個人昇格続々!今冬の去就が注目される選手4選【J2リーグ2023】

2023年12月20日(水)10時0分 FOOTBALL TRIBE

平川怜(左)小森飛絢(右)写真:Getty Images

町田ゼルビアの優勝で幕を閉じた2023明治安田生命J2リーグ。町田とジュビロ磐田が自動昇格で終え、壮絶なプレーオフの結果、東京ヴェルディが最後の昇格枠を勝ち取った。各クラブ来季に向けた移籍関連のニュースが注目される昨今。加入する選手と同等あるいはそれ以上に注目されるのが、流出に関する話題だ。


近年、下位カテゴリーから上位カテゴリーへの移籍、いわゆる「個人昇格」で成功する選手が増加している。今2023シーズン夏の移籍においても、大宮アルディージャからセレッソ大阪へ加入したMF柴山昌也や、藤枝MYFCから名古屋グランパスへ移籍したMF久保藤次郎など加入後に活躍を見せた選手が複数いる。Jリーグの盛り上がりに一役買っているのは間違いないが、下位カテゴリーのクラブからすればチームの中軸を引き抜かれるだけに、その影響度は計り知れない。


今冬もすでに、ジェフユナイテッド市原・千葉の6年ぶりとなるプレーオフ進出に貢献したMF見木友哉や、J3からの昇格組であったいわきFCの守備の要DF家泉怜依など複数の選手が来季J1を戦うクラブへ移籍することが報じられている。加えて、今季J2で唯一ACL(AFCチャンピオンズリーグ)を戦うヴァンフォーレ甲府の中心選手MF長谷川元希の獲得に動くクラブがあるとの噂が出るなど、個人昇格の話題はまだまだ続きそうだ。


ここでは、2023シーズンに活躍した選手で、今冬J1クラブへ移籍してしまいそうな4名を紹介していく。




MFイサカ・ゼイン(横浜FC所属時)写真:Getty Images

イサカ・ゼイン(モンテディオ山形)


昨季から2年連続でプレーオフ進出を果たした2023シーズンのモンテディオ山形。そんな山形で、今季加入したばかりにも関わらず高い貢献度を示したのがMFイサカ・ゼインだ。驚異的な縦への推進力を武器に、右サイドから積極的な仕掛けとスピードで攻撃しJ2各クラブの守備陣にとって怖い存在であり続けた。数字の上でも、40試合出場6ゴール5アシストと確かな実績を残している。それだけに、J1でも活躍を見込める選手の1人であることは間違いない。


大きな得点源でもあったMFチアゴ・アウベスが契約満了ですでに去ってしまった山形。有能な若手選手が複数いるとは言え、攻撃の軸となったイサカまで手放しては来季J1昇格に向けて大きな懸念を抱えることになるだろう。昨冬もMF山田康太(柏レイソルへ移籍)やDF半田陸(ガンバ大阪へ移籍)ら主力選手を失っており同じ轍は踏みたくないところだが、イサカの活躍を見れば複数のクラブが獲得に乗り出したとしても不思議はない。




ジェフユナイテッド市原・千葉 FW小森飛絢 写真:Getty Images

小森飛絢(ジェフユナイテッド市原・千葉)


昨季の特別指定を経てジェフユナイテッド市原・千葉へ加入したFW小森飛絢。今2023シーズン、すべてのカテゴリーにおいて間違いなくトップクラスの輝きを放ったルーキーと言えよう。結果的にJ1昇格こそ逃したものの、小森自身は開幕から3戦連続ゴールを含む13ゴールをマーク。J2リーグにおける日本人トップタイのゴール数を挙げ、チームを6年ぶりのプレーオフ進出に導いている。


ルーキーとは思えないボールコントロール技術と決定力を併せ持ち、ゴール前でひときわ大きな存在感を放った。ゴール数もさることながら、得点に直結する技術力の高さやゴールへの強い意識からJ1クラブが獲得に乗り出したとしても不思議はない。来季こそ昇格を目指す千葉としても、クラブの未来を担う存在として手放したくない選手だろうが、今季その去就が最注目のストライカーと言えよう。


ザスパクサツ群馬 FW佐藤亮 写真:Getty Images

佐藤亮(ザスパクサツ群馬)


J3のギラヴァンツ北九州から今季ザスパクサツ群馬へ加入したFW佐藤亮。42試合すべてに出場し、6ゴール9アシストと充実したシーズンを過ごしたと言えよう。このゴール数とアシスト数はいずれもチームトップの数字。流れの中からの正確なクロスはもちろん、セットプレーでも高精度なボールをゴール前へ供給してチャンスを演出している。また、エリア内でのポジション取りも実に効果的。反対サイドからの崩しの場面では、エリア内中央に詰めて厚みを出す働きも果たしゴールも積み重ねた。


挙げた数字とプレーにおける質の高さから、特に群馬の攻撃面で中枢を担ったことに疑いの余地はない。それだけに、J1クラブが補強に向けてこぞってリストアップしていることも考えられる。群馬は今夏の移籍で、FW長倉幹樹がJ1アルビレックス新潟へ移籍。すでに重要な戦力を個人昇格で欠いている。今季はJ3からJ2へ戻ってきた2020シーズン以降最も手ごたえのあるシーズンを過ごした群馬。来季は悲願のJ1昇格に向けてより戦力を強化して臨みたいはずだ。そのためにも佐藤のチーム残留は死守したいところ。果たして守り切れるのか。群馬の背番号「10」の去就から目が離せない。




ロアッソ熊本 MF平川怜 写真:Getty Images

平川怜(ロアッソ熊本)


今シーズン開幕前、昨季躍進の影響もあり多くの主力選手が他クラブへ流出したロアッソ熊本。しかし、留まった選手や新加入組の活躍もあって、順位こそ大きく下げたもののJ2残留を決めている。なかでも、シーズンを通して八面六臂の活躍を見せたのがMF平川怜だ。今季は41試合とほぼ全試合に出場し7ゴール9アシストをマーク。23歳にしてチームの核としての役割を全うした。


広い視野と正確なボールさばきでのチャンスメイクが大きな魅力。加えて、ゴール前でも冷静なプレー選択と精度維持ができることで、相手守備陣に脅威を与え続けた。もちろん、そのキック精度は流れの中だけでなくセットプレーでも発揮される。まさにJ2でも屈指のゲームメーカーであることを証明した1年だったと言えよう。それだけに、国内はもとより海外も含め複数のクラブから声がかかっても不思議はない。今季キャプテンでもあった平川を失えば、来季再び残留争いに巻き込まれる事態にもなりかねない熊本だが、今冬も移籍で苦しむことになるのだろうか。平川の動向に注目が集まっている。

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