Jリーグから海外クラブへ移籍した外国人選手の現在【2024】

2024年12月15日(日)14時30分 FOOTBALL TRIBE

チャナティップ・ソングラシン(左)マイケル・オルンガ(右)写真:Getty Images

2024明治安田Jリーグは全日程を消化し、J1からJ3までの各カテゴリーで優勝および昇降格が決定した。これからオフシーズンに突入し、各クラブで選手の入れ替わりが激しくなる。サポーターに惜しまれながらクラブを離れる選手もいれば、Jリーグで花を咲かせることが出来ず海外へ活躍の場を求める選手もいる。


また、移籍後のクラブで多くのサプライズを起こし話題になる選手がいる一方で、なかなか実力を発揮できず苦しむ選手もいる。ここでは、Jリーグから海外クラブに移籍した8人の外国人選手について、特徴や現在の活躍などをピックアップしていく。




チャナティップ・ソングラシン 写真:Getty Images

MFチャナティップ・ソングラシン(BGパトゥム・ユナイテッド)


日本での最終所属クラブ:川崎フロンターレ


1人目はタイ代表のMFチャナティップ・ソングラシン。身長160センチ体重56キロと小柄ではあるが、初速の速さと俊敏さでゴール前の狭いエリアをすり抜けることが出来るプレーヤーだ。2012年、タイ1部のBECテロ・サーサナ(現ポリス・テロ)でプロキャリアをスタートさせると、初年度にタイリーグ年間最優秀若手選手賞を受賞。2016年には同1部のムアントン・ユナイテッドへ移籍し、翌2017年に当時J1の北海道コンサドーレ札幌へ期限付きで加入した。


Jリーグ初年度は、チームのJ1残留に大きく貢献。翌年にはミハイロ・ペトロヴィッチ体制の下、リーグ4位とクラブ史上最高順位の躍進に尽力した。2022年からはJ1屈指の強豪クラブ・川崎フロンターレへ完全移籍。この時、川崎が札幌に支払った移籍金は約4億6,000万円と言われており、国内クラブ間での史上最高額として多くのサッカーファンに衝撃を与えた。


ドリブラーとしてウィングのポジションでの活躍を期待されたが札幌時代のようなパフォーマンスは見せられず2023シーズン途中に退団。同年6月にタイ1部のBGパトゥム・ユナイテッドへ完全移籍すると、2023/24シーズンは出場したリーグ戦23試合で4ゴール6アシスト、2024/25シーズンには14試合で3ゴール7アシストと故郷タイの地で再び躍動している。日本とタイの架け橋となったチャナティップ。今後の更なる活躍に期待したい。




マイケル・オルンガ 写真:Getty Images

FWマイケル・オルンガ(アル・ドゥハイル)


日本での最終所属クラブ:柏レイソル


2人目は身長193センチ体重85キロと恵まれた体格のFWマイケル・オルンガ。競り合いの強さはもちろん、速さやボールタッチの柔らかさも特徴である。スピードやアクロバティックなプレーなど身体能力の高いアフリカ人選手は多いが、なかでもオルンガは全ての能力に優れた万能型FWである。


2012年にプロキャリアをスタートさせると、4年目のシーズンにはケニアのトップリーグで得点王を獲得。1試合7ゴールを記録するなどケニア国内でもずば抜けた得点力を見せていたオルンガ。2016年にはスウェーデン1部のユールゴールデンに移籍し、国内リーグ得点ランキングで5位に輝くなどの活躍を見せた。しかし翌年以降に移籍した中国1部の貴州智誠やスペイン1部のジローナでは思うように活躍できず、2018年8月に当時J1の柏レイソルに入団した。


当時J2降格の危機に瀕していたクラブの救世主として期待されたが、すぐに結果を出すことは出来ず残念ながらチームは降格。しかし翌2019シーズンは27ゴールをマークし、J2得点ランキング2位の成績を残すなど、チームのJ2優勝とJ1昇格に大きく貢献した。なかでも最終節の京都サンガ戦で魅せた1試合8ゴールの記録は、日本のみならず世界に衝撃を与えた。さらに翌シーズンも7試合連続ゴールを挙げるなど、トータル28ゴールで柏史上初となるJ1リーグ得点王・MVP(最優秀選手賞)に輝いた。


日本で異次元レベルの活躍を見せたオルンガは、2020/21シーズンよりカタール1部のアル・ドゥハイルに完全移籍。今シーズンもここまで出場した9試合で8ゴール2アシストと驚異のペースでゴールを量産している。現在30歳のオルンガ。活躍の場を再びヨーロッパに移すことも十分に考えられるだろう。




ジュニオール・サントス(右)写真:Getty Images

FWジュニオール・サントス(ボタフォゴFR)


日本での最終所属クラブ:サンフレッチェ広島


3人目はかつて柏レイソルや横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島で活躍したFWジュニオール・サントス。身体能力の高さと抜群のスピードに加え決定力にも優れている。2018年にブラジルのイトゥアーノでキャリアをスタートさせ、同1部のAAポンチ・プレッタやフォルタレーザを経て2019年に当時J2だった柏レイソルへ加入。しかし、この年は特に活躍できずにシーズンを終えている。翌2020年、J1に昇格した柏で思うような結果が残せず横浜FMへレンタル移籍すると、シーズン途中での加入ながら出場した22試合で13ゴール1アシストと躍動。FWエリキ(現町田ゼルビア)と並びチーム内得点王となる活躍を見せた。2021年に広島へ完全移籍するが、翌2022シーズン途中にブラジル1部のボタフォゴFRへと期限付きで移籍。その後フォルタレーザを経て現在は再びボタフォゴでプレーしている。


今シーズン出場したリーグ戦24試合で4ゴール1アシスト。さらに南米ナンバーワンを決めるコパ・リベルタドーレスでは11試合出場10ゴール1アシストと驚異的な数字を叩き出し、同大会の得点王を獲得。チームはクラブ史上初の南米王者に輝いた。


ボタフォゴは2025年6月15日からアメリカで開催されるFIFAクラブワールドカップ2025に出場し、グループBでFWウスマン・デンベレ擁するパリ・サンジェルマン(フランス1部)やFWアントワーヌ・グリーズマン擁するアトレティコ・マドリード(スペイン1部)、アメリカの名門シアトル・サウンダーズと同居している。いまやチームに欠かせないストライカーとなったサントスが、世界でどんなパフォーマンスを見せるのか非常に楽しみである。




リンコン 写真:Getty Images

FWリンコン(ラインドルフ・アルタッハ)


日本での最終所属クラブ:ヴィッセル神戸


4人目はかつてヴィッセル神戸に所属していたFWリンコン。ブラジル人特有のドリブル技術と味方とのコンビネーションを駆使したプレーが得意な万能型FW。そんなリンコンは15歳からブラジルの各世代別代表の主力としてプレーしており、同年代には現在スペイン1部のレアル・マドリードに所属するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールがいた。


ブラジルの名門CRフラメンゴの下部組織に所属していたリンコンは、2017年にトップチームへと昇格。頭角を現し始めていた2019年にハムストリングスを負傷し戦線離脱を余儀なくされる。怪我からの復帰後も出場機会に恵まれず悔しいシーズンを送った。2021年にヴィッセル神戸へ完全移籍で加入。しかしリンコンはFW古橋亨梧(現セルティック)やFW大迫勇也といった日本屈指のFW陣を前に影を潜め、出場した公式戦18試合で1ゴールと思うような活躍は出来なかった。


その後もレギュラーに定着できず、2022年8月にブラジル2部のクルゼイロECへとレンタル移籍。途中出場が多く9試合1ゴール2アシストの成績で、2023年3月には早々と神戸への復帰が発表された。2023シーズンは公式戦10試合に出場し4ゴール(天皇杯2ゴール、ルヴァンカップ2ゴール)を挙げるもレギュラーを掴むことは出来なかった。神戸は2024年3月1日にリンコンと合意の上で契約を解除したと発表。翌月18日にオーストリア1部のラインドルフ・アルタッハが獲得するも、度重なる怪我の影響もあり今シーズンはここまでリーグ戦2試合出場ノーゴールと厳しい状況が続いている。しかし、まだ23歳のリンコン。1つのゴールをきっかけに覚醒する可能性も高く、今後の活躍に期待したい。


アレクサンダー・ショルツ 写真:Getty Images

DFアレクサンダー・ショルツ(アル・ワクラ)


日本での最終所属クラブ:浦和レッズ


5人目は2024シーズン途中まで浦和レッズでプレーしていたDFアレクサンダー・ショルツ。現在31歳のショルツは、母国デンマーク1部のヴェイレBKでプロデビューし、その後アイスランドのストヤルナン、ベルギーのロケレン、スタンダール・リエージュ、クラブ・ブルッヘ、デンマークのミッティランを経て2021年夏に浦和レッズへと加入した。


浦和では不動のセンターバックとして公式戦135試合に出場し、DFながら21ゴール3アシストと得点力も抜群で、チームのAFCチャンピオンズリーグ制覇や天皇杯でのタイトル獲得に大きく貢献。2023シーズンにはJリーグのベストイレブンにも輝いており、国内屈指のセンターバックとして存在感を放っていた。今夏にカタール1部のアル・ワクラへ完全移籍し、ここまで公式戦19試合出場1アシストを記録している。




ディエゴ・ピトゥカ 写真:Getty Images

MFディエゴ・ピトゥカ(現ブラジル2部・サントスFC)


日本での最終所属クラブ:鹿島アントラーズ


6人目はブラジルの名門サントスでも活躍したMFディエゴ・ピトゥカ。ボランチを主戦場とし、ゲームを組み立てることに長けている。特に利き足である左足から繰り出される高精度なキックは目を見張るものがある。


2021シーズンから所属した鹿島アントラーズでは、3年間で公式戦106試合に出場。8ゴール6アシストを記録している。今季よりブラジル2部のサントスへ復帰したピトゥカは、早くもチームの中心選手として公式戦51試合に出場。5ゴール3アシストの活躍で見事クラブの1部昇格に貢献している。




オラ・ソルバッケン 写真:Getty Images

MFオラ・ソルバッケン(エンポリ)


日本での最終所属クラブ:浦和レッズ


7人目は元浦和レッズのMFオラ・ソルバッケン。186センチの長身に加え、競り合いの強さやスピード、技量の高さが揃っている選手である。特に初速の速さは世界でもトップレベル。2018年に母国ノルウェーでプロキャリアをスタートさせると、当時ノルウェー1部のランハイム・フォトバルやFKボデ・グリムトを経て2022年1月にASローマ(イタリア)に移籍。シーズン途中の入団でありながらリーグ戦14試合に出場。翌年、ギリシャ1部のオリンピアコスへのレンタル移籍を経て2024年1月に浦和レッズへと半年間の期限付きで加入。しかし開幕前の沖縄キャンプで負傷し長期離脱を余儀なくされ、結局半年間で5試合1アシストという残念な結果に終わってしまった。


同年8月からイタリア1部のエンポリに期限付きで移籍すると、ここまで14試合に出場しまずまずのパフォーマンスを見せている。まだ26歳のソルバッケン。怪我さえなければ、欧州5大リーグで十分に花を咲かせることが出来る選手だ。




セルジ・サンペール 写真:Getty Images

MFセルジ・サンペール(モトル・ルブリン)


日本での最終所属クラブ:ヴィッセル神戸


8人目は、かつてスペイン1部リーグでもプレーしていたMFセルジ・サンペール。ボランチを主戦場としており、攻撃のビルドアップ能力が高く視野も広いことからゲームを落ち着かせることが出来るプレーヤー。身体能力はそれほど高くはないが、判断力や足元の技術に長けているのが魅力だ。


ヴィッセル神戸に在籍した5年間(2019-2023)で公式戦99試合出場6アシスト。2022年3月に負った怪我の影響もあり出場機会が限られ、2023年7月16日に行われたJ1第21節のサガン鳥栖戦を最後に退団。同年7月にアンドラ(スペイン2部)へ移籍し、公式戦19試合出場1得点をマーク。2024年8月に移籍したモトル・ルブリン(ポーランド1部)では、ここまでリーグ戦13試合に出場し1アシストをマークしている。

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