住宅価格はいまが天井!? 2017年、シングル女性がマンション購入を本気で考えたほうがいい理由

1月1日(日)20時0分 messy

それぞれ自身の状況に照らし合わせながら熱心にメモをとる「家を買い隊」モニター

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 明けましておめでとうございます。連載「女ひとり、家を買う。」2017年第1回は、12月に住宅コンサルタントのさくら事務所にて行われた「家を買い隊」に対する初回のレクチャーの内容をお届けします。テーマは、住宅購入において誰もが気になる“お金”のこと。

 不動産の価格は世の中の経済動向によって大きく変化します。家を買うことに躊躇する人は、それにともなう「価値の変動」への恐れがあるのではないでしょうか。事実、住宅購入には常に損得の可能性がついてまわります。しかも不動産価格の変動は、専門家でさえ予測することが難しいもの。多くの人がその変化を読むことができなかったからこそ、1980年代日本のバブル崩壊による地価の下落や、2000年代アメリカのリーマンショックによる金融恐慌が起こったのです。

 とはいえ変化を過大に怖れると、私たち素人は買える時期を逃してしまいかねません。そこでさくら事務所の田中歩さんに単刀直入に聞いてみましたーー「2017年は、住宅の買い時なのですか?」。

●田中歩さん
不動産コンサルタント。三菱UFJ信託銀行にて、企業向け不動産コンサルティング・不動産相続コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。以降独立し、ユーザー目線で住宅購入サポートや住宅売買コンサルティング仲介などのサービスを行っている。2014年より同事務所執行役員。日本経済新聞電子版「転ばぬ先の不動産学」など、執筆活動も行っている。

都内の不動産価格は、上がり切っている

※以下の内容は、「家を買い隊」へのレクチャーでモニターの皆さんに対してお話しいただいた内容を、記事として再構成しています。

田中歩さん(以下田中)「都内に関して言いますと、現在『家を買い隊』の皆さんが狙っているような都内の中古マンションはかなり高くなっています。2012年末に民主党政権が倒れて自民党に政権交代し、黒田東彦さんが日本銀行総裁になってからは、金利を思い切り下げていく政策を取っています。結果的に東京区23区では住宅価格がどんどん上がり、現在、中古マンション価格においても3年前と比べて約25%以上の価格上昇が発生していまして、リーマンショック前より高くなっているのです」

——中古マンションは都心でも余っていると聞きます。それなのに値段が上がっているのですか?

田中「おっしゃる通りマンションの在庫数は上がっています。普通は在庫数が上がれば金額が下がる……需要と供給の関係ではそうなるはずですよね。このグラフを見ると実際2012年以前には在庫件数の増減と価格は反比例して連動しています。ところが2012年から2016の始めまで在庫数が上がっているのに、価格も上がっているのです。その理由が“超低金利”。つまり日銀が銀行に貸し出す際の金利を極端に下げる黒田さんの政策により、銀行が顧客に貸す際のローンの利子も下がったということです。すると個人が不動産購入のために捻出できる金額が上がる。それを受けて住宅の価格も上がっていくのです」

——現在はマイナス金利で住宅購入の好機だと言われていますが、買う側の購買能力にあわせて家の価格も上がっていたんですね……。

田中「ショックですよね。今日お集まりいただいた皆さんもローンを組む前提だと思うのですが、今が借り時だと思ったら、住宅価格も上がってしまっている。だから、ひとつの要素だけで煽られて買ってしまうのは危険です。私の読みでは、マンションの価格は今、上がり切っていると思います。都心で人気の千代田区、中央区、港区、品川区、渋谷区、目黒区あたりは今まで続いていた上昇傾向が、ストップしています。なかでもタワーマンションに関しては、すでに去年の秋口ぐらいから値段が下がり始めているのです」

——確かに、グラフを見ると2016年の23区内マンション成約価格は微減しています。これは、タワーマンション価格が下がったということなんですね。ではマンション全体の価格も下がっていく可能性があるということでしょうか。

2018年、住宅価格変動のXデーが来る?

田中「それは今後の経済状態次第です。私の感覚ですと2017年は結構動くと思います。住宅価格は金利の他に株価と為替も影響するのです。現在はヨーロッパもアメリカも政治的に不透明感が強く、その影響で安定していると見られる円が買われ、円高になる。そうなると外国人投資家が日本株を買いにくくなって、株価は下がります」

——それがどう、住宅価格に関連するのですか?

田中「一般的に高額なマンションを中心に、親が一部資金援助して買うという若い人が多いのです。援助資金がある高所得者の多くは、株を持っています。だから今後株価が下がると親御さんが援助できる金額が減ってしまう……そういったことが住宅市場にじわじわ影響してくるので、もし2017年に株価がガクッと下がれば、買い手が頼みにしている親の援助の額が減り、それに連動してマンション価格も下がっていく可能性があります」

——では金利はどうでしょう? 金利が今より下がることはないといわれていますが、上がる可能性もあるのでしょうか。

田中「現在ほぼ金利1%前後で、これより金利を下げれば銀行が成り立たなくなってしまいます。さらに、2018年には日銀総裁の黒田さんの任期が終わるのです。もしも彼が再任されなければ、金融緩和の方針が見直される可能性があります。再任される見込みもありますが、そうだとしてもこれまで彼が実施してきた“黒田バズーカ”のような圧倒的な金融緩和を行うことは、もうできないでしょう。これ以上の金融緩和ができないところまで、すでに金利を下げてしまっているのですから」

——つまり2018年に金利が上がる可能性があるということですね。

田中「そうなると、住宅市場も大きく変化しますね。金利が上がると、当然調達できる額が減ります。例えば3,000万円の35年返済ローンを、金利1%で借りた人と2%で借りた人だと、700万から800万ぐらい返済額が変わってきます。そうすると皆高い住宅が買えなくなってくるので、連動して住宅価格も下がります」

今こそ住宅購入のチャンス!?

——住宅価格はオリンピックの2020年まで、上昇を続ける見込みなのだと思っていました。

田中「先ほどのマンション価格は下るのかという質問にずばりお答えすると、ほぼ間違いなく下がっていくと思います。2020年が境目だという説に関しては、不動産会社も『オリンピックまでは下がりません』と断言した方が売れるので、表向きそう言う人は多いでしょう。でも業界の人間同士は『2018年が、一番価格変動がありそうだ』とささやき合っていますね。住宅価格は上がり切っていて、金利はもうこれより下がりません。しかもマンション在庫は増えている。そうすると価格は下がる可能性しかありません。少なくともこの3年間で住宅価格は25%上がっているわけですから。その揺り戻しとして落ちていくでしょう。どれくらい落ちるかはわかりませんが......。そのきっかけが2018年であると見る業界関係者は多いのです」

 現在は住宅価格が上がり切っていて、いずれ下がっていくという田中さんの見立て。しかも変化のタイミングが2018年だとすると、今こそ住宅購入について具体的にシュミレーションするチャンスだといえるかもしれません。

 ただし市場の動向を理解すると「住宅価格が下がる=買い時」と一概に言えるものではないようです。その人の資産状況やライフスタイルによって、住宅価格が下がり切るまで待った方がいいのか、金利が低い時期を逃さない方がいいのか、それとも今ある住宅資産を売ってしばらく賃貸などに暮らして住宅価格が下がるまで待っているべきなのか……など、考えるポイントも異なってきます。

 次回は、さまざまな働き方や資産状況の人がローンを組む際の考え方について、引き続きさくら事務所の田中歩さんにお話しを伺います。

協力:

(蜂谷智子)

messy

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