「お金儲けが目的なら都心でやればいい」小林祐希が地域のサッカースクールに見出す価値

12月28日(木)15時29分 フットボールチャンネル

「サッカー×湯治」をテーマに掲げたスクール

 オランダ・エールディビジのSCヘーレンフェーンで活躍する小林祐希のプロジェクトがついに本格始動。12月末、初めてのサッカースクールを開催した。記念すべき第1回の舞台は、宮城県大崎市鳴子温泉だ。「湯治×サッカー」がテーマである。(取材・文:海江田哲朗)

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 米づくり、日本酒、茶道、陶芸ときて、今回は湯治。12月27日、近年日本文化のすばらしさに着目し、オフも精力的に活動する小林祐希(オランダ・SCヘーレンフェーン)が宮城県大崎市の鳴子温泉郷に現れた。

 目的は、27日から2日間開催する「こもれびサッカースクールin鳴子」(主催:たまつくりビジョン実行委員会)。昨年6月、鳴子を訪れた小林が旅館に宿泊した際、イベント開催のリクエストを受けたのがきっかけだ。

 そこで、東京ヴェルディユースからの同期、高野光司と立ち上げた株式会社こもれびが主体となり、初のサッカースクールを企画。集まった子どもと保護者たちに、東北随一の温泉地で保養も兼ねてもらおうと「サッカー×湯治」をテーマに掲げた。

 当日はあいにくの大雪だったが、およそ30人の小学生が参加。2時間半のスクールは、「目を閉じて、ゆっくり深呼吸。そして、頭のなかで言ってみよう。おれは天才だ、と。口に出してもいいよ」と小林流の瞑想トレーニングから始まり、対象物を素早く目でとらえる眼球の運動、ボールコントロールやシュートの練習、ミニゲーム、トークショーにゲーム大会と盛りだくさんの内容だった。

 質問コーナーがあり、子どもの成長を促すために親はどう寄り添うべきなのか問われた小林は、「自分は何をやっても親から否定されることがありませんでした。間違いを正されるケースはありましたが、頭ごなしに言われたことはなかったです。ただの一度も。常に自分の考えを尊重してくれましたね」と話している。

「地元の方々と協力して進めることに意義や価値がある」

 積雪による交通機関の乱れで小林らの到着時刻が遅れ、打ち合わせなしのぶっつけ本番となったが、4名の指導スタッフは勝手知ったる仲だ。高野に加え、キローラン木鈴・菜入の東京Vユース92年組が援軍に駆けつけた。

「おれのやろうとすることをわかっているから、何も問題はなかった」と小林は語り、息の合ったコンビネーションで子どもたちを楽しませた。

 最後、参加者ひとりずつにサインをし、記念写真に収まった小林は気持ちよさそうに額の汗をぬぐって言う。

「初の試みで手探りのところもありましたけど、子どもたちが楽しんでくれたようでよかったです。もっとも、自分と鳴子の関係はこれから。今回のイベントを単発で終わらせるつもりはないんで。5年、10年計画で、スポーツを中核とする地域の活性化に携わりたいとイメージしています」

 こうして自らプロジェクトを手掛けるのは、ノウハウを蓄積していくことが目的のひとつだ。

「お金儲けが目的であれば、人のたくさん集まる都心でやればいい。企画運営は代理店に丸投げし、自分はゲストの形で参加すればラクはラクです。やり方は人ぞれぞれですが、自分の場合はそこにあまり魅力を感じないんですよ。

 こうして地元の方々と協力し、共同プロジェクトを進めることに意義や価値がある。また、近くにベガルタ仙台があるとはいえ、東京に比べれば小学生がプロ選手と触れ合う機会は少ないはずです。自分の存在がきっかけのひとつになれば」

W杯は重要。だが「いまは目の前のひとつずつを大事に」

 小林は幼少期におけるファーストインパクトがいかに重要かを知っている。

「たくさんの大人にお世話になってきましたけど、一番最初は松木安太郎さんのサッカー教室かな。小学生低学年の頃です。松木さんが勢いよくボールを奪いにきて、チョロッと股抜きをしたのを憶えています。そういった楽しい記憶はいつまでも残る」

 2017‐18シーズン、現時点で小林は18試合すべてにスタメン出場。第6節のヴィレムⅡ戦では鮮やかなミドルシュートを突き刺し、今季初ゴールを挙げている。そして、いよいよ来年はワールドカップイヤーだ。

「成長の手応えは感じています。サッカー以外、人間的な面でもそう。オランダにはさまざまな人種がいて、広いマーケットがある。多くの出会いに恵まれ、人の輪が広がっていくのが楽しいですね。

 自分にとってワールドカップは重要に違いないですけど、いまは目の前のひとつずつを大事にしていきたい。代表に継続的に必要な選手となれるように、じっくり取り組んでいきます」

 ピッチ内外で、自分の器を大きくしようとする小林の試みは、はたしてどんな実をつけるのか。2017年は東北の雪景色と湯煙で幕を閉じ、年が明ければまた新たなチャレンジが始まる。

(取材・文:海江田哲朗)

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