井手口陽介、日本代表の柱となれ。E-1で問われる真価、リスク覚悟の海外移籍も

12月8日(金)12時3分 フットボールチャンネル

離脱者相次ぐ日本代表。指揮官が信頼を寄せる若手が1人

 まもなくEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会が開幕する。日本代表はすでに3人のメンバー変更があるなどアクシデント続き。そんな中でチームを引っ張っていく責任を背負うのは、21歳の井手口陽介になるかもしれない。(取材・文:元川悦子)

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 12月9日のEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会(E-1)初戦・北朝鮮戦(東京・味の素)がいよいよ目前に迫ってきた。4日から東京都内で事前合宿を行ってきた日本代表だが、左肋骨骨折と左足首痛を訴えて離脱した杉本健勇(C大阪)に続き、6日の練習中に頭部を強打した清武弘嗣(C大阪)も7日に正式に離脱することが発表された。

 代わって土居聖真(鹿島)が追加招集されたが、A代表経験はゼロ。若くフレッシュなメンバーがまた1人増えただけに、誰がチームを統率していくかは大会を乗り切るうえでの非常に重要なテーマになってくる。

 その仕事をやるべき選手の1人が、今や日本代表の主力として完全に定着している井手口陽介(G大阪)だろう。年齢こそ21歳と若いが、2017年の国際Aマッチは6月のシリア戦(東京・味の素)から8試合連続で出場している。

 2018年ロシアW杯出場権獲得を決めた8月のオーストラリア戦(埼玉)でも左インサイドハーフとして凄まじい輝きを放ち、勝利を引き寄せる2点目もマークした。その一挙手一投足はフランス代表のエンゴロ・カンテ(チェルシー)を彷彿させものがあった。今回メンバー入りした同い年の三竿健斗(鹿島)も「(陽介は)すごい監督から信頼されているなと思った」としみじみ語っていて、「ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の申し子」と言っていい存在になっているのは間違いない。

 井手口本人は「自分がチームの中心? それはいいです」と苦笑いしているが、プレーで引っ張りたいという気持ちは強い。とりわけ、初戦の相手・北朝鮮は屈強なフィジカルを武器とするチームで、中盤でのデュエルの戦いが勝負を分ける生命線となる。4年前の韓国大会優勝メンバーの1人である高萩洋次郎(FC東京)も「相手は日本相手にモチベーション高くくるし、守備のところでは体でぶつかってきて自由にプレーさせないという狙いでくる」と体当たりを辞さない相手の出方を警戒していた。

ピッチ外でも顕著な井手口陽介の成長

 それを井手口も自覚していて「相手のビデオを見たけど、球際とかは激しくくると思うし、チーム全員でアグレッシブに戦ってくるという印象だった。その部分では毎試合誰にも負けない感覚でやってるので、北朝鮮にも負けないようにしていきたいです」と改めて語気を強めていた。

 こういった発言が堂々とできるようになったのも、井手口の大きな成長と言える。日本代表に初招集された2016年11月のオマーン(鹿島)・サウジアラビア(埼玉)2連戦の頃は人見知りが激しく、メディアに何を聞かれても「分かんないです」と困惑気味に回答することが多かった。そんな彼が代表で試合を重ね、存在価値を高めていくにつれて、人の目を見ながら自分の意見をしっかりと口にするようになったのは、紛れもなく自信の表れだ。

「去年はガンバでも先輩についていくだけだった。今年は引っ張っていきたい気持ちを持っていたし、そのへんに関しては少しは変わりました」と本人も心境の変化を認めている。しかしながら、「そういう気持ちをなかなかプレーで表現できなくて、難しい状況が続いた」とも発言。今季J1最終戦だった12月2日のFC東京戦後にはガンバでの不完全燃焼感をストレートに吐露していた。今回のE-1はその悔しさをぶつける絶好の機会だ。

 ガンバの先輩・今野泰幸とボランチでコンビを組むことがも有力視されるだけに、日本屈指のボール奪取力を誇る2人がショートカウンターの起点となる献身的な守備とハードワークを見せてくれれば、日本の勝機も大いに広がる。同い年の三竿と組んでも、同じような仕事ができるだろう。井手口自身も「前回大会(2015年=中国・武漢)は最下位に終わったので、まずこの東アジアで優勝することが目標。個人としては監督の求めることを表現しつつ、自分の持ち味をしっかり毎試合出していきたい」と前向きに語り、中盤での攻防を力強く制していくつもりだ。

現実味を帯びる「海外」。E-1でインパクト残しステップアップできるか

 そのうえで、オーストラリア戦のようなゴールを決めてくれれば、まさに理想的。今回の日本代表には絶対的得点源と言える選手がいないだけに、中盤からも積極果敢にゴールを狙っていくべきだ。「ミーティングでも中盤の選手がシュートだったり、点に絡む仕事をしていかないといけないと言われたので、絡んでいけるように頑張りたいです」と背番号2を着ける若武者は虎視眈々とゴールに突き進んでいく。

 この大会で国内組をはるかに超えるクオリティを示せれば、夢である欧州移籍も近づいてきそうだ。11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦の後、井手口は「トップクラスの選手たちとやれたので、海外でやるという気持ちは多少出てきました」と語っていて、早ければ年明け早々にもそういう話が具体的に浮上してもおかしくない状況になっている。

 ロシアW杯直前というタイミングでリスクも少なからずあるが、本人は「タイミングに関しては人が意見を言うことなんで、自分は思ったことを貫き通してやっていければ一番いい」とキッパリ言い切った。納得できるオファーが来れば、リスク覚悟で突き進む覚悟を彼は初めて示した。

 それだけの高い意識を持ってのぞむE-1だからこそ、井手口は日本を2大会ぶりの王者へと導くような傑出したパフォーマンスを見せる必要がある。2013年韓国大会では山口蛍(C大阪)がMVPを獲得し、一気にステップアップしたが、それを上回るほどのインパクトを残してほしいところだ。伸び盛りの21歳のダイナモには、何も恐れることなく、思い切って自分の全てを出し切ってもらいたい。今大会の成否は彼の一挙手一投足にかかっていると言っても過言ではない。

(取材・文:元川悦子)

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