アルゼンチンのSTC2000、トヨタ戴冠ならず。ルノースポールが戦略勝ちでチャンピオン
2019年12月21日(土)10時17分 AUTOSPORT web
アルゼンチンの人気ツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)の2019年最終戦となった第12戦は、選手権首位を行くルノースポールのリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が予選から優位に立ち、TOYOTA GAZOO Racing YPF INFINIAのトヨタ・カローラSTC2000勢を圧倒。決勝でもシボレーYPFチームの2016年王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)に続いて2位に入り、史上最年長記録で王者に輝いた。
いよいよタイトル争い天王山を迎えたSTC2000は、12月14〜15日にアルゼンチン南部パタゴニア地域最大の都市となるネウケンのトラックで決戦のときを迎えた。
最終戦を前にトヨタのマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラSTC2000)からポイントリーダーの座を奪い返したペーニャは、この週末2回の予選セッションともに最速を記録し、Q1で2ポイント、Q2で3ポイントのボーナスを加算。選手権ランキングでの差を12点にまで拡大し、速さだけでなく精神的にも重圧を与えて、2019年シーズン最後の決勝レースを迎える優位な展開とした。
一方、2019年はルノースポール勢に対する唯一の対抗馬として奮闘してきたロッシは、Q2で5番手タイムに終わったものの、セッション後に「ECUのマネジメントにより、エンジンパワーでわずかにロスしていたことが発覚した」と語り、2019年から導入されたオレカ製の2リッター4気筒直噴ターボのワンメイクエンジンをリセッティングすることを決意。決勝での巻き返しを期す姿勢をみせた。
迎えた日曜正午スタートの決勝は、最前列を確保したペーニャがロッシの位置にかかわらずトップ4に入れば戴冠という圧倒的優位な状況で始まると、まずは失うもののないフロントロウ2番手のシボレーYPFクルーズ、カナピノが1コーナーを先取。ルノー・フルーエンスGTのペーニャは2番手からじっくりレースを進めていく。
一方、オープニングで4番手につけたロッシは、シーズンを通じてそのスピードで好アシストを見せてきた3番手のジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)とともにルノー・フルーエンスGTを追う形になり、まずはサンテロが再三にわたってペーニャに仕掛けていく。
すると4周目には無線を通じてチームオーダーが入り「ポジションを入れ替えろ」との指示により、ロッシが3番手へと浮上。ここから直接のマッチアップとなったタイトルコンテンダー2台は、レース序盤3分の1にわたってコンマ1秒差圏内の熾烈なバトルを展開する。
ペーニャの前でフィニッシュできなければ王座の可能性がないロッシだったが、その後も週末最速のフルーエンスGTを攻略する手立てがなく、終盤にはジリジリとギャップが開いていき、20周を経過した頃にはテール・トゥ・ノーズの状態を維持できなくなっていく。
これを見たTOYOTA GAZOO Racing YPF INFINIAチームは、チェッカーまで残り2周となる24周目に再びサンテロを前に出すと、最後のペーニャ攻略を託す作戦に出る。
しかしレース距離わずか2周ではチャンスを作り出すことができず、2台は0.4秒差でフィニッシュラインを通過。勝者カナピノに続き2位表彰台を確保したペーニャが2019年王者に輝き、3位にサンテロ、そしてトヨタのエース・ロッシは無念の4位に終わる結果となった。
これにより、ルノースポールで長年走ってきた苦労人ペーニャは、5度のランキング2位という自己記録を突破して、自身初となる待望のSTC2000シリーズチャンピオンの称号を獲得。同時に44歳という史上最年長記録も打ち立てることとなった。