「南野拓実が活躍できる下地はある」英国記者がリバプール移籍に太鼓判

12月26日(木)6時50分 Sportiva

 日本代表MF南野拓実のリバプール移籍が決まった。英メディアによると契約期間は4年半。これからキャリアの全盛期を迎える24歳MFは、欧州最高峰のクラブで研鑽を積むことになった。

 英紙『タイムズ』によると、南野の補強はユルゲン・クロップ監督の強い希望で実現したという。一方、クラブ側もセレッソ大阪在籍時から南野の動向を追っていたようだ。両者の考えが一致したうえに、南野が今季チャンピオンズリーグのリバプール戦で活躍したことで、獲得の決断にいたった。


ザルツブルクで結果を残した南野拓実がプレミアに上陸する

 では、なぜクロップ監督は、それほどまで南野の補強を望んだのか——。まずは、リバプールのサッカースタイルをまとめてみたい。

 彼らのスタイルを端的に言えば、「インテンシティを高く保ちながら縦に速く攻める」サッカー。パスをしっかりつなぐ意識は高いものの、縦に速く攻め、力強く圧力をかけていくのが戦術のベースにある。

 ピッチでは前線からプレスをかけ、高い位置でボール奪取を試みる。ボールを奪われたら素早く回収するゲーゲンプレスの意識も高い。プレー強度はプレミア随一を誇るだろう。それゆえ、選手には「球際の強さ」や「走り負けない脚力」が求められる。

 英紙『サンデー・タイムズ』で健筆を振るうジョナサン・ノースクロフト記者に話を聞いたところ、「レッドブル・ザルツブルクが似たようなサッカーを志向しているのは南野にとって大きい」とし、次のように説明を続けた。

「レッドブル・グループのサッカー開発部門の責任者を務めるラルフ・ラングニック氏は、クロップ監督とほぼ同じ哲学を共有している。南野がザルツブルクでトレーニングを積んできたのは、今後リバプールで大きく役に立つはず。

 ザルツブルク経由でリバプールに移籍して現在活躍中のサディオ・マネやナビ・ケイタが、それを証明している。細かい戦術を習得するのに時間はかかるだろうが、南野がリバプールで活躍するベースはできている」



 もうひとつ注目したいのは、日本代表MFが持つプレースタイルである。南野の獲得が決まってから、これまでクロップ監督が語ってきた主な南野評は以下のとおりである。

「ライン間におけるスペースを見つけるのがうまい。クレバーで俊敏性がある選手だ」

「今回の補強により、チーム内で競争を生もうとしているのではない。異なる状況で使える、これまでと違うオプションを手に入れたまでだ。それゆえ、タキ(南野)への扉は広く開かれている」

「タキは、攻撃的な位置ならどのポジションでもプレーできる。おそらく、8番(4−3−3のインサイドMF)もできるだろう」

 リバプールは、マイボールになると前線に陣取るモハメド・サラーとマネのスピードスターに早いタイミングで縦パスを入れる。昨シーズンからは、DFラインからのロングボールでサラーとマネの快足を活かす戦術も大きな武器となっている。

 ここに、攻撃のアクセントをつけているのがCFロベルト・フィルミーノだ。

 ポジションは4−3−3のCFだが、前線中央だけに留まらず、中盤まで降下してボールを受けたり、ワイドエリアに動いてパスを引き出す。ボールを受ければ、足もとの技術を生かして四方にパスを供給。ワンタッチで叩いたり、トリッキーな足技で局面打開を図ったりして、攻撃に幅を持たせているのだ。戦術上の重要なキーマンであり、唯一替えが効かないのがこのフィルミーノである。

 そこで、南野を獲得したのではないか。リバプールはフィルミーノが欠場すると、攻撃のバリエーションが低下する傾向にあるからだ。

 アタッカーにはマネやサラー、ジェルダン・シャキリ、ディボック・オリジら「縦への突破」に長けるアタッカーが揃っているが、ここにフィルミーノのような「柔」のエッセンスを加えられる選手は少ない。それゆえ、味方のパスを引き出し、決定的な仕事もこなせる南野に注目したのではないか。



 とりわけ、チャンピオンズリーグのリバプール戦で威力を発揮していたのが、クロップの言う「ライン間におけるスペースを見つける巧さ」だった。相手DFとMFのライン間に侵入し、味方のパスを引き出す。あるいは、相手CBとSBの間に滑り込み、半身でボールを受けて、DFラインの背後に突破した。

 こうした動きが際立っていたのが、ザルツブルクのホームで行なわれた一戦だった。

 前半の立ち上がり、南野はCBとSBの間にスペースを見つけると、味方にパスを要求しながら侵入。リバプールのDFフィルジル・ファン・ダイクがマークについてきたとみると、日本代表MFはワンタッチでファン・ヒチャンに叩き、ゴールチャンスをお膳立てした。試合後、ファン・ダイクがクロップ監督に南野の獲得を進言したというのも、思わずうなずけるプレーだった。

 登録はMFだが、FWのようにゴールに近い位置で危険なプレーを示すことができ、かつ得点力もシュート精度も高い。それゆえ、クロップ監督は補強を強く希望したように思う。4−3−3の両翼やインサイドMF、あるいは12月から採用するようになった4−2−3−1のトップ下として起用し、攻撃に幅を持たせるのが狙いだろう。もちろん、フィルミーノとの同時起用もありえる。

 プレミアリーグで在籍8シーズン目を戦っている吉田麻也は、日本代表でチームメイトの南野に次のようにエールを送った。

「(南野は周りを)生かすというより、生かされるタイプだと思う。代表でも、いつも完全にそうです。ただ、リバプールではいいボールがどんどん出てくるから、(南野の特性は)生かされると思います。やっていて楽しいだろうなと。ただ、スピード感や強度はこれまでのものとはまったく違うものになると思うので、そのへんは早く適応しないといけないでしょう」

(レギュラー争いが熾烈で)毎日が戦いだと思う。しかし、(そのおかげで)研ぎ澄まされるんじゃないかなと。選手としてだけではなく、人間として、またひとりの男としても研ぎ澄まされるんじゃないかと思います」



 リーグ首位を快走するリバプールにおいて、南野がすぐにレギュラーの座を掴むのは難しいだろう。ただ、CLとプレミアをこなす過密日程のなかで、出番は必ず回ってくるはずだ。そのなかで、いかにアピールしていくか。

 前出のノースクロフト記者は力を込める。

「今、リバプールは歴史を打ち立てようとしている。昨シーズンの欧州制覇もそうだが、今シーズンは30年ぶりとなる国内リーグ優勝がかかっている。クロップ監督のもと、チームの雰囲気も非常によい。そんな上昇気流にあるチームのなかで、南野が得られる経験は大きいだろう」

 ここからリバプールでどんな物語をつくっていくか。南野は1月1日付で正式にリバプールの一員となる。

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