あのカレーの名店の生まれ変わり?御茶ノ水に誕生したインド料理店『ゴンド』が大人気のワケ
2024年1月13日(土)10時50分 食楽web
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●カレー激戦区・御茶ノ水に2023年に誕生したインド料理店『ゴンド』がウマすぎる理由とは?
神田・御茶ノ水・神保町といえば、全国屈指のカレー激戦区。右に行っても左に行っても、そこそこハイレベルなカレー店にぶつかります。老舗が多いこともあり、なかなかニューフェイスのカレー店が注目されることは少ないのですが、昨年(2023年)5月に誕生したばかりなのに、すでに超人気のカレー店があります。店の名は『Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)』。
実はこのお店、昨年(2023年)4月に惜しまれながら閉店した東京・八重洲の南インド料理店『ダバ・インディア』の“生まれ変わり”的な存在なのです。2003年にオープンした『ダバ・インディア』は、19年もの間、連日行列が絶えなかった名店中の名店。ここで修業したシェフが『カッチャルバッチャル』(新大塚)や『カマルブール』(木場)などの店を開き、本格インドカレーブームを牽引してきました。
2023年5月に神田駿河台にオープンした『ゴンド』。ちなみに銀座にある北インド料理の店『グルガオン』も経営母体は同じ
閉店の理由は、東京・八重洲の再開発のためだったので、“ダバ・ファン”は当然ながら店の移転を期待したのですが、移転はせず、閉店1ヶ月後にコンセプトを新たにこの『ゴンド』をオープンさせたのです。
『ダバ・インディア』の公式HPでは、『ゴンド』について、“インドのストリートフードやタンドール料理とともに飲めるインド料理店”、“下町の食堂料理や南インドのミールスを用意”などと書いていましたが、一体どんなお店なのか、さっそく行ってきたのでご紹介したいと思います。
名店が手掛けるミールスはさすがの旨さ
訪問した日のランチメニュー
入り口に掲げられたランチメニューを見てみると、本日のカレー1種(1000円)、2種(1100円)、3種(1200円)、そしてカレー3種とサンバルが付いた「ランチミールス」(1400円)の4種類。この界隈の老舗カレー店は、1種類で1500円以上するところも珍しくないので、さほど高い感じはしません。
ブルーを基調とした店内。カウンター6席、テーブル30席の計36席
さっそく入店して「ランチミールス」を注文しました。店内は、外観のポップな印象とは少し異なり、ブルーの壁とブルーのレンガ、そして木製のテーブルの大人っぽい空間。店内にはほのかにスパイスの芳香が立ち込めているのですが、その香りもどこか洗練されている感じがします。
厨房にいる料理人たち
そうこうしているうちに、「ランチミールス」が運ばれてきました。大きな銀の皿(ターリー)に載っているのは、カレー3種(ポークブラックペッパーカレー、ひよこ豆のカレー、バターチキンカレー)と、サンバル、ラッサム、マカロニサラダ、パパド(インドの薄焼きせんべい)、バトゥーラ(揚げパン)、バスマティライスの計9種類。
一応、お店の方に食べ方を聞くと、まずはそれぞれのカレーやを味わい、その後、混ぜながら食べてみてください」とのこと。
左下から、ポークブラックペッパーカレー、ひよこ豆のカレー、バターチキンカレー、サンバル、ラッサム、マカロニサラダ、パパド、パドゥーラ、中央はバスマティライス。
まずは、カレーから。“辛口”と書いてあった「ポークブラックペッパーカレー」は、とろりとシチュー状。赤唐辛子やブラックペッパーのキリッとした辛みがあり、さらにトマトや野菜の甘みやコクも感じます。
濃厚な「ポークブラックペッパーカレー」
「ひよこ豆のカレー」は、さらりとしたスープ状の一品。擦り潰した豆の優しい味わいの奥から、しっかりと辛さがやってきます。ゴロゴロ入ったブロッコリーやにんじんなどの野菜のホクホクした甘みが後を引きます。
「ひよこ豆のカレー」
そして一番マイルドな「バターチキンカレー」。南インドで食べられているカレーではありませんが、なんだかんだでみんな大好きな定番カレー。生クリーム、カシューナッツなどのまろやかアイテムとトマトの酸味が特徴ですが、ここのバターチキンカレーは濃厚な甘みとコクがありながらも過度にクリーミーすぎず、どこか大人っぽい味わいです。
「バターチキンカレー」
3つのカレーのクオリティの高さは言うに及ばず、ぜひ味わって欲しいのが、サンバル」と「ラッサム」です。筆者がこのミールスでもっとも感激したのがこの2つ。まさに絶品でした。
「サンバル」は、南インドの味噌汁的な料理で、豆と野菜をスパイスやタマリンドで煮込んだ優しい味わい。そして「ラッサム」は前者よりスパイシーで酸味もガツンと力強いスープ。そのままスープとして飲んでも美味しいのですが、それだけではありません。
右上が「サンバル」、右下が「ラッサム」。そのまま飲んでも美味しいけれど、調味料として使いたくなる魔法のスープ
まず、サラサラしたバスマティライスに、サンバルやラッサムを少しかける。それだけでも十分美味しいのですが、そこにカレーもかけます。
例えば「サンバル×ポークカレー×ライス」、「ラッサム×ひよこ豆のカレー×ライス」といった具合です。かける分量によって辛味、酸味、甘み、苦味、旨味、そして香りが変化し、それはもう言い表せないくらい複雑な味。さらにインドの薄焼きせんべい「パパド」を砕いてかけても、食感が豊かになってさらに旨し。
おそらく分量や配合などは大した問題ではなく、どう混ぜ合わせてもその時々の“かけがえのない味”になるハズ。これは、サンバルもラッサムもカレーも、すべてがきちんと美味しいからでしょう。
そして食後のもたれ感もゼロ。あまりに美味しくて、バスマティライスをおかわりしてしまいました(おかわりは無料)。
まとめ
『ゴンド』のグランドメニュー。カレーだけでなく、ストリートフードやタンドールなどお酒に合うメニューも豊富
というわけで、さすが名店のDNAを受け継ぐ『ゴンド』のミールスは控えめに言って最高でした。次回はディナータイムに再訪し、インドのストリートフードやタンドール料理と一緒にインドワインを楽しみたいと思います。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)
住:東京都千代田区神田駿河台3-5-15
TEL:03-3259-2800
営:11:30〜15:00(土日祝〜15:30)
17:00〜22:00(土日祝〜21:30)
休:月曜・不定休