暫定3位のアーロンが失格。DRSウイングの開口幅を広げる改造を確認/FIA F2第14戦レース1
2024年12月8日(日)6時22分 AUTOSPORT web
12月8日に行われた2024年FIA F2第14戦ヤス・マリーナのスプリントレース(決勝レース1)で暫定3位となったポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)に対し、失格の裁定が下された。
スプリントレース終了後の車検で、アーロンの乗る17号車のDRSアクチュエーターのピストンの長さが1ミリ延長され、DRSウイングの開口幅が広がる改造が行われることが判明したためだ。
ドライバーズランキング3位から逆転タイトルに挑んだアーロンはスプリントレースを7番グリッドからスタート。ポイントリーダーのガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)が2位に入ったことで逆転タイトルの挑戦権を失うも、アーロンは3位表彰台を獲得し持ち前の勝負強さを見せていた。
ただ、スプリントレース後に行われた車検において、アーロンの乗る17号車のDRSアクチュエーターのピストンの長さが1ミリ延長され、DRSウイングの開口部が拡大されるように改造が施されたことが判明した。
FIA F2では技術規則第1.5.2項において『競技者に供給された部品は、特別に許可された場合を除き、いかなる変更も許されない』と定められており、ハイテック・パルスエイトの行為はこのレギュレーションに抵触していた。
聴聞会に出席したチームの代表者は、予選の際にDRSアクチュエーターに問題があり、DRSアクチュエーターを交換したと述べた。ただ、DRSアクチュエーターに対し改造が施された理由についてはわからないと述べた。
また、テクニカルデレゲートは部品を変更した場合、その部品がレギュレーションに適合しているか否かを確認するのが通常の手順であると指摘。チームの代表者は、今回のケースでは確認作業が行われなかったと主張し、またなぜ行われなかったのかはわからないという言及にとどめた。
通常、技術規則違反は出走した該当セッション/レースの失格が標準的なペナルティとなるが、スチュワードは今回のケースについて『チームは部品の不適合を認識していた(少なくとも十分な注意を払えば認識していたはずであった)と強く推定される』、さらには『このような違反は、部品を意図的に修正する行為によってのみ犯すことができる』と言及。違反の重大さを鑑み、スプリントレース失格の他に追加のペナルティを課すことを決定した。
予選で3番手を手にしていた17号車だったが、この追加のペナルティにより12月8日に行われるフィーチャーレースはピットレーンからスタートすることになった。なお、FIA国際競技規則第12.4.6条は追加ペナルティを課す権限をスチュワードに与えている。
アーロンの失格に伴い、ディーノ・ベガノビッチ(ダムス・ルーカスオイル/フェラーリ育成)が3位に繰り上がり、FIA F2デビュー3レース目にして初表彰台を獲得。また、ジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成)が8位に繰り上がり入賞を果たした。また、宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)も11位へと繰り上がった。
そしてランキング2位につけるアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が5位に繰り上がったことでボルトレートとのポイント差は4.5点に変わっている。
■2024年FIA F2第14戦ヤス・マリーナ スプリントレース正式結果
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 21 | J.マルティ | カンポス・レーシング | 38’36.039 |
2 | 10 | G.ボルトレート | インビクタ・レーシング | 2.286 |
3 | 8 | D.ベガノビッチ | ダムス・ルーカスオイル | 18.828 |
4 | 3 | O.ベアマン | プレマ・レーシング | 19.547 |
5 | 20 | I.ハジャル | カンポス・レーシング | 22.980 |
6 | 2 | L.ブラウニング | ARTグランプリ | 26.798 |
7 | 11 | R.フェルシュフォー | MPモータースポーツ | 27.896 |
8 | 7 | J.クロフォード | ダムス・ルーカスオイル | 29.768 |
9 | 12 | O.ゲーテ | MPモータースポーツ | 31.618 |
10 | 5 | L.フォルナローリ | ロダン・モータースポーツ | 33.307 |
11 | 6 | 宮田莉朋 | ロダン・モータースポーツ | 33.784 |
12 | 15 | R.ヴィラゴメス | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 34.727 |
13 | 16 | A.コルデール | ハイテック・パルスエイト | 36.268 |
14 | 22 | M.エスターソン | トライデント | 40.756 |
15 | 14 | J.ベネット | ファン・アメルスフォールト・レーシング | 43.493 |
16 | 23 | C.マンセル | トライデント | 45.303 |
17 | 9 | K.マイニ | インビクタ・レーシング | 52.570 |
18 | 25 | C.シールズ | AIXレーシング | 60.505 |
19 | 1 | V.マルタンス | ARTグランプリ | 1Lap |
– | 24 | J.デュルクセン | AIXレーシング | DNF |
– | 17 | P.アーロン | ハイテック・パルスエイト | DQ |
・ファステストラップ(全体):
#1 ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成):1分39秒427(5/23) 191.211km/h
・ファステストラップ(得点対象):
#21 ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成):1分39秒555(3/23) 190.965km/h
・ペナルティ:
#3/#14:5秒ペナルティ/トラックリミット違反
#6/#16:10秒ペナルティ/接触要因
#17:失格/FIA F2技術規則第1.5.2条違反
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