【高校選手権展望】<高知西>初の全国大会出場 進学校が踏み出した「一歩前へ」

2017年12月26日(火)18時47分 サッカーキング

初の全国大会出場となる高知西 [写真]=森田将義

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 高知西が今年、掲げたテーマは「一歩前へ」。「うちの子らは公務員になる子が多かったり、安定志向が強い。だからこそ、ここぞというタイミングで前に出る勇気を持って欲しい」。そんな寺尾拓監督の願いと共に、チームとしてもこれまで果たせなかった全国大会出場へと踏み出そうという意味が込められている。

 進学校として知られる高知西は、2007年に寺尾拓監督が就任して以来、一歩ずつ前進を続けてきた。一昨年のインターハイ予選で初めて決勝まで進むと、昨年からはプリンスリーグ四国に初めて昇格。決定力を欠き、下位争いを強いられたが、「この舞台に残留し続けることがチームの成長に重要」と寺尾監督が口にしていた通り、何とか残留を果たした。迎えた今年は、指揮官が「雑草軍団」と評するように、国体選抜に選ばれたことのある3年生はゼロ。肩書だけで見れば他校に劣るが、MF坂本武宰志や山本稜山など実力者が多く、2月の新人戦で初めてタイトルを手にした。

 成長の原動力として挙がるのは、柔軟な戦い方だろう。プリンスリーグ四国では、足元での繋ぎを意識したサッカーを展開するが、負けが許されないインターハイ予選や選手権予選では堅守速攻を徹底しながら、ロングスローやセットプレーなど飛び道具も多用。試合の流れや相手に応じて、複数のシステムを使い分けて、全国行きの準備を進めてきた。インターハイ予選では、長年の課題だった決定力不足を解消し、全試合で得点を奪いながら決勝まで進んだが、1−2で明徳義塾に敗れ、全国行きを逃がした。

 例年なら、就職や受験に備え、インターハイ予選を最後に引退する3年生が多く、ゼロからのチーム作りを強いられてきたが、今年は違う。「これまでのインターハイ予選で一番、良い出来だった」(寺尾監督)と手応えを掴んだことにより、主力の大半が現役続行を決意。選手たちが「一歩前へ」と踏み出したことで年間を通じた強化が可能になった。夏に2度の県外遠征へと出向き、野洲や鵬翔といった日本一を経験するチームと対戦したことも成長を加速させ、3年生がグッと伸びたという。

 成果は顕著に表れ、夏以降のプリンスリーグ四国ではコンスタントに得点を記録。選手権予選でも僅差の試合が続いたが、粘り強い守りから、少ないチャンスを物にし、トーナメントを勝ち進んだ。4度目の対戦となった明徳義塾との決勝では、集中を保った守りで相手の持ち味であるパス回しを封じつつ、選手交代とシステム変更によって、攻勢に転じる巧みな試合運びを披露。延長戦の末、1−0での勝利となったが、終始自らのペースで試合を進めたことが、念願の全国行きを掴んだ。初めての全国大会故に、右も左も分からない難しさはあるはずだが、この一年で逞しさを増した彼らなら、選手権の舞台でも「一歩前へ」と踏み出すことも可能だ。

取材・文=森田将義

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