昆布屋だけど「お父さん預かります」 小樽で見つけた謎看板、その真相を店に聞いた

2020年1月5日(日)11時0分 Jタウンネット

最大10連休となった2019年のGW(ゴールデンウィーク)、難波御堂筋ホール(大阪市中央区)では居場所のなくなったお父さんを預かる「お父さん預かり」サービスが爆誕。Jタウンネットを含む複数メディアが取り上げ、一時世間をざわつかせた。


しかし北海道小樽市にある昆布専門店「利尻屋みのや」では、それ以前からお父さん預かりを行っている。


「お父さん預かります」



観光客が行き交う通りに面した店舗には、そう書かれた看板が掲げられる。せっかく遊びに来たのになぜ?預けられたお父さんはどうなっちゃうの——?疑問が次から次へと湧いてくる。


お父さんでなくても思わず足を止めてしまうこの看板。これだけでも衝撃だが、実は同店ではこんな看板も出している。


「お母さんも預かります」



お、お母さんまで...。残された子供たちの困惑する様子が目に浮かぶ。


夫婦そろって預かろうとしてくる謎の昆布屋、いったい何を考えているのか。Jタウンネットは2019年11月27日、利尻屋みのやの代表・簑谷和臣さん(49)を取材した。


「お母さんはゆっくり買い物してください」


「お父さん預かります」の看板を掲げたのは15、6年ほど前。簑谷さんはその理由をこう話す。


「家族連れで観光に来てるとお父さんが疲れちゃって、『早く帰るぞ』とか『ホテル戻るぞ』というお父さんが多いんですね。お母さんはいっぱい買い物を楽しみたいので、そこで夫婦ゲンカが始まったりするんですけど」



当時店頭に立っていた蓑谷さんは、来店した家族連れの様子からそのようなことを感じ取っていたようだ。慣れない買い物で疲れてしまったお父さん、思わず本音を口にし、お母さんをイラっとさせてしまったのだろう。


...ということは、預けられたお父さんはお説教でもされてしまうのか。ここで最も気になるお父さんの行く末を聞いてみた。


「店内に休憩スペースを設けており、無料の昆布茶を提供しております。お母さんはゆっくり買い物してください、その間お父さんは預かってこちらで休んでいただきますという趣旨です」(蓑谷さん)



お母さんが昆布を選んでいる間に、お父さんは店内の休憩スペースでゆっくり休んでくださいね——。そんな声が脳内に聞こえてくる気がする。この看板はお父さんを邪険に扱うどころか、疲れってしまったお父さんを優しく気遣うものだったのだ。


「お母さんも預かります」という看板にもあるように、休憩スペースはお父さんに限らず誰でも使用することができる。昆布茶は休憩した人全員に振舞っているため、自ら預かられに来る常連さんがいるくらいだ。


本気でお父さんを預けるという人はあまりいないというが、当のお父さん方からは「お母さんも預かってくれよ」とのリクエストが多くかったとのこと。これを受けて「お母さんも預かります」看板を1、2年ほど前に設置した。これらは小樽市内に複数ある、利尻屋みのやの店頭に設置されている。


見どころがたくさんある小樽だが、時にはお父さんお母さん共に預かられ、ほっと一息つくのもいいかもしれない。

Jタウンネット

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