プログラミング学び始めた息子に行動を論理的に説明する変化

1月3日(金)7時0分 NEWSポストセブン

 いよいよ今年2020年以降に施行される新学習指導要領において小学校でのプログラミング教育が必修となる。なぜ今プログラミング教育が必修化となったのか、また子どもたちはどのように学ぶことになるのかご存知だろうか。何か家庭で取り組むべきことは? 元小学校教員で自身も子どもに対して家庭でプログラミング学習に取り組ませているITジャーナリストの高橋暁子さんが、プログラミング教育の実態と目的、家庭でできる取り組みについて解説する。


 * * *

「うちの子はプログラマーにならないから、(プログラミング教育は)必要ないと思うんですけど……」。小学生の保護者からそのような言葉を聞いたことは何度もある。プログラミング教育を学ぶ意義がわからない上、子どもに質問されても答えられないと、不安を抱く保護者も多いようだ。


 実は、「プログラミング」という科目が導入されるわけではなく、あくまで教科学習内で取り組むこととされている。それゆえ小学校段階では、いわゆるプログラミングでイメージするようなコード(プログラミング言語)を書くことはしない。


 プログラミング学習に使う教材も、ビジュアル型プログラミング言語「スクラッチ」などを使った、命令が書かれた日本語ブロックを組み合わせるタイプのものがほとんど。「ずっと〜」「もし〜なら〜でなければ」「◯歩動かす」「〜と◯秒言う」などの構文があらかじめ書かれた日本語ブロックをパズルのように動かし、文章を組み立てればプログラムできるようになっているのだ。


 つまり、プログラム言語を覚えることではなく、あくまでプログラミング的思考、つまり論理的思考力を身につけることを目的としているというわけだ。プログラマーなどにならなくても、問題解決につながる論理的思考力が必要なことには異論ないだろう。


 基本的にはプログラミング技術へ直結させるための教育ではないが、子供たちの将来の可能性を広げるのは間違いない現実もある。2016年6月に発表された経済産業省の調査によると、IT系人材は90万人に対して約17万人不足しており、さらに不足数は拡大する見込みとなっているからだ。


 世界的に見ても、イギリスやフィンランドなど、義務教育段階でプログラミング学習を導入している国が増えている。基礎学力のひとつとしてプログラミングに親しんだり、論理的思考力をつけることは、これからの時代を生きていく子どもには必要なことなのだ。


◆理科・算数の教科で導入例が多い


 現状では、理科や算数などの教科でプログラミング学習が導入される例が多い。理科では「電気の利用」、算数では「多角形」の単元が文部科学省によって例示されており、授業内で使いやすい教材や指導案も多数公開されている。「電気の利用」では照明のオンオフなど電気を制御するプログラムを書くことを通して普段の生活に利用されていることを、「多角形」ではプログラムを書けば正しく作図できるのかという体験を通して多角形の性質への理解を深める。いずれも、プログラミングそのものが目的ではなく、それぞれの単元への理解を深めるためのツールとなっている。


 子供たちがプログラム言語を覚える必要が無いとはいっても、教える側にはある程度の理解が求められる。そのため、実際の授業では小学校では担任が中心となるが、ICT支援員などが補助的に入って指導している例を多く見かける。慣れない道具の使い方につまずいている子どもに個別に指導することを考えると、複数人での指導が必要なのだ。


「自分でプログラムできるわけではないし、指導することに正直不安があるので、自分でも学んでいるところです」とある先生から聞いたことがある。「研究授業などをたくさん見て、研究もしています」。


◆保護者の習い事熱は加熱の一方


 ここまで、プログラミング教育導入は、プログラミングそのものが目的ではないし、ことさら構える必要はないと述べてきた。だが、親心はそれでは満足しない。


「これからの時代、プログラミングができた方が将来的に有利ですよね。できたほうが就職に有利だし、年収も高くなると思う。習い事としては高額ですが、子どもの将来のためと思って」とある30代主婦は言う。30代主婦の子どもはまだ幼稚園生だが、教室でロボットを組み立ててパソコンでプログラムを組み動かしている。プログラミング教室代は、月額1万円強だという。


 プログラミング学習は習い事として流行中だ。あるプログラミング教室に取材に行ったところ、未就学児が多く参加しており、保護者の熱心さに驚いたことがある。


 未就学児でも立ち歩くことなく、パソコンに向かって集中してプログラミングを進めている姿はまったく珍しいことではない。「うちの子がこんなに集中しているのは初めて見た」「家に帰っても、教室の続きをやりたがる。楽しくて仕方がないらしい」と、参加者の保護者も語っていた。 プログラミング教室は増えてきているが、まだまだ大都市に偏っているようだ。「スクラッチ」や「マインクラフト」、「マイクロビット」など、オンライン教材や無料・安価や教材なども多数登場している。


 新しい教育市場ということで、教育関係ではないIT企業なども多く参入し、プログラミング教室を開始している。ゲームが作れたりロボットが動かせたりするだけでなく、ドローンが飛ばせたりするような教室もある。多少高額でもすぐに教室は生徒で埋まるため、教育系の中で今注目の分野となっているのだ。


 ただし、プログラミング体験はさせたいが、将来にかかる高額な教育費を考えると習い事にはあまりかけられないという家庭は多いだろう。最近はそのようなニーズをすくい取る無料で体験できる教材が多いため、筆者は子どもにはそのようなものに積極的に取り組ませている。筆者はプログラミングができるわけではないが、小学生向けであればしっかり読み込めば十分に教えられている。それ以上作り込みたいというお子さんには、適切な指導が必要となってくるのでオンライン教材もおすすめだ。教室が近くになくても可能であり、教室よりも安価で、中には保護車の手を煩わせずに学べる教材や、オンラインで指導してくれるものもある。


 息子にも、プログラミングを始めてから変化があった。まず、自分の行動をプログラムのように分解し、「3歩進む。扉を開ける。4歩進む。左を向く。扉を開ける。トイレに行く…」と言って遊ぶようになった。質問しても「何してるの?」「本」と単語で答えていたのが、「図書の時間に借りた本を読んでるの。友だちの◯◯も読んでいて面白いんだって」とわかりやすく答えるようになった。


 説明がわかりやすくなったのには、成長だけでなくプログラミング学習の影響もあると考えている。子どもにおける文章力や読解力低下が指摘されることは多いが、そのようなものにも良い影響がありそうだと感じている。


 お子さんが興味を持つようであれば、プログラミング学習ができる教材を与えて、将来に生きる力を伸ばしてあげてはいかがだろうか。

NEWSポストセブン

「プログラミング」をもっと詳しく

「プログラミング」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ