トヨタ・ヴィッツGRを峠道で検証。“らしさ”はそのままに走りが大幅向上/市販車試乗レポート

12月24日(月)17時10分 AUTOSPORT web

 オートスポーツwebの試乗企画第5回。今回はトヨタのコンパクトカー、Vitz(ヴィッツ)のGR SPORT“GR”グレード(以下、ヴィッツGR)に試乗した。2017年の9月に誕生したトヨタの新スポーツカーシリーズ『GR』が放つヴィッツGRはどんな乗り味なのか。峠道でその走りを体感してきた。


 これまでトヨタはスポーティなコンプリートカーブランドとして『G Sports(G’s)』を展開してきたが、2017年からはWEC世界耐久選手権やWRC世界ラリー選手権へ参戦する際に使用している『GAZOO Racing』の頭文字である『GR』ブランドへ刷新した。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”


 このGRブランドでは、エンジン内部までチューンした究極のスポーツモデル『GRMN』を頂点に、本格スポーツモデルの『GR』、エントリースポーツモデルの『GR SPORT』の3モデルが展開されている。今回試乗したヴィッツGRは、本格スポーツモデルの位置に属する。


 コンパクトカーの代名詞とも呼べるヴィッツが、ヴィッツGRでどこまで本格スポーツカーへ変貌しているのか。その走りを体感すべく、今回は山梨県の山中湖近郊の峠道に向かった。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(正面)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(正面)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(横)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(横)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(後部)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”(後部)


 走りの前に、まずは外観をチェックしていこう。ヴィッツGRには専用のエアロパーツがふんだんに盛り込まれている。フロント周りでは空力を考慮する形でバンパーやリップスポイラーが備えられたほか、ヘッドランプ周りも鋭さを感じるデザインに仕上げられている。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用ラジエーターグリル
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用ラジエーターグリル
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用フォグランプ
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用フォグランプ
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用Bi-Beam LEDヘッドランプ
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用Bi-Beam LEDヘッドランプ


 リヤ周りもブラックカラーの大型ディフューザーなどが備えられたほか、コンパクトながら存在感を放つリヤルーフスポイラーも特徴的だ。

オプションのGRリヤスポイラー
オプションのGRリヤスポイラー
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用の大型リヤディフューザーとマフラー
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用の大型リヤディフューザーとマフラー
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用LED式リヤコンビネーションランプ
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用LED式リヤコンビネーションランプ


 足元を支えるタイヤはブリヂストンのハイグリップタイヤ、POTENZA(ポテンザ)RE050Aを標準装備。タイヤサイズは205/45R17で通常グレードより1インチアップしており、見た目とパフォーマンスの両面でスポーティさを引き立てている。

ホールもトヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用。205/45R17のブリヂストンPOTENZA RE050Aを標準装備している。
ホールもトヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用。205/45R17のブリヂストンPOTENZA RE050Aを標準装備している。


 室内はカーボン調の装飾やアルミパーツが多く盛り込まれ、スポーツカーとしての上質感が増している印象を受ける。トランスミッションは、CVT(自動無段変速機)車と5速マニュアル車が設定されている。今回、試乗したのはCVT車で、こちらには10速スポーツシーケンシャルシフトのマニュアルモードが備えられている。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の車内(フロント)
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の車内(フロント)
ステアリングは本革巻き③ポンスポークで下部には『GR』のロゴがあしらわれている。
ステアリングは本革巻き③ポンスポークで下部には『GR』のロゴがあしらわれている。
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用シルバープレートアナログメーター
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用シルバープレートアナログメーター


 さっそくコクピットに乗り込み、いざ試乗。専用のスポーティーシートは座り心地も良く、体をしっかりと支えてくれる。搭載エンジンは、1NZ-FE型の1.5リッター直列4気筒。最大出力は通常グレードよりも10馬力多い109馬力(80kW)で、最大トルクは136N・m(13.9kgf・m)を発揮する。エンジン音は比較的おとなしいが、高回転域ではスポーツカーらしいサウンドを奏でる。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の運転席と助手席には専用のフロントスポーティシートが備わっている。
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の運転席と助手席には専用のフロントスポーティシートが備わっている。
シートに座るとしっかりと体を支えてくれる。
シートに座るとしっかりと体を支えてくれる。
助手席も広く。専用スポーティシートが長距離ドライブの疲労を軽減してくれた。
助手席も広く。専用スポーティシートが長距離ドライブの疲労を軽減してくれた。
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の後部座席
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の後部座席
後部座席は天井も高く。ゆとりを感じる。
後部座席は天井も高く。ゆとりを感じる。
インパネオーナメントはカーボン調
インパネオーナメントはカーボン調


 まずは峠へ向かう一般道でのフィーリング。サスペンションはGR専用チューニングのSACHS(ザックス)製アブソーバーを装備していることもあり、足は硬め。しかし、不快な突き上げは感じず、毎日乗っていても苦にはならないだろう。高速道路での巡航中は、硬めの足が安定感を生むため、スムーズに走ることができた。


■高剛性ボディがもたらす安定したコーナリング性能


 高速を降りて、いざ峠道へ。まずは緩やかなアップダウンが多い道を走り出すと「本当にコンパクトカーなのか?」と思うくらい、きびきびとした走りをしてくれる。特に感じたのは応答性の良さ。カーブが連続する場所でも、ロールが少なく、ブレーキング時のピッチングも穏やかだった。


 ヴィッツGRは、スポット溶接の追加や、GR専用のブレース(ボディを補強するパーツ)の追加が施されており、高剛性となったボディが高い応答性を生み出している。この高剛性ボディと標準装備のハイグリップタイヤは、コーナーリング中の安定性向上にも貢献しているようだ。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の高剛性ボディは抜群の安定感を生み出していた。
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”の高剛性ボディは抜群の安定感を生み出していた。


 また、ヴィッツGRの特徴となるのが全日本ラリー選手権で培ったノウハウが織り込まれたという『SPORTモード』だ。『SPORTモード』はシフトレバー下にあるボタンで切り替え可能で、このモードにするとエンジンが高回転域で変速するようになり、通常よりもパワフルな走りを体感することができる。傾斜のきつい上り坂はもちろん、サーキット走行でも効果を発揮するだろう。


 続いて、シフトをマニュアルモードにして走ってみる。変速はシフトレバーかパドルシフトで行うことが可能だ。MT車と同等まではいかないが、それでも変速のレスポンスは良い。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のシフトノブ。CVT車は10速スポーツシーケンシャルシフトのマニュアルモードが備えられている。
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のシフトノブ。CVT車は10速スポーツシーケンシャルシフトのマニュアルモードが備えられている。
『SPORTモード』はサイドブレーキ横のボタンで切り替えることができる。
『SPORTモード』はサイドブレーキ横のボタンで切り替えることができる。
アルミ製のペダルもトヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用
アルミ製のペダルもトヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”専用


 昔のCVT車にありがちな1テンポ遅れて変速されるような感覚はなく、素早い変速を行ってくれるので、コーナー出口からの加速もスムーズに行えた。ちなみにパドルシフトはDレンジのままでも変速が可能となっており、一定時間パドルシフトを使用しないとふたたびDレンジに戻る仕組みとなっている。


 GAZOO Racingが放つヴィッツGRは、ヴィッツの素性はそのままに、走りの部分が大きくグレードアップした印象を受け、想像以上に走りを楽しめる1台だった。価格も税込で229万2840円からとスポーツモデルにしては割高感がないのもうれしいところ。


 ただし、ベース車が低排気量のコンパクトカーということもあり、急勾配の上り坂などでは、もう少しパワーがほしいと感じることもあった。しかし、それはあくまでも限られた場面でのみ。ふだんの街乗りや高速道路、レジャードライブで不満を感じることはないだろう。


 足回りが硬めにセッティングされているが、乗り心地も悪くない。ヴィッツGRは、普段使いとスポーツ走行を両立させたい人にはおススメできる1台と言えるだろう。

トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のナビパネル
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のナビパネル
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のトランク
トヨタ・ヴィッツGR SPORT“GR”のトランク
トランクはキャリーバックが縦置きで2個は入る広さを備える。
トランクはキャリーバックが縦置きで2個は入る広さを備える。
助手席も広く。専用スポーティシートが長距離ドライブの疲労を軽減してくれた。
助手席も広く。専用スポーティシートが長距離ドライブの疲労を軽減してくれた。




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