弱点克服へ「抱えている問題にメスを入れた」TCS NAKAJIMA RACING。テスト好調も多くは語らず

2022年12月10日(土)18時47分 AUTOSPORT web

 12月7〜8日に鈴鹿サーキットで行われた2022年のスーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト。今回はどのセッションでもTCS NAKAJIMA RACINGの2台が上位につける好調な走りを見せたが、彼らはこの2日間で担当エンジニアや車両の入れ替えなど、さまざまな“組み合わせ”を試していた。


 山本尚貴が64号車を担当し、2022年はTEAM GOHでルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した佐藤蓮が65号車をドライブする形でテストは始まったが、担当エンジニアが2022シーズン中とは入れ替わり、山本には大湯都史樹を担当していた岡田淳エンジニア、佐藤には山本を担当していた加藤祐樹エンジニアがついた。


■「今まで経験してきたやり方とは違った」と佐藤蓮


 チームは初日から好タイムをマークし、セッション1では佐藤が最速タイムを記録すると、午後のセッション2では山本が1分35秒613で首位となった。


 2日目はドライバーとエンジニアの組み合わせは同じまま、今度は乗り込む車両を変更。山本&岡田エンジニアが65号車でテストを行い、佐藤&加藤エンジニアが64号車を担当したのだが、ここでも速さをみせ、最後のセッション4では1分35秒332で佐藤が全体トップタイムをマークし、山本も1分35秒447で3番手につけるなど、さまざまな組み合わせを試している中で、常に安定して上位に食い込んでいた印象だった。

2日間の全体ベストタイムをマークした佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)


 今回のテストについて、加藤エンジニアは「自分たちが抱えている問題に対してメスを入れたものが、(テストで)一通りできました。それぞれで手分けしながらやっていたものが、最終的に同じような答えに行き着いたので、収穫もあったのかなと思います」と説明している。


 車両の入れ替えについては昨年のシーズンオフテストでも試みていたが「昨年もやりましたけど、あの時は雨がらみのコンディションで(車両の入れ替えを)すぐにやめてしまったので、1日をかけてしっかりやろうということになりました」と、当初から予定していたメニューのひとつだったようだ。


 しかし、順位が良かったことについては、特に喜ぶ様子もなく、「(寒いコンディションで)ダウンフォースが多すぎる時期でのテストだったので、来シーズンになってどうなるのかというところは注意しなければいけないですね。今回のテストでいろいろやってみたことで、弱点を克服できたら嬉しいですね」と冷静に分析していた。


 また、今回組んだ佐藤については「彼の乗り方が、(山本)尚貴さんとは、割と違う乗り方をしているというのもお互い理解できましたし、最後に予選アタック練習のようなことをしましたけど、彼が欲しがっている“モノ”が何なのかも僕の方で理解できました」と加藤エンジニア。


 しっかりと準備してきたものに対する検証は順調にできたようで「やはり『このままではまずい』ということで、今回はテストに向けた準備に、かなり努力しました。それができたからこそ、準備したものに対しての刈り取りができたのかなと思います」と語った。


 初めてTCS NAKAJIMA RACINGでテストに参加した佐藤。もちろん、加藤エンジニアとも初めて組んだのだが、「クルマに対する説明がすごくわかりやすくて、お互いの理解も深まった2日間でした。それぞれエンジニアさんで考え方は違うと思うんですけど、例えば『フロントをもっと曲げたい』となった時に、(クルマの)どこを詰めるかというのは、今まで自分が経験してきたやり方とは違ったので、そこは新しい発見でしたし、自分自身の引き出しにもなりました」と佐藤。新たな経験値を詰めた2日間になったようだ。

テスト2日目、64号車で走行した佐藤蓮と加藤エンジニア


 一方、今回は岡田エンジニアと組んだ山本だが「テストなので……正直、あまり語ることはないです」と、コメントはかなり控えめだった。


 それでも「いろいろやらせてもらったので、それを来年につなげられればいいなという感じです。いろいろと発見もあったし、分かったこと、気づいたこともありました。あとは周りがどんな条件でやっているか分からないですけど、久々に常に上位で走り続けられたのは、大きな収穫かなと思います」と振り返った。


 山本と組んだ岡田エンジニアは「やっぱりフィードバックはすごいですね」という。ただ、テスト内容の細かい部分に関しては「車両も入れ替えたり、いろいろ試したり、どういう組み合わせがいいのかではないですけど……どちらかというと新しい発見というよりは、ダメ出し的な部分の方が多かったかなという感じです」と、こちらもコメントは控えめだった。


 この新たな試みが、来シーズンに向けて、どう活きてくるのか。目が離せないポイントのひとつとなりそうだ。

山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)と岡田エンジニア(左)

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