移籍金ゼロで獲得可能!所属フリーの注目FW7傑【Jリーグ】
2024年12月24日(火)12時0分 FOOTBALL TRIBE
2024シーズンを終えオフシーズンに突入した明治安田Jリーグ。契約満了での退団や補強による移籍など選手の去就がファン・サポーターを賑わせるこの時期、すでにアビスパ福岡のキャプテンMF前寛之が町田ゼルビアへ、川崎フロンターレのFW遠野大弥が横浜F・マリノスへ、東京ヴェルディのMF見木友哉がアビスパ福岡へ完全移籍するなど驚きの発表が続いている。
今後はゴールキーパーやセンターバックのポジションで玉突き移籍も予想され、今オフの移籍市場から目が離せない。なかでも注目なのが、今シーズンで契約満了になった選手たちだ。所属フリーの選手は移籍金が掛からないことが最大の魅力。ここでは、所属チームを契約満了となり移籍金ゼロで獲得可能なFW7選手をピックアップしていく(12月22日時点の情報に基づく)。
FWブライアン・リンセン
1人目はオランダの名門フェイエノールトなどで活躍したFWブライアン・リンセン。2008/09シーズンにオランダのフォルトゥナ・シッターでプロキャリアをスタートさせたリンセンは、その後も国内複数クラブを渡り歩き、フィテッセ時代の2019/20シーズンには14得点を記録しオランダ1部リーグ得点ランキング2位に輝いた実績を持っている。
2022シーズン途中の6月に浦和レッズへ完全移籍したが、初年度は怪我で数か月離脱したことも影響し、わずか3試合出場ノーゴールとなってしまった。翌2023シーズンのYBCルヴァンカップ清水エスパルス戦で移籍後初得点も上げたが、以降得点を量産できず。浦和に在籍した3シーズンで公式戦57試合9得点3アシストとストライカーとしては物足りない結果となっている。11月28日に契約満了が発表されたが、オランダをはじめとするヨーロッパクラブへの復帰が既定路線か。
FWパトリック
2人目は長年Jリーグで活躍しているFWパトリック。空中戦では無類の強さを発揮し、打点の高いヘディングシュートでこれまでの所属チームを幾度となく救ってきた。また、日本語習得に意欲的に取り組むなどピッチ外でも真面目な一面を見せており、日本に対するリスペクトも欠かさない。2018シーズンのサンフレッチェ広島時代には自己最多となる20ゴールを挙げ、J1得点ランキング2位に輝いた。
現在37歳のパトリックだが衰えを知らず、昨シーズンは京都サンガで公式戦35試合出場11ゴール2アシスト、今シーズンは名古屋で公式戦37試合出場8ゴール1アシスト。これまで在籍したJリーグ6クラブで計102ゴール16アシストと実績十分のベテラン選手だ。個人的には、J1初昇格を果たしたファジアーノ岡山が獲得したら面白い補強になるのではと考える。(※12月23日、J3ツエーゲン金沢が完全移籍加入を発表)
FW酒井宣福
3人目は兄がDF酒井高徳(ヴィッセル神戸)、弟は酒井高聖氏(2022年6月引退)というサッカー一家の3男で、屈強なフィジカルを生かしたボールキープ力や無理な体勢からでもフィニッシュまで持っていけるシュート意識の高さが特徴のFW酒井宣福。
2011年にアルビレックス新潟でFWとしてデビューしたが思うように活躍できず、サイドバックやセンターバック、ボランチへとコンバートされた経験もある。新潟では3年間で8試合0ゴールという不本意な結果に終わり、2014年に当時J2のアビスパ福岡へと期限付きで移籍。すると、37試合7ゴールと才能が開花し始め翌年もJ2で41試合7ゴールを挙げた。新潟への復帰後、ファジアーノ岡山への期限付き移籍や大宮アルディージャへの完全移籍をするも福岡時代に見せた輝きは影をひそめた。
しかし、サガン鳥栖へ移籍した2021年は公式戦34試合に出場しキャリアハイとなる8ゴール2アシストと復活の兆しを見せる。その活躍により名古屋へと移籍を果たすも、思うような成績を挙げられず序列は徐々に下がっていった。今季はシーズン途中に期限付きで移籍したレノファ山口(J2)で10試合出場2ゴールに終わっている。
現在32歳の酒井。ポテンシャルが高く魅力的な選手だが、現状J1で手を挙げるクラブは少ないかもしれない。持ち前のボールキープ力が脅威となり得るJ2やJ3で人気株となる可能性は高い。
FW鈴木孝司
4人目には2024シーズンまでアルビレックス新潟に在籍していたFW鈴木孝司。シュートセンス、パスセンス、止める、蹴る、ボールキープどれをとっても一定以上のパフォーマンスをこなせる万能型プレーヤー。短所がない点が長所といっても良いだろう。
そんな鈴木はJ3リーグ創設初年度となった2014シーズン、当時所属していた町田ゼルビアで33試合出場19ゴールという衝撃の成績を叩き出し、この年の得点王に輝いた。2019年には町田から当時J2のFC琉球に移籍。この年は出場した27試合で15得点とJ2で圧倒的な活躍を見せた。その後、セレッソ大阪を経て2021シーズンから新潟に加入。同シーズンはJ2で33試合に出場し9ゴール、翌2022シーズンは21試合8ゴール5アシストとチームのJ1昇格に貢献した。2023シーズンはJ1で28試合4ゴール2アシストを記録するも、今季は18試合2ゴール2アシストと成績は上向かず、シーズン終了時に契約満了を通達された。35歳ベテランの経験を欲しがるJ2やJ3クラブが争奪戦を繰り広げる可能性は十分あるだろう。
FW宮吉拓実
5人目は京都サンガで契約満了となったFW宮吉拓実を挙げる。俊敏性に優れており、トラップの巧さや両足から繰り出されるコントロールシュートは目を見張るものがある。現在32歳と多少俊敏さは衰えてきたが、スルーパスやシュート精度、ポジショニングの良さは未だ健在である。また、前線からの守備の献身性も年を重ねるごとに向上している印象もあり、出場した試合ではチームに大きく貢献している。
京都の下部組織で育った宮吉は、2008年に弱冠16歳でプロ契約を交わしトップチームデビュー。2014年にカターレ富山へのレンタル移籍を経て2015シーズンから再び京都へ復帰。その後、サンフレッチェ広島、北海道コンサドーレ札幌を経て2019年シーズンに三度京都へ帰還している。2021シーズンには自身2度目となる2桁ゴール(10ゴール)を達成し、長年J2で苦しむチームをJ1へ引き上げた。しかし、J1昇格後は徐々に出場機会が減り、カップ戦出場が主となっていた。
契約満了となった宮吉だが、年齢を考えると来て欲しいクラブはまだまだあるだろう。決定力不足が懸念されるJ2クラブなどを中心に、水面下で動きがありそうだ。
FWピエロス・ソティリウ
6人目にはサンフレッチェ広島で契約満了となったFWピエロス・ソティリウ。恵まれた体格を生かしたポストプレーや要所での得点力が持ち味のストライカー。母国キプロスのサッカークラブであるオリンピアコス・ニコシアの下部組織で育ったソティリウは、2011年にトップチーム昇格を果たす。その後、2012/13シーズンに年間最優秀若手選手賞受賞、ほかにもキプロスの年代別代表チームに選出されるなど華々しいキャリアを築いてきた。キプロスの強豪APOELニコシア、デンマークの名門コペンハーゲン、カザフスタンのアスタナなどを経て2022年に広島へ加入。
同年のルヴァンカップ決勝では2ゴールを挙げ、広島を優勝へ導いたことは印象深い。今シーズンは公式戦35試合に出場し11ゴール2アシストと仕事を果たすも、同ポジションのFW加藤陸次樹や今夏加入のFWゴンサロ・パシエンシアの活躍もあり、後半戦は出場機会が激減した。
J1ではまだまだ活躍が計算できるFWであるが、おそらく高年俸であることが唯一のネックになるだろう。欧州への復帰が既定路線であると考えるが、資金力が潤沢なクラブからのオファーがあれば、Jリーグ内での移籍も考えられそうだ。
FW柿谷曜一朗
7人目は徳島ヴォルティスで契約満了となった元日本代表FW柿谷曜一朗。特徴は何といっても天才的なトラップ、パスをはじめとする足元の技術の高さ。名古屋に所属していた2021シーズンのJ1第37節セレッソ大阪戦で味方からパスを受けた柿谷は、自らボールを浮かすワントラップからのバイシクルシュートをゴールネット左隅に突き刺し、同年のJリーグ最優秀ゴール賞に輝いた。他にも多くの動画サイトや専門誌で柿谷の特集が組まれるほど素晴らしいプレーを残している。
2006年にセレッソ大阪でプロデビューした柿谷だが、当時は寝坊癖など素行面で不安視されていた。2009年後半から2011年まで徳島へ期限付き移籍。これを境に素行面での問題も徐々に改善した。2012シーズンからは再びC大阪へ復帰し、同じ年はJ1リーグで10ゴール、翌2013年は21ゴールと才能が開花した。2014シーズン途中にスイスのバーゼル1893で2シーズンプレー。2014FIFAワールドカップブラジル大会にもFW本田圭佑(現無所属)やMF香川真司(C大阪)などと共にメンバー選出された実績を持つ。
2016年に再びC大阪へ帰還し、名古屋への移籍を経て2023年より徳島でプレーしていた。徳島では昨シーズン37試合出場で7ゴール2アシストと奮闘していたが、今シーズンは29試合0ゴール1アシストと結果を出せなかった。現在34歳の柿谷は年俸面や年齢がネックであるが、J2で資金力のあるチームが獲得に動いている可能性は否めない。