IMSA:小林可夢偉のチームメイトがキャデラックDPi初テスト。ジミー・ジョンソンがドライバー選定の舞台裏を明かす

2020年12月11日(金)11時15分 AUTOSPORT web

 12月8〜9日、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦する複数チームによるプライベート・テストが行なわれた。


 1月のデイトナ24時間レースにアクション・エクスプレス・レーシングの2台目として参戦する48号車キャデラックDPi-V.Rも、ジミー・ジョンソン/シモン・パジェノー/マイク・ロッケンフェラーの手により走行。小林可夢偉は欠席となった。


 NASCARの最高峰カップ・シリーズで7度のシリーズチャンピオンに輝き、2020年限りでNASCARから引退するジョンソンは、2011年のデイトナ24時間レースでGAINSCO / Bob StallingsRacingのライリー・シボレーDPをドライブして以来、10年ぶりのスポーツカー復帰となる。


 テスト2日目の水曜日、ジョンソンは記者団を前に「久しぶりだね」と語った。


「前回、僕がデイトナ24時間に参戦したときから、この車は2世代にわたって進化してきた」


「このDPiマシンでは、グランダム(DP=デイトナ・プロトタイプ)より1周が8〜10秒も速くなっている。ダウンフォースも多く、スピードもあって、運転するのが楽しい車だね」


「とても感銘を受けたよ。インディカーと比較するとパワーは少し劣るが、ブレーキングとコーナーナリングスピードはインディカーに近い。これは驚きだったね」


 モータースポーツ界の4人のスタードライバーをまとめる契約は、ジョンソンから始まっていた。ジョンソンいわく、彼はもともとフルシーズンエントリーするウェーレン・エンジニアリングのキャデラック31号車の追加ドライバーとして指名されたのだという。


 しかしそれはすぐにゼッケン48番での2台目のエントリーへと変更され、ジョンソンのNASCARでのスポンサーであるアリーと、ヘンドリック・モータースポーツのサポートを受けることになった。


「(リック・)ヘンドリックとアリー、そしてジム・フランスが(4人のドライバーの契約を)まとめたんだ」とジョンソン。


「彼ら(ヘンドリック・モータースポーツ)のこれまでの成功があって、契約可能なドライバーがいるならば、1枚のリストに記載されたドライバーから、速い4人を選ぶことだってできるだろう」


「だが彼らは、我々ドライバー全員がどのように調和するかについて、とても時間をかけ、順序立てて、選定作業をしていたよ」


「もちろん、最終リストに載るためにはすべての基準を満たしている必要がある。彼らは大いなる意図をもって、我々4人のドライバーを選んだんだ」


「可能性というものを感じるね。勝利を争うチャンスが、本当にあると思う」

デイトナ24時間レースに参戦する4人のドライバーの名前が記された、アクション・エクスプレス・レーシングの48号車キャデラックDPi-V.R


■大クラッシュ後、ロッケンフェラーを見舞っていたジョンソン


 IMSAの長距離レースで構成されるミシュラン・エンデュランス・カップにおけるアキュラ の追加ドライバーとして3年間を過ごす前は、アクション・エクスプレスに在籍していたパジェノーは、この「オールスター」ラインアップについて興奮を隠さない。


「NASCARの王者、そしてレジェンドであるジミー、DTM王者でありル・マンウイナーであるマイク、そしてF1を経験しWECのチャンピオンとなった可夢偉と、非常に面白いラインアップとなった。とてもエキサイティングだ」と2019年のインディ500王者、パジェノー。


「アキュラと比べるとターボチャージャーがない分、キャデラックのエンジンはレスポンスがいい。だが、BoPがあるため、クルマのパフォーマンスは非常に似ているね」


 ロッケンフェラーとジョンソンが実際に顔を合わせるのは、今回のテストが初めてだった。しかし、2011年のル・マンでロッケンフェラーが大クラッシュに遭ったあと、ジョンソンからロッケンフェラーには見舞いのメッセージが送られていたという。


「ジミーのことはよく知らなかったけれど、2011年の事故のあと、忙しいスケジュールのなかで僕にメールをくれた何人かのドライバーのひとりだった」とロッケンフェラー。


「それは当時、僕にとって大きな意味を持つものだった。まさか一緒のクルマでレースをする日がくるなんて思わなかったけどね」


「僕らのドライバー・ラインアップがクールなのは、どこにも“エゴ”がないことだと思う。全員がそれぞれのベストを尽くすことを望んでいる。僕らは皆、レースとドライビングを愛しているし、さらに勝利を愛している。それが、僕らがここにいる理由だよ」

欧州では長くアウディのドライバーとして活動してきたマイク・ロッケンフェラー


■ジョンソンは将来的なスポーツカーレース継続参戦も視野


 ジョンソンの参戦は現在のところ1戦限りのものであるが、2021年と2022年におけるNTTインディカー・シリーズへのコミットメントの傍ら、将来における他のIMSAのレース出場にも関心を示している。


「これらのイベントでのレースが、僕にとって非常に興味深いことであると、みんなに知ってもらいたい」とジョンソン。


「これまでの7回のデイトナ24時間、それとワトキンス・グレン、そして夏のデイトナでの(スポーツカーの)レース経験を振り返ると、僕は常に、スポーツカーレースこそがNASCARでのキャリアの後にやりたいことだと感じていたんだ」


「インディカーへの参戦機会も得ることができたが、同時にスポーツカーレースも僕が間違いなく興味を持っていることであると、知らせる必要がある」


「今回のレースに参戦することは、将来やってくることに準備するという意味で重要だ」


「今回よい走りとよいパフォーマンスをすることで、今後数年間でコラボレーション(LMDh)が進んだ際、“扉を開く”のに役立つだろう。少なくとも、僕を人々の心の中に留めておくことにはなるだろうからね」

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