WEリーグに新加入した外国籍選手11人【2023/24シーズン】
2023年12月13日(水)14時0分 FOOTBALL TRIBE
今2023/24シーズンで3年目を迎えた日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)。参加クラブ数も11から12に増え、新たに公式アプリが登場するなど盛り上がりは徐々に勢いを増している。海外クラブへ移籍する日本人選手が増える一方、WEリーグへ新加入する外国籍選手も増えている。
今季現時点で所属している外国籍選手は11名。これは2021/22シーズンと同じ数字だが、ジェフユナイテッド千葉レディースのヘッドコーチやINAC神戸レオネッサのジョルディ・フェロン監督などスタッフ陣を含めると今季が最も多いと言える。
ここでは、今季WEリーグに所属する11人の外国籍選手に注目し、出身国やこれまでの経歴について紹介していこう。
DFオケケ・チディンマ・ンケルカ(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:ナイジェリア
- 生年月日:2000年8月11日(23歳)
- 加入日:2023年10月17日
- 前所属クラブ:ハポエル・ビア・アシーバ(イスラエル1部)
スペインの強豪マドリード女子での経験もあるDFオケケ・チディンマ・ンケルカ。2016年にU17ナイジェリア女子代表に選出後、2018年、2019年にも同代表に選出されFIFA女子W杯フランス大会にも出場している。DFでありながらFWの働きもできる期待の万能選手だ。
11月23日に行われた第3節アルビレックス新潟レディース戦(1-2)でWEリーグ初出場を果たすと、後半87分には得点に繋がるアシストを記録。惜しくも1-2で敗北を喫したが、オケケ個人としてはデビュー戦で得点アシストという華々しい結果を残した。以降、第4節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦(0-5)、第5節の大宮アルディージャVENTUS戦(1-2)とここまで3試合連続出場していることからも、チームの期待度が伺える。
DFマリエ・アウォーナ(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:フランス、カメルーン
- 生年月日:1993年2月2日(30歳)
- 加入日:2023年7月25日
- 前所属クラブ:SCブラガ女子(ポルトガル1部)
2009年から2012年までU16やU19のフランス女子代表、2015年以降はカメルーン女子代表としても活躍しているDFマリエ・アウォーナ。これまで欧州の7クラブで経験を積んでおり、出身国フランスの強豪クラブASJソヨー女子やスタッド・ランス女子(いずれもフランス1部)での経験もある。
特に2011年から2018年まで所属したASJソヨーでは7年間も契約更新し、試合出場回数は100を超える。9月に治療およびリハビリのためフランスに一時帰国したマリエ。万全の体調で合流し、WEリーグの舞台で活躍してくれることを願っている。
MFパウラ・ゲレーロ・サンズ(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:スペイン
- 生年月日:1996年9月20日(27歳)
- 加入日:2023年8月10日
- 前所属クラブ:バレンシア女子(スペイン1部)
2013年にU17、2015年にU19スペイン女子代表選手に選出。スペイン1部のレバンテUD女子でもプレー経験があるMFパウラ・ゲレーロ・サンズ。
今季ここまで(12月11日時点)未出場だが、来日直前に所属していたバレンシア女子では全43試合に出場していたこともあり、今後の試合展開によっては堂々たるプレーが期待できそうだ。自身のプレーについて「ポゼッションが得意なテクニカルな選手」と語るパウラ。スペインのトップチームで多くの経験を積んできたパウラのWEリーグデビューが待ち遠しい。
MFチャチャワン・ロッドトン(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:タイ
- 生年月日:2002年6月22日(21歳)
- 加入日:2023年9月27日
- 前所属クラブ:バンコクFC(タイ3部)
U14からU16、U19と順調に世代別代表に選出され、2021年以降現在もタイ女子代表として連続選出されている優秀選手MFチャチャワン・ロッドトン。マイナビ仙台に移籍が決まった2022年には「夢であったWEリーグでのプレーが実現となり、とても嬉しく思っている」と熱い想いを語った。
第5節終了時点でまだ出場機会を得られていないが、自身の特徴として動き続けられるスタミナの強さを挙げており、今後FWとのコンビプレーにも期待がかかる。
FWカーラ・バウティスタ(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:スペイン
- 生年月日:2000年3月14日(23歳)
- 加入日:2023年7月15日
- 前所属クラブ:アルバセテ財団女子(スペイン1部)
攻守ともにパラフルさが持ち味のFWカーラ・バウティスタは、11月11日の開幕戦にスタメン出場を果たしWEリーグデビュー。ちふれASエルフェン埼玉を相手に後半74分のPK戦で見事なシュートを決め、3-1でチームを勝利へと導いた。
その後も第2節INAC神戸レオネッサ戦(0-3)、第3節アルビレックス新潟レディース戦(1-2)にスタメン出場したカーラ。これまでスペインを基盤に6つのクラブに所属しており、レアル・ソシエダ女子やバレンシア女子(いずれもスペイン1部)など強豪クラブでの経験も有している。その豊富な経験から生み出されるパワーと知性を備えた貫禄あるプレースタイルで、チームをより一層盛り上げてくれるに違いない。
FWジャニスタ・ジナントゥヤ(マイナビ仙台レディース)
- 出身国:タイ
- 生年月日:2003年9月9日(20歳)
- 加入日:2023年8月10日
- 前所属クラブ:ASJソヨー女子(フランス1部)
FWジャニスタ・ジナントゥヤは2017年からU14タイ女子代表に選出され、2019年にはU16、2023年にはタイ女子代表として活躍。クラブ経験はタイ1部のチョンブリ・ウィメンのほか、フランス1部のASJソヨー女子など大舞台での経験も持ち合わせている。
WEリーグデビューは11月23日の第3節アルビレックス新潟レディース戦。後半81分から出場すると得意のスピードを活かしたプレーを披露した(1-2)。クラブが公開しているジャニスタの座右の銘は「決して引き下がらない、決して諦めない」。今後、この座右の銘がキラリと光る活躍を見せてくれるに違いない。
MFサクラ・ヨシダ(ちふれASエルフェン埼玉)
- 出身国:アメリカ
- 生年月日:2000年10月25日(23歳)
- 加入日:2023年9月19日
- 前所属クラブ:ニューメキシコ大学
U14、U15、U18〜20と世代別アメリカ女子代表での経験があるMFサクラ・ヨシダ。アメリカのシアトル・レイン・アカデミーからキャリアをスタートし、その後オレゴン大学、オクラホマ大学、ニューメキシコ大学とアメリカでは強豪大学のリーグで活躍していた。
2023年9月、ちふれASエルフェンへ新加入。公式インタビューでは「幼い頃からプレーすることを夢見てきた日本で、プロとしてのキャリアをスタートさせる機会に心から感謝している」とコメントし喜びをみせた。WEリーグではまだ出場を果たしていないが、新天地となる日本でどんな雄姿を見せてくれるか楽しみだ。
DFビアン・サンプソン(ジェフ千葉レディース)
- 出身国:ジャマイカ、イングランド
- 生年月日:1996年7月2日(27歳)
- 加入日:2023年9月15日
- 前所属クラブ:ハート・オブ・ミドロシアン女子(スコットランド1部)
2012年にU14、その後2014年までU19のイングランド女子代表選手として活躍。2021年からはジャマイカ女子代表選手として現在もプレーするDFビアン・サンプソン。今夏開幕されたFIFA女子W杯オーストラリア&ニュージーランド大会にも出場した大物選手だ。
WEリーグデビューは11月26日に開催された第4節の三菱重工浦和レッズレディース戦。後半86分に途中出場したがゴールを奪うことはできなかった。サンプソンはクラブ公式インタビューで「今夏のW杯でジャマイカ代表としてブラジル相手に引き分けたことが、サッカー人生で最も嬉しかったこと」とコメントしている。W杯出場経験のある選手の活躍に期待大だ。
FWタニガーン・デーンダー(AC長野パルセイロ・レディース)
- 出身国:タイ
- 生年月日:1992年12月15日(31歳)
- 加入日:2023年7月26日
- 前所属クラブ:チョンブリ女子(タイ1部)
173センチの長身を活かした守備と、自身も認める力強いシュート力が持ち味のFWタニガーン・デーンダー。2012年からタイ女子代表選手としても活躍している。これまでの大半は出身地タイのクラブを拠点にしているが、フィンランドのエステルスンドDFF(2014年-2016年)にも所属経験がある。幅広いフィールドで経験を積んでいるタニガーンだが、試合前には必ず世界レベルの選手のゴールシーンを観て集中するのがルーティン。
12月9日に行われた第5節INAC神戸レオネッサとの試合にスタメン出場しWEリーグデビューを飾ったタニガーン。前半33分には移籍後初となる力強いゴールを決め、強豪INAC神戸相手に1-1と引き分けに落とし込んだ。今後、チームを牽引するエース候補としても注目だ。
MFナッタワディ・プラムナーク(AC長野パルセイロ・レディース)
- 出身国:タイ
- 生年月日:2000年10月9日(23歳)
- 加入日:2023年8月8日
- 前所属クラブ:バンコク女子FC(タイ2部)
2019年にU19タイ女子代表として選出後、現在も代表選手として活躍しているMFナッタワディ・プラムナーク。AC長野パルセイロ・レディースへの移籍が決定した際には「日本のクラブでプレーすることは1つの夢であり、ベストを尽くしハードワークすることを約束する」と力強くコメントしている。
11月12日に行われた日テレ・東京ベレーザとの第1節(1-3)からベンチ入りを続け、12月9日の第5節INAC神戸レオネッサ戦(1-1)終盤で途中出場。活躍の場面はなかったが、今後はタニガーンと共にタイ出身コンビとしてピッチで躍動してくれるはずだ。
FWザーラ・ムズダリファ(セレッソ大阪ヤンマーレディース)
- 出身国:インドネシア
- 生年月日:2001年4月4日(22歳)
- 加入日:2023年7月4日
- 前所属クラブ:サウス・シールズ女子(イングランド5部相当)
母国インドネシアではもちろん、インドネシア通の女子サッカーファンなら誰もが知っているFWザーラ・ムズダリファ。その知名度の高さは彼女が公開しているインスタグラムのフォロワー数(約90万人)からもよく分かる。WEリーガーとしてもインスタグラマーとしても存在感のある選手だ。
国民的な人気を誇るザーラだが、13歳までは男子のアカデミーチームに所属していた。しかし、FIFAの規定により14歳以降は男子チームでのプレーが認められず行き場を失ってしまう。2018年、インドネシアで開催されたアジア競技大会を機に初めて女子の代表チームが編成されるとザーラも招集され、初戦となったモルディブ女子代表戦で2ゴール、1アシストと大活躍をみせた。
この流れに乗りインドネシアにもようやく女子リーグが誕生したものの、2020年からの世界的パンデミックの影響で活動は停止。才能ある若き選手は再び活躍の場を失った。そんなザーラが今夏セレッソ大阪ヤンマーレディースに新加入。第5節終了時点で出場機会はまだ得られていないが「できるだけ多くの出場時間をプレーするのが目標」と話しているザーラ。WEリーグでのデビューを世界中の90万人が待ち望んでいる。