【カペラS&中日新聞杯】藤田菜七子、JRA重賞初制覇!クールなレース運びと相棒との絆

12月9日(月)13時4分 SPAIA

2019年カペラステークスを制した藤田菜七子騎手ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

【カペラS】歓喜に包まれた中山競馬場

今年で12回目を迎える名物短距離重賞カペラSは香港国際競走や阪神JFに話題を取られ、馬券妙味こそあるものの、やや存在感の薄い印象があったが、今年はそれらに負けない話題を提供した。

藤田菜七子騎手がコパノキッキングで圧勝、Twitterトレンド入りを果たした。菜七子騎手がコパノキッキングとコンビを組んだのは初冬のフェブラリーS。小林オーナーが根岸Sを勝った直後にこのコンビを発表すると、たちまち一般紙にも取り上げられるほどの熱狂が生じ、やや話題性に欠ける真冬のダート戦線への注目度を引き上げた。

フェブラリーSから続くコンビは東京盃を勝ち、菜七子騎手の記念すべき初重賞勝ちで大井競馬を沸かせた。JBCスプリントでは一気に統一GⅠを制するのではと注目されるも、4角先頭で夢を見たが、ブルドックボスの強襲に屈して2着。

そして、JRA重賞初制覇をかけて臨んだカペラS。人気ではJBCレディスクラシックで2着だったゴールドクイーンに譲ったが、レースは違えど同じ浦和1400mでの記録はほぼ互角。過剰人気が常の菜七子騎手にしてはファンは冷静な判断を下した印象がある。ただ、コパノキッキングは前年の覇者でもあり、ゴールドクイーンに人気を譲る理由は少ない。このひとつでも人気が落ちた点に菜七子騎手フィーバーが特別ではなく日常へと鎮静化した証しではなかろうか。

先手争いから引いた地点で勝負あり

レースはゴールドクイーン、コパノキッキング、レッドアネラの先行争いがポイント。ながつきSで57キロを背負い33秒0で一気に逃げ切ったゴールドクイーンに対し、コパノキッキングと菜七子騎手は冷静だった。一度は逃げ争いに加わろうかというところで、レッドアネラとゴールドクイーンのツバ競り合いを見て、一旦引いたところがポイントだった。デビュー以来気難しさを抱えていたコパノキッキングを見事に一瞬でなだめてみせた。今年1年コンビを継続したからこそコントロールできた。引く判断も的確だった。

レース2ハロン目は10秒2と芝の短距離戦でもなかなか発生しない猛ラップ。この地点で下げた菜七子騎手の体内時計は大正解。前半3ハロン32秒9は速すぎた。直線入口で馬なりだったレッドアネラも急坂で末を失い、2、3着は中団後方勢。後半3ハロンは36秒4、前後半の落差は3.5秒。先行争いに加わっていれば、どうなっていたか分からない。

レース後のウイナーズサークルにできた歓喜の輪に向かい、はにかみながらガッツポーズで応えた菜七子騎手はコパノキッキングで結果を出してホッとした印象。コンビ継続を貫いた小林オーナーにもファンから大きな声援が飛んでいた。

敗戦組からはいったんゴールドクイーンを競り落としたレッドアネラは最後失速したが、スピード能力は十分に見せた。休み明けの分もあるが、この手のスピードタイプは馬なりから追いだしても伸びないことが多く、さらに早めに積極的にエンジンをふかすような競馬が合うだろう。組み合わせ次第でオープンでも通用する。

東大ホースメンクラブが分析した2強対決、両雄ならび立たずは見事だった。コパノキッキング1着、ゴールドクイーン5着とまさに明暗を分けた結果だった。

【中日新聞杯】2着馬に流れ向くも、決め手で大逆転したサトノガーネット

トップハンデ55キロ、当日の人気すら読みにくい難解重賞は4角14番手から追い込みを決めた4歳牝馬サトノガーネットが勝利した。2着は3歳ながらトップハンデタイの55キロを背負ったラストドラフト、3着は54キロのアイスストームで決着。勝ち時計1分59秒2は暮れに移ったここ2年とほぼ変わらないが、中身をよく吟味すると、違いは多い。

今年はランドネが逃げ、タニノフランケルが2番手でマークする展開。隊列はすんなり決まり、1000m通過は60秒8と重賞としては遅い流れ。昨年はマイスタイルが逃げ、1000m通過58秒7とパンチが利いた流れをつくっていた。

中京芝2000mは急坂からスタートし、3角まで緩やかに上りが続くという見た目以上にタフなコース。先行勢のペースが少しでも上がると、ゴール前の2度目の急坂で必ず逆転が起こる。

今年は予想以上に緩い流れで、先行馬に展開は向いたが、タニノフランケル以下好位勢は直線で伸びを欠いた。2着のラストドラフトにドンピシャな流れをゴール寸前で追い込んで逆転したサトノガーネットは侮れない。残り400mは11秒6-11秒6でラストドラフトもアイスストームも足が上がったわけではない。ぎりぎり決まった追い込みのように見えるが、伸びる前の馬を大きく上回る決め手は特筆できる。2000m戦では緩い流れでも置かれてしまうズブさという弱点は内包しているものの、中京で上がり3ハロン33秒3は見事だった。

勝ち馬と同じ上がり3ハロンを記録した4着ショウナンバッハも見逃せない。今回も進路取りに難がある不器用さがもったいなかった。左回りの2000m戦とかなり好走条件が絞られるムラ馬だが、現役を続けるのであれば、マークしておきたい。

2着ラストドラフトは年明けの京成杯以降スランプ気味だったが、脚部不安から立て直しに成功したようだ。器用さを生かす小回りコース、そう中山での走りに注目してみたい。

我が本命のタニノフランケルはペースを考えれば物足りない。やはり自力で厳しめの流れをつくってこそなのだろう。それに、中京競馬場はこの馬にとってもやや大箱すぎるようで、ラストドラフトと同じく小回りコースをタイトに先行する競馬が合っている。どちらも中山金杯に出走するのであれば、見直したい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にて記事を執筆。

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