クルマへの信頼を取り戻し4位入賞「最終戦は完璧な週末。来季に向けて最高の準備になった」/角田裕毅レース後インタビュー
2021年12月14日(火)18時59分 AUTOSPORT web
F1最終戦アブダビGP予選で8番グリッドを獲得した角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、ここ数戦の課題としていたスタートも完璧に決め、1周目にバルテリ・ボッタス(メルセデス)をパス。その後も安定した速さで周回を重ねると、最後のセーフティカー明けの再スタートで再びボッタスを抜き、自己最高の4位フィニッシュをはたした。
「最終戦で完璧な週末を過ごすことができた」と語る角田は来季に向けて、「この終盤5戦で見せられたような進化を、序盤から発揮できたらと思っています」と決意を見せた。
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──最終戦はスタートもきっちり決めましたね。
角田裕毅(以下、角田):この4レースほどずっとスタートで順位を落としていたので、そこが今日はキーポイントになると思っていました。スタートを決めてからのレースペースもよかったし、最後に再びソフトで(バルテリ・)ボッタスを抜けたのもよかったです。
──ミディアムタイヤはソフトタイヤに比べると温まりにくいコンパウンドですが、ホイールスピンもなかった?
角田:そうですね。スタートの蹴り出し自体は決してよくなかったのですが、1コーナーには順位を落とさずに入れて、すぐ前のボッタスは同じミディアムだったし、負けられないという気持ちで攻めていって、抜くことができました。
──ターン9ではフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)をうまく抜いて行きました。どんな状況だったか、説明してもらえますか。
角田:彼が僕を抜いたのはコースをはみ出しながらだったので、順位を戻してくれると思っていたんですね。ところが全然そうしてくれないから、抜くしかないと思った。今シーズンはアロンソにけっこうやられっぱなしだったので、あそこは引けないと思って、それで意地で抜いて行きました。
──予選の際には、「開幕戦バーレーンでの自信を取り戻せた」と言っていました。今日のレースで、さらにそれは強固なものになりましたか?
角田:それはまちがいないですね。今シーズンはイモラ(エミリア・ロマーニャGP)、それからフランスと続けてクラッシュしたことで、完全にクルマへの信頼を失ってしまった。それを取り戻すのにすごく苦労しましたし、今まで感じたことのないような、クルマをまともに操れていない感覚に陥っていました。そこからチームの支えもあり、少しずつ周回を重ねることで今の状態に持ってこれた。ここまで本当に長い道のりでしたけど、最終戦で完璧な週末を過ごすことができた。来季に向けての、最高の準備になったと思います。
──来季はどんなシーズンになりそうですか?
角田:決して楽観はしてません。タフな戦いが続くと思います。年明けにすぐにテストで、ゆっくり休んでいるヒマもない。でもその間にさらにトレーニングに励んで、開幕スタートから攻めていきたいです。
──今季以上の活躍ができそう?
角田:わからないです。マシン戦闘力次第でしょうね。僕自身も、まだF1マシンの運転について完全に自信を取り戻しているわけではないですし。この終盤5戦で見せられたような進化を、来季は序盤から発揮できたらと思っています。
──今年のFIAベストルーキーは、あなたですか?
角田:ベストルーキーですか? どうかなあ。今だったら、僕だと言えるかも(笑)。でもこのレース前は、FIA-F2のタイトルを獲ったオスカー(・ピアストリ)が妥当だったでしょう。素晴らしいシーズンを過ごしましたしね。
──最後にホンダのタイトル獲得について、今の思いを。
角田:マクラーレン時代には本当に辛い思いをしたと思いますし、そこからのチャンピオンの道のりは本当に長かった。それが今回、マックス(・フェルスタッペン/レッドブル・ホンダ)が初タイトルを獲って、最高の形で終えることができた。マックスが栄冠を手にできたのもホンダの現場スタッフだけでなく、ミルトンキーンズやHRD Sakuraの多くの人たちの努力のたまものだと思います。僕らがいいシーズンの締め括りをできたのも、彼らのおかげですし。そこは本当に感謝です。