年俸で勝る日本は「冷酷だ」 球界関係者が告白した助っ人獲得事情の変化「韓国は投手のレベルが低い認識がある」

2024年12月19日(木)6時0分 ココカラネクスト

元広島のデビッドソンも韓国でキャリアを再起させた助っ人の一人だ。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

ルールの違いがもたらす影響

 球界を取り巻く助っ人選手の事情にも変化が生じているという。金銭面が重要視されないケースが増えているらしいのだ。

 日本球界にとっても見逃せない内情を伝えるのは、韓国の日刊紙『朝鮮日報』だ。同紙は、今オフのKBO(韓国プロ野球)リーグに、パトリック・ウィズダム(→KIAタイガース)、エステバン・フロリアル(→ハンファ・イーグルス)、コール・アービン(→斗山ベアーズ)などMLBでの出場経験を持つ助っ人が相次いで移籍したことを紹介。その実力とは裏腹に契約年俸が日本の助っ人選手と比較しても「低い」とした。

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 元ヤンキースのトッププロスペクトであるフロリアルや、MLB通算28勝のアービンは日本球界からの関心も報じられていた選手である。KBOリーグがサラリーキャップ制を用いている状況を加味しても、NPBの方が好条件を得られた可能性は高い。

 ではなぜ働き盛りの彼らは韓国球界に飛び込むのか。それはズバリ、MLBに返り咲く“逆輸入”を見込んだ出場機会を求めているからだという。

 助っ人の移籍事情の変化を伝える同紙は「現役メジャーリーガーらがより多くの年俸とより高いリーグ水準を誇る日本行きを拒絶して韓国を訪れる理由はハッキリとしている」とキッパリ。さらに同紙の取材に応じた韓国球界の関係者は、次のように応えている。

「外国人選手起用条件が彼らにとってより良い選択肢として機能している。今、韓国は現役メジャーリーガーたちにとって新たなチャンスの場となっている」

 また、日韓両球界の助っ人に対するルールの違いも契約内容に影響が及んでいる。

 NPBでは助っ人の保有は無制限。かたやKBOは保有人数が1球団3人と制限が設けられている。これにより代役を立てられる日本に比べて、簡単にクビを切られることがなく、個人の出場機会が増加。活躍次第でMLB復帰への道も開けるというわけである。

 同紙は一連の事情について「内心、韓国を足がかりにもっと大きな舞台(MLB)に再挑戦することを期待している外国人選手たちは、安定した出場機会を保証される韓国にいる方が、自ずと試合感覚とスキルアップに役立つと考えている」と指摘する。

 実際、今オフにNCダイノスと再契約に至った元広島のマット・デビッドソンは「競争のストレス」を理由に日本球団からの再オファーを拒絶。韓国でのキャリア継続を複数の現地メディアが報じていた。

日本は「容赦なく2軍行きを通告されることも…」

 さらに同紙は日韓両球界の“違い”を強調してもいる。

「日本では外国人選手の保有制限がなく、年俸も高額である一方で、成績に冷酷だ。パフォーマンスが期待を下回ると、容赦なく2軍行きを通告されることも少なくない。シーズンを通して2軍で過ごすと、選手たちのMLB復帰の可能性はさらに狭まり、アピールできる成果(成績)もなく、新たな移籍先を探すのも難しくなる」

「ある野球関係者は『外国人選手が日本より韓国を好むのは、投手のレベルが比較的低いという認識があるからだ』と話した。日本の投手たちは総じてレベルが高いが、韓国は“滅多打ち”にされる投手が目立つ。外国人選手は韓国での成績をMLB球団に『保証書』として提出することができるというメリットがある」

 たしかに指摘通りではある。近年では選手が韓国からMLBに復帰するケースは増加傾向にある。24年シーズンも前年にKBOで20勝を挙げてMVPに輝いたエリック・フェッディが復帰早々に9勝、防御率3.30の好成績を記録。一度は失格の烙印を押された米球界でのキャリアをふたたび切り開いた。

 助っ人選手のプライベートのサポートなど各種生活インフラを充実させた環境を提供する球団も少なくないというKBOリーグ。制約によって日本との補いきれない金銭の差を、ありとあらゆる手段で埋める彼らの交渉は実に興味深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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