「やってしまった」au TOM’Sを追い詰めたNiterra Z三宅の痛恨のスピン。それでも充実のルーキーイヤー
2024年12月8日(日)22時10分 AUTOSPORT web
スーパーGT最終戦鈴鹿、3号車Niterra MOTUL Zは予選7番手から2番手まで順位を上げ、逆転優勝まであとわずかというところまでトップの36号車au TOM’S GR Supraを追い詰めた。だが、フルコースイエロー(FCY)が解除された32周目、3号車の三宅淳詞がスピンを喫してしまう。レース後、三宅にその時の状況を聞いた。
予選7番手からスタートした3号車Niterra MOTUL Zは前半スティントを担当した高星明誠が2周目にひとつ順位を上げると、9周目、10周目と徐々にポジションアップ。18周目にはトップの36号車au TOM’Sの背後につく2番手まで順位を上げたところでピットインし、高星から三宅淳詞にドライバー交代を行った。
「高星さんがかなり順位を上げてきてくれていましたし、絶対に(クルマの)パフォーマンスがいいのはわかっていた。僕に代わった時もすごくウォームアップが良くて、すぐに(36号車との)差を縮めることができました」
乗り替わって36号車auの山下健太の背後についた三宅。ペースは三宅の方が速そうだった。
「やっぱりGT500はハコ車と言えどもダウンフォースをすごく使っているクルマで、それであれだけ接近して走れるということは、よほどパフォーマンスに差がないとできない。最終戦の3号車はすごくパフォーマンスが高かったと思います」(三宅)
1秒以内の接近戦が続くなか、29周目には山下のスリップについた三宅は1コーナーでアウトから山下に並びかかかる。インを抑える36号車山下。アウトからブレーキングを遅らせて1コーナーに進入した三宅は外に膨らんで飛び出しそうになるが、コース内ギリギリで耐えた。この攻防では36号車山下がトップ守ったが、マシンのパフォーマンスは山下の方が厳しそうに見えた。
その1コーナーのバトル直後の31周目、GT300車両のトラブルが発生してFCYが導入。そこで三宅の運命が変わった。36号車auの直後でFCYで指定された80km/hのスロー走行を続ける中、32周目にFCYが解除してアクセルオン。その瞬間、3号車の三宅はスピンを喫し、実質この瞬間、3号車Niterraの優勝争いが終焉を迎えた。
「FCYの解除の時に僕のミスでスピンをしてしまって、台無しにしてしまったので申し訳ないという気持ちです。状況を考えても冬ですので絶対に滑るのはわかっていましたし、もちろん僕としても気をつけていたのですけど、予想以上に(滑ってグリップを失う瞬間が早く)来てしまった。もちろん、僕のミスです。ドライバーだったら、あの状況は絶対に滑るというのは誰もがわかっていると思うんです。『このデグ2は絶対に危ないよな』と僕も思って行っていたのですけど、やってしまった」
ひたすら、反省の弁を語る三宅。たしかにドライバーミスかもしれないが、三宅にとってはあまりにもタイミングが悪い状況でもあった。
FCYが解除された瞬間は三宅がちょうど、デグナー2つ目(デグ2)のクリッピングポイントで、ヘアピンに次いでもっともステアリングを大きく切っていた瞬間だった。そのタイミングでFCY解除が重なりアクセルオン。三宅は修正する時間もなく、瞬間的にスピンしてしまった。タラレバで『もしデグ2のコーナー進入の時だったなら?』『コーナー出口だったなら?』と聞く。
「それはもちろん、変わっていたと思います」と、三宅。だが、すぐに言葉を続ける。
「いや、それでもあのスピンに関しては僕のミスです。どう言っても言い逃れはできません。100-0で僕が悪い」
スピンで優勝のチャンスを逃した三宅だったが、その後の対応は冷静だった。
「ぶつかっているわけではなかったですし、ちょうど(走行しているクルマの)間もあったので、タイミングよくコースに戻ることができて、ロスも最小限に抑えられたと思います。申し訳ないなと思いつつ、まだ20周も残りのレースがったので、やっぱり追い上げようと。ショックな気持ちはありましたけど、気持ちを切り替えて戦うことはできました」
スピンで6番手でコースに戻り、その後に7番手まで順位を下げたが、7番手をキープしてチェッカーまで3号車を走らせた。
「勝ちたかったですね」と、最終戦を改めて振り返る三宅。それでも今季GT500デビューしたルーキーとしては充実の1年だったのではないだろうか。
「もちろん、チャンピオンを獲れるチームで、チャンピオンを目指していたので、その点では悔しい結果にはなりましたけど、僕自身で振り返ると2戦目で優勝を経験することができましたし、オートポリスでも表彰台に上がれて、今回も僕がダメでしたけどトップ争いができた」
「ドライバーとしてすごく自信につながりましたし、この3号車のチームで、高星さんとスタートできたのは大きかったですね。1年を通してチーム、高星さんからアドバイスを頂いていて、ドライビングが似ているというところが大きいのかなと思います。みなさんはどう思っているのかわからないですけど、僕としては『ありがたかったな』という1年でした。のびのびさせて頂きました」
そんな三宅の最終戦の走りについて、木賀新一ニッサン陣営総監督は目を細める。
「本当に速くて、絶対にトップに行けると思っていたけど(苦笑)。ここで勉強じゃないですか。『よくやった』『ナイスファイト』と声を掛けたいです。やっぱり、ああいう場面で行く気持ちがないと、ドライバーの将来はないですよね」
今季のニッサン陣営に現れたスター候補生の三宅は、ルーキーイヤーながら高星とともにドライバーズランキング3位でニッサン陣営トップの成績で2024年を終えた。2025年はどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。
レース再開した瞬間…
Niterraの三宅淳詞がスピンこれが師走の鈴鹿の恐ろしさか
良い走りをしていただけに惜しい#SUPERGT2024 第5戦#鈴鹿サーキット徹底LIVE#スーパーGT#SUPERGT30TH#鈴鹿GT300kmpic.twitter.com/HhT6HM5m9V— J SPORTSモータースポーツ(@jsports_motor) December 8, 2024
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