ホンダF1田辺TD予選後会見:最後のレース、そしてチームワークで勝ち獲った結果に喜び「思い出に残るポール」
2021年12月12日(日)16時40分 AUTOSPORT web
ホンダF1最後のレースとなる2021年F1第22戦アブダビGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポールポジションを獲得した。ストレートでスリップストリームを与えるなど積極的に献身したセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)も4番手、そして角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はフリー走行から終始速さを見せ、今季初めてチームメイトを予選で破って8番手に。ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は12番手だった。
この結果を受けてホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、「『ホンダ勢4台完走4台入賞』」の目標を掲げるのもこれが最後」だとして、「悔いなく力を出し切ったレースにしたい」とレースへの決意を語っていた。
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──マックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得しました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。初日フリー走行から予選前までメルセデスのペースが非常に速く、難しいセットアップ作業を進めてきました。Q3ではペレス選手がスリップストリームでマックス選手をサポートするなど、素晴らしいチームワークもありポールポジションを獲得できました。ホンダとしても、最終戦でのこの結果はとても喜ばしいと思っています。
──アルファタウリ・ホンダはいかがでしたか?
田辺TD:ここ数戦は、2台揃っていいパフォーマンスを見せてきていました。そして今週末は角田選手が抜群の安定感と速さを見せてくれました。終始ガスリー選手を上回るラップタイムを出し、予選でもガスリー選手を初めて破ってQ3進出を果たしました。ここまでの1年間、多くのことを学び、理解してきたことが、この結果に結びついたのだと思います。
ガスリー選手の12番手は少し残念ですが、とはいえQ3に進めなかったのはトラフィックの影響もありました。実際にはラップタイムほどの差はなかったですし、ガスリー選手も十分にいいペースを持っていると思います。
──明日の角田裕毅選手はミディアムタイヤスタートです。
田辺TD:はい。マックス選手も当然ミディアムで行くはずだったのですが、Q2アタック中にフラットスポットを作ってソフトに切り替えました。そのためトップ10でのミディアムスタートはメルセデス2台と角田選手だけになりました。戦略的には難しいところもありそうですが、いずれにしても4台揃って速さはあります。『ホンダ勢4台完走4台入賞』の目標を掲げるのもこれが最後ですので、ぜひ実現したいですし、悔いなく力を出し切ったレースにしたいと思っています。
──最後のポールポジションは田辺TDにとっても特別なものですか?
田辺TD:最後のレースでポールポジションを獲れたわけですが、そこまで苦しんだりしていたのが、チームワークで勝ち獲った結果でした。そこが非常に重い、そして思い出に残るポールだと思います。
──フリー走行では苦しんでいただけに、予選でメルセデスの前に出られたのはホッとした部分はありますか?
田辺TD:スタートタイヤがソフトということがレースにどう影響するか。チームも最初はミディアムを予定していたわけですが、逆に言えばソフトで出る利点を最大限活かすために何をすべきか。ソフトのメリットを活かす戦略を立て、それをしっかりと実行する。それが我々の唯一の道でしょうし、それが結果に結びつくと信じて準備を進めます。
──前を走るということで、パワーユニットの使い方も変わってくるのでしょうか?
田辺TD:その部分はあまり変わらないでしょうね。エネルギーマネジメントの合わせ込みは前でも後ろでも同じです。冷却系は前にいたほうが楽ですけどね。
──前戦のサウジアラビアGPではスタートがあまりよくありませんでした。レッドブルのエンジニアを含め、最終戦こそはという思いはありますか?
田辺TD:そうですね。過去にいろいろと失敗してきたケースを見直し、すべてをうまく運ぶ。そして、なんとしても最初に1コーナーに飛び込む。エンジニアルームはそんな雰囲気でした。
──決勝レースに望むことは?
田辺TD:とにかくクリーンなレースですね。後味の悪くないレースです。それはマックス、ルイス(・ハミルトン/メルセデス)の両選手に限らず、20人のドライバー全員ですね。彼らが全力を出し切り、その結果が今年のチャンピオンシップに反映される。そんなレースになればと思います。