとの間で差ができてしまった要素のひとつではないかと思います」


 今回のミーティングは、コロナ禍の影響が少しずつなくなるなか、ふたたびきちんと顔を合わせて、意見を出し合おうというのが狙いだ。FRDAを通じてドライバーたちから上がっていた声を集約し、あらかじめディレクターに伝えた上でのミーティングだったため、非常にスムーズに進行したという。

スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テストの1日目、ドライバーたちで構成されるFRDAがレースディレクターと意見交換を行った。


■内容は「かなり実のある」ものに。2022年開幕へ意見をすり合わせ


 この日のミーティングでは、参加者がしっかりと意見を言えるようにと、メディアは冒頭のみの取材が可能となっていたが、1時間ほどにおよぶミーティングの終了後、山本が代表し「屈託のない意見が出ましたし、終盤2戦、特に最終戦のジャッジが今までよりも重いジャッジが出ていたように感じていたのですが、それについての議論と説明をていねいにしていただき、ドライバーが納得することもありました。また、レースディレクターの方々からも『このままではいけなかったかな』というところも踏まえた意見がありました。かなり実のあるミーティングだったと思います」と内容を語った。


「レースでは誰も当たりたくはないですが、ギリギリのバトルを魅せることもファンの皆さんに対する僕たちの仕事のひとつだと思っています。そこでペナルティを取られてしまうと、ただの走行会になってしまいます。ドライバー、レースディレクターの認識のすり合わせもありましたが、あとはファンやメディアの皆さんに対する、ペナルティの明確化も必要だと思っています。例えば第7戦で言えば、松下信治選手のスタート時のペナルティが何に対してのものなのか分からないままレースが進み、やっている側も分からないなかで、ファンの皆さんに理解してもらうのは難しいと思います。そこは反省点でもあります」


「今後、見せ方も含めて、『ドライバーたちがすごいことをやっていますよ』といくら打ち上げたところで、詳細をファンの皆さんに伝えられなければ、伝わらない。ペナルティや審議の対象を、より早くファンの皆さんに届けられるようなシステムの構築もお願いしました」


 もちろん、レースディレクターとドライバーの間の意識のズレができれば、当然それは現地やテレビで観戦しているファンにも伝わってくる。また山本が言うようにペナルティが出ても、ファンに伝わるまではタイムラグがあったりすることも多い。特に現在はSNSでそういった意見が簡単に、数多く出てくる環境だ。またスーパーフォーミュラが2022年から進める『NEXT 50』を考えても、ジャッジが何に対してなのか、またペナルティの裁定結果などは、ファンにも分かりやすく、明瞭かつ明確に出される工夫が必要になってくるだろう。


 今回の議論も踏まえて、2022年のシーズン開幕前の合同テストまでに接触や行為に対するペナルティの基準を出してもらうようにFRDA側から要望が出され、レースディレクターからも一貫性あるジャッジの明確な基準を出し、すりあわせをした上で開幕戦に臨みたいという合意を得て、ミーティングは終わったという。スーパーフォーミュラをもっと良くしたいという思いは関わるすべての人たちの共通の思いだ。今回のミーティングは、そのためのさらなるステップになったとも言えるかもしれない。

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