セクハラやパワハラ被害で「うつ病」にーー「労働災害」と認定される条件

1月5日(火)6時42分 弁護士ドットコム


職場でセクハラやパワハラの被害を受けることは、誰にとっても、ショックが大きいはずです。被害を受けたとき、大企業であれば、職場の配置転換も可能かもしれません。ただ、それが認められない、選択肢がないケースでは、被害者の苦悩はさらに深まります。


中には、うつ病や適応障害と診断され、休職や退職を余儀なくされる方もいるようです。弁護士ドットコムの法律相談にも、当事者の方からの相談が数多く寄せられています。


もしも被害にあったらどう対応するべきか。被害者が知っておきたいルールについて、寒竹 里江弁護士に聞きました。


A. 「労働災害」と認められる事案はある


セクハラやパワハラによる「うつ病」「適応障害」が「労働災害」と認められる事案はあります。


その条件として、まず当該セクハラ・パワハラ行為が立証され、認定されていることが前提となります。その上で、当該セクハラ・パワハラ行為と「うつ病」「適応障害」の疾病との間に因果関係が認められることが必要です。


そして、この「因果関係」を認定する上で、一つの基準となるのが「発症前約6ヶ月間の業務内容やセクハラ・パワハラ行為の存在と内容」です。


「6ヶ月間」という期限があるのは、当該セクハラ・パワハラ行為が認定されても、その後1年以上とか数年とか長期間を経て「うつ病」等の疾病が発症した場合、専門医でも因果関係を診断するのが困難となるという理由が挙げられます。


当該セクハラ・パワハラ行為が疾病の原因ではなく、発症のより近い時期の、私生活上のストレス等(家族・友人関係や環境変化等)別の原因が、発病原因ではないかと疑われる余地が出てくるためです。


ただし、「発病・発症前約6ヶ月」というのは基準の一つに過ぎません。その基準を満たさない場合でも、別に因果関係を立証・認定し得る事実や証拠があればその限りではありません。


また、「労働災害補償保険」に関しても、セクハラ・パワハラ行為による「うつ病」「適応障害」による休職や退職が保険適用の対象となる余地はあります。


近年、セクハラ・パワハラ問題や「うつ病」等の精神疾患と労災の関係も以前に比べれば注目され、認められる可能性が高まってきました。しかし、精神疾患は「職場で作業中に機械に挟まれて骨折した」などの事例と比較すると因果関係の立証は困難な場合が多いため、未だ認定までには困難が伴うことが多いのも事実です。



【取材協力弁護士】
寒竹 里江(かんちく・りえ)弁護士
東京弁護士会所属 労働事件(セクハラ・パワハラ等の問題や不当解雇等含む)・医療事件・企業法務(人事・雇用問題等)、その他、多方面の案件を手がけています。
事務所名:弥生共同法律事務所
事務所URL:http://www.yayoilaw.jp

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