2020年FIA-F4王者の平良響がSF19を初ドライブ。最初は「ガッチガチでした」も監督からは高評価

2021年12月9日(木)14時3分 AUTOSPORT web

 12月9日、全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テストは三重県の鈴鹿サーキットで走行3日目のルーキードライバーテストが行われたが、この1時間2本のセッションで、2020年のFIA-F4チャンピオンである平良響がROOKIE Racingから参加し、スーパーフォーミュラを初めてドライブした。


 沖縄県出身の平良は、2019年からFIA-F4に参戦。2年目となる2020年には速さと強さを発揮しチャンピオンを獲得。2021年はTOM’Sからスーパーフォーミュラ・ライツに参戦していた。ただ、さまざまな要因もあったのか、なかなか思うような成績を残せず、ランキング5位で初年度を終えていた。


 そんな平良だったが、12月9日に行われたルーキードライバーテストで、初めてスーパーフォーミュラをドライブするチャンスを得た。2021年にともにライツに参戦していた佐藤蓮や三宅淳詞が先に合同テストから走行しており、ふたりから感想を聞いていた平良は、かなり緊張をしていた様子だった。


「ガッチガチでしたね。やはり怖いので全身に力が入っていた感覚もありましたし、息も切れていました」という平良だったが、ピットイン〜アウトを繰り返すごとに緊張もほぐれ、1時間の1回目のセッションを終えた後は、レギュラードライバーの大嶋和也、そして片岡龍也監督にアドバイスをもらい2回目の走行に臨んだ。


「前日のロガーも見せていただき、速いところ、遅いところの大きな部分を分析して走りました。1回目に比べて力の抜き方を覚えてきたので、無駄な力なく走ることができました」という平良は、2回目の走行ではニュータイヤを1セット投入し、アタックを行った。


「ニュータイヤでは前日まで皆さん計測3周目アタックだったので、そこは真似しようと同じようにやりました。S字に入った瞬間にグリップの高さに驚きましたが、そのフィーリングをまるまる1周使い切ることができなかったので、最後はもう少しタイムを上げることができたかな、と思っています」とは言うものの、1分37秒447をマーク。他のふたりのライバルのタイムは意識していなかったというが、僅差のタイムをマークしテストを終えた。


「たった1年前までFIA-F4に乗っていた僕がこうしてルーキードライバーテストに参加させていただき、チームの皆さんに感謝ですし、めぐりめぐってきたチャンスを無駄にしないように意識して走りました」と平良は走行後、テストを振り返った。


「事前にシミュレーターはやり込んできたので、目の感じなどは大丈夫かな……とは思っていたのですが、まったく別世界で、最初は目がついていかなかったです。でもシャシーもライツは同じダラーラなので、シートもそのまま入りますし、違和感なく走ることができたと思います」

平良響(ROOKIE Racing)


■テストメニュー以上の内容をこなし、監督からも高評価


 今回の平良のテスト参加は、FIA-F4時代からTGR-DCの講師として育成を担ってきた片岡監督の影響も大きい。今季、NTT Communications ROOKIEとして大嶋の1台体制で参戦してきたチームだったが、やはり少しでも走行時間は稼いでおきたい。ただ、合同テスト3日目のルーキードライバーテストは、文字どおりSF決勝出走回数が積算で4戦未満のドライバーのみが参加可能だ。


 スーパーフォーミュラのパフォーマンスを考えても、やはりライツの経験者がこの走行枠の候補になる。2020年オフのテストでは河野駿佑がステアリングを握ったが、今回は1年間ライツで経験を積み、片岡監督自身も良く知る平良に白羽の矢を立てた。


 ただ、そんな平良の走りはチームの期待以上の満足いくものだったという。「良かったと思います。1時間を慣熟走行3回でチェックし、2回目はユーズドでチェックをして、ニュータイヤを入れてアタックし、ロングランに入るという当初のプランどおり進められました」と片岡監督。


「最初の走り出しはちょっと慎重だった印象はありました。目が泳いでましたからね(笑)。もちろんF4のころから面倒をみているので、比較的緊張しやすいタイプなのは知っていましたが、僕自身も若いころに経験しているように、初めて乗るときの緊張感や、一度走ればそれが解けることも知っていましたので、それほど心配はしていませんでした」


 当初のランプランに加えエアロのチェックなどメニューもこなし、「コメントも正しいことを言っていたので、かなりクルマも感じられていたと思います。ニュータイヤでも思いのほか悪くないタイムも出ましたしね。2日間走っている他のふたりに比べても、限りある時間とタイヤのなかで、良いパフォーマンスをみせてくれたのではないでしょうか」と監督は高く評価した。


 平良自身も「またチャンスがあればドライブしたいです」と振り返ったスーパーフォーミュラ初テスト。2022年の平良自身の努力にもよるかもしれないが、次の“チャンス”はそう遠い日の話ではないのかもしれない。

平良響(ROOKIE Racing)
平良響(ROOKIE Racing)
三宅淳詞と平良響

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