WEC:メカクロームがLMP1用新型エンジン概要を発表。IMSA DPiへの転用も示唆

2017年12月18日(月)19時13分 AUTOSPORT web

 ルノーF1エンジンの主要サプライヤーであるフランスの部品メーカー、メカクロームは2018/19年のWEC世界耐久選手権用に開発したLMP1用3.4リッターV6シングルターボエンジン『V634P1』の概要を明らかにした。


 今回の発表で初めてその名称が明らかとなった新型エンジンは、メカクロームが2018年からFIA F2(旧GP2)に供給する新型ターボエンジンの発展型といえるもの。そのスペックは最高出力650馬力、最大トルク650Nmを発揮と発表された。


 エンジンの大部分はメカクロームの工場で製造されるが、スチールバルブ、ピストン、コンロッド、そして日本のNHKニッパツが製造するバルブスプリングなどは外部のサプライヤーの生産部品を使用している。

メカクローム製のFIA F2用3.4リットルV6シングルターボエンジン


 メカクロームではLMP1、F2のほかGP3用エンジンも手がけており、こちらも3.4リッターV6という型式を採用。しかし、GP3ではNA自然吸気である点前述の2タイプとは異なる。


 また、95度のVバンク内にシングルターボを搭載するLMP1、F2用では燃料噴射装置が異なっており、LMP1用ではより巨大なパワーを必要とするため250バールの直噴インジェクターが採用されたほか、ターボ、燃焼室、ピストン、エンジンバルブもF2用から変更された。


「この新しいV6エンジンのプロジェクトは、およそ2年半前に始まった」と語るのはメカクローム・モータースポーツを率いるブルーノ・エンゲリック。


「LMP1プログラムが開始したのはGP3、FIA F2用エンジンの製造を担当することが決定した後だった。それ故に2016年シーズンに向けて生産していたGP3用V6エンジンを基礎とすることは当然の決定だったんだ」


「来シーズン、LMP1プライベーターの競争が激しくなるのは明らかだった。そのために我々はエンジンの限界を引き上げる必要があったが、供給するチームの予算に合わせた開発をするため問題解決への対応に多くの知恵を絞らなければならなかったよ」


 より巨大なパワーを得る点に関して、モータースポーツ用エンジンでは普遍的なツインターボにしなかった理由としてはエンジンサイズを挙げる。


「LMP1用エンジンのシングルターボはF2用と同様にVバンクの中心にあるが、それぞれのターボではその仕様が大きく異なっている。また、我々はツインターボを搭載する可能性も模索したが、エンジンサイズをコンパクトに抑えるためにはひとつの大きな過給器を備える方が最適であると考えたんだ」とエンゲリック。


「我々はとてもエキサイティングな見通しが立ったパラメーターリストを有している。協力関係を築く新たなチームを歓迎するとともに、一緒に仕事をすることを楽しみにしているよ」

マノーTRSレーシングのジネッタLMP1イメージ


 パッケージエンジンとしてジネッタLMP1シャシーに搭載されるほか、BRエンジニアリングとダラーラが共同開発した『BR01』への搭載も可能とされている『V634P1』。メカクロームでは今回の発表において、LMP1以外の活用法についてもコメントしており、その一環としてIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのデイトナプロト・インターナショナル(DPi)用への改良も検討しているとした。


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