超短期決戦!2026年Jリーグ特別大会「0.5シーズン」の楽しみ方

2024年12月20日(金)18時0分 FOOTBALL TRIBE

Jリーグ 写真:Getty Images

Jリーグは、2026-27シーズンからの秋春制移行に向け、約半年間の空白期間となる2026年前半にシーズン移行期の「特別大会」を開催することを12月17日に発表した。J1リーグ特別大会、J2・J3リーグ特別大会に分けて開催される。


特別大会では「地域リーグラウンド」という新たな試みや、28年ぶりとなるリーグ戦でのPK戦復活などが注目されているが、ここではそれらの詳細を含め、J史上最初で最後となるであろう「0.5シーズン」の楽しみ方を検証したい。




ヨドコウ桜スタジアムでの大阪ダービー 写真:Getty Images

J1リーグ特別大会の楽しみポイント


J1リーグ特別大会では、東西10チームずつに分かれ、ホーム&アウェイ方式で2回戦総当たりとなる地域リーグラウンドと、地域リーグラウンドでの同順位同士でホーム&アウェイで開催され最終順位が決定されるプレーオフラウンドが開催される。


地域リーグラウンドは、比較的近距離クラブ同士との対戦が行われていることによって、アウェイ遠征もしやすく、各地のダービーマッチも失われることもないため、熱戦が繰り広げられるだろう。逆に選手にとっては、開幕戦から100%のコンディションで挑まないと、アッという間にV戦線から取り残されてしまう。


昇降格がないため思い切ったターンオーバーや若手の登用も想定される。また「勝点1ごと」「最終順位ごと」に分け与えられる総額12億円にも上る特別助成金が設定されており、これまで優勝争いの経験がないクラブでも、序盤に勢いに乗れば十分に優勝のチャンスが生まれてくる。誰しもが予想し得ないようなクラブがシャーレを掲げる可能性を秘めているのが、この変則的レギュレーションだ。


また、延長戦なしでのPK決着というルールが採用され、サブGKに“PK戦要員”をベンチ入りさせる可能性もあるだろう。後半アディショナルタイムでのGK交代といったシーンが見られるかも知れない。PK戦による勝利で勝ち点2が与えられることで、蹴る側も守る側も“PK職人”と呼ばれる選手が出現し、ヒーローとなるケースも考えられる。


さらに面白い試みが、プレーオフラウンドだ。地域リーグラウンドでの同順位同士でホーム&アウェイで開催され最終順位が決定されるが、こちらは2戦合計でも決着がつなかった場合は延長戦が行われ、それでも勝敗が決しない場合はPK戦にもつれ込むことになる。


もちろん、地域リーグラウンド1位同士の対決が盛り上がりを見せるのは必至だ。優勝クラブには、賞金1億5千万円とAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2026-27シーズンへの出場権が与えられるからだ。加えて、中位や下位同士の対戦であっても、最終順位がそのまま賞金に反映されるため、気の抜けない戦いが期待できる。


Jリーグの審判 写真:Getty Images

J2・J3リーグ特別大会の見どころは下剋上


J2・J3リーグ特別大会は、その名の通りJ2クラブとJ3クラブを混在させた総40クラブによる争いだ。地域リーグラウンドは、地域ごとに各10チームの4グループに分けられ、それぞれがホーム&アウェイで順位を争う。延長戦なしでのPK戦決着、J2・J3・JFLとの昇降格なし、「勝点1ごと」「最終順位ごと」に特別助成金(総額6億円)が払われる点は、J1リーグ特別大会と同様だ。ただJ2とJ3全40クラブが参加するため、その総試合数は地域リーグラウンドだけで400試合となる。


J1リーグ特別大会が優勝、そしてACLE出場権を争う戦いである一方、こちらの見どころは下克上だ。J2とJ3の壁を撤廃して行われるとあって、当然ながらJ3クラブはJ2クラブを負かして1つでも上の順位を目指し、1円でも多くの賞金を得ようと選手にハッパを掛けるだろう。選手としても、このシーズンは“個人昇格”のチャンスでもあるのだ。


プレーオフラウンド1回戦では、各グループの同順位同士の4チームで1試合のノックアウト方式で試合を行う。2回戦は1回戦の勝利クラブ同士、敗戦クラブ同士が対戦し、最終順位を決定。こちらもJ1特別大会同様、延長戦、PK戦ありのルールだ。ノックアウト方式を採用したことによって、番狂わせが起きやすく、特にJ3クラブのサポーターにとってはワクワクするようなレギュレーションとなっている。


J1リーグ特別大会とJ2・J3リーグ特別大会双方にいえることだが、地域リーグラウンドでは90分で勝敗がつかなければ即PK戦となるため、最後まで勝敗が予測できない。PK戦の緊迫感を楽しむことができ、プレッシャーに晒された選手のパフォーマンスにも注目される。


また、地域リーグラウンドでは「90分勝利=勝ち点3」「PK戦での勝利=2」「PK戦での敗戦=1」「90分敗戦=0」という設定により、リスクを取って攻撃的な戦術を採用するのか、守り切ってPK戦に持ち込み勝ち点を稼いでいくのか、監督それぞれの勝負に対する考え方を知るきっかけともなるだろう。




新時代を迎えるJリーグに向け


2026シーズンの特別大会は秋春制移行の準備期間として開催されるため、各クラブが新時代を迎えるJリーグに向け、どのような戦術や選手起用を試みるかを観察する楽しみがある。また、若手の台頭や、外国人選手を含めた新加入選手をフィットさせる期間に充てることもでき、秋春制で行われる新シーズンへの期待を、サポーターに示すことができる。


元はといえば秋春制への移行は、欧州とのカレンダーに合わせるためのもの。もちろん、クラブにとっても特別大会が重要になることは言うまでもないが、欧州移籍を目指す選手にとってこの「0.5シーズン」は海外スカウトへのアピールも兼ねたショーウインドーでもある。こうした視点で変則シーズンを楽しむのも一興だろう。


これまでのJリーグとは全く異なるレギュレーションで行われる特別大会。結果はどうあれ、日本サッカー史に残るシーズンとなることは間違いない。この機会にしか見られないスリリングな試合を存分に楽しみたいところだ。

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