BIGLOBEトップBIGLOBEニュースBIGLOBE30周年記念サイト

山岳救助失敗で救助隊に賠償命令…これってどういうこと?

シェアしたくなる法律相談所1月14日(土)21時56分
画像:山岳救助失敗で救助隊に賠償命令…これってどういうこと?
写真を拡大

毎年1度はな冬山での遭難事故がニュースになりますよね。山梨県警が今月12日に発表したデータによりますと山梨での山岳遭難者は160名に上り、うち25名は命を落としているようです。


この160名という数は統計が残る1965年以降最多で、登山ブームの影響があるのではないかとされています。


少し前の話にはなりますが、2009年に遭難したスノーボーダーが亡くなるという事故がありました。亡くなった男性の両親が北海道に対して損害賠償を求めたところ、札幌地裁は北海道に、第一審で約1,200万円の支払いをそして、第二審では約1,800万円の支払いを命じる判決を下しています。


当時、判決に対して、救助隊による救助活動が不適切とされて損害賠償が認められるのはおかしいといった否定的な意見が多くありました。では、この問題は法的にどう考えるべきなのでしょうか。


*画像はイメージです:https://pixta.jp/


 


■損害賠償請求の根拠

亡くなった男性の両親は、国家賠償法1条にもとづき、北海道に対して損害賠償請求をしています。


国家賠償法1条によって損害賠償が認められるためには、(1)公権力の行使に当たる公務員が、(2)その職務を行うについて、(3)故意または過失によって、(4)違法に、(5)他人に損害を与えたことの5点を必要とします。


本件ではもっぱら救助隊の救助の方法の適切さが論点となっているため、(3)ないし(4)の要件を充たすかが争われています。この判断に当たっては、裁判例の多くは公務員が「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたか」という基準に則っているといえるでしょう。


 


■本判決に対する私見

本判決が批判されるのは、自分からわざわざ危険な場所に行った人を救助隊が(税金を使って!?)命がけで救おうとしたのに、多額の賠償責任が認められるならばだれも救助になんか行きたくなくなるのではないかという感情があるからだと考えられます。


私の母も雪山遭難のニュースを見るとよく「そんな危ないところに行かなければいいのに」などと言っています。


しかしながら、どんなに相手に道義的・法的な落ち度があったとしても、自分の仕事を果たさなかったらその果たさなかった程度に見合った責任を負うというのが法律の世界なのです。


本件では、自分たちも亡くなった男性と共に雪庇(崩落の危険のある雪の塊)を踏み抜いて滑落したなど、救助隊のみなさんは命がけで男性の救助を行ったといえます。


しかし、雪庇を踏み抜いたのは救助隊が常時コンパスを確認する等の慎重な方法を採らなかったためであるという本判決の事実認定が妥当なのであれば、男性の過失割合を8割としていることも相まって、本判決が、具体的状況下において救助隊に要求された職務が果たされなかったとして北海道に対して賠償責任を認めたこと(国家賠償法の場合は公務員の個人責任は否定されています)は不当とは言えません。


 


■救助したのが一般人だった場合

なお、救助者がたまたま居合わせた登山者などの一般人の場合には、限られた場合にのみ賠償責任を負うことになるといえましょう。


たとえば、けが人をその場から動かさないほうが安全であることが明白であるにもかかわらず、猛吹雪の中危険なルートを選択して下山中に、折れやすい木の枝にそりを括り付けたために枝が折れて滑落させてしまった場合など、不注意の程度があまりにも大きい場合などです。


本件のように、感情的には「おかしい」と思う判決だとしても法的に考えれば問題がないということはよくありますが、念のため付言すると、裁判所も普通の人の常識を無視することはなく、弁護士としても常識や感情に訴える場面は多々あります。


結論がおかしく感じるのはその事件で認められた事実関係が原因となっていることが多いので、ニュースで結論だけを見て満足するのではなく、どういう事実があると結論が変わるのだろうと考えてみるとおもしろいかもしれません。


 


*この記事は2015年1月に掲載されたものを再編集しています。


*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)


【画像】イメージです


*fmostudio / PIXTA(ピクスタ)

はてなブックマークに保存

最新トピックス

トレンドトピックス

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

イチオシ情報

話題の投稿画像

恋愛&結婚

「救助」「失敗」「賠償命令」「遭難」の関連トピックス

「山岳救助失敗で救助隊に賠償命令…これってどういうこと?」の関連ニュース

注目ニュース
2匹の猫がこっそり勉強している理由は… 肉球文字の通信講座「ユーニャン」が可愛くて心温まる BIGLOBEニュース編集部2月22日(水)14時24分
2月22日の「猫の日」にぴったりの動画「ねこ勉〜CatsLearning〜」がYouTubeに公開された。[ 記事全文 ]
今夜、NASAが超重大・緊急記者会見!! 「植民惑星」「地球外生命体」発見の歴史的1日になる可能性ガチで高い、物理学者予想 tocana2月22日(水)7時30分
宇宙開発の分野で最も進歩した国家機関であるNASA(アメリカ航空宇宙局)。ロシアや中国、そしてインドや欧州の追い上げも激しいとはいえ、まだ…[ 記事全文 ]
キッチンに侵入を試みた猫 ドアの隙間に挟まる衝撃的な姿で発見される BIGLOBEニュース編集部2月22日(水)19時7分
侵入防止用の扉の隙間から侵入を試みた結果、扉と天井の間で固まってしまった猫の姿がTwitterに投稿され話題になっている。[ 記事全文 ]
スキー場に“連邦の白いヤツ”現る ガンダムやシャアザクがリフトに乗って華麗にスノボ BIGLOBEニュース編集部2月21日(火)20時1分
スキー場に“連邦の白いヤツ”現るガンダムやシャアザクがリフトに乗って華麗にスノボ岐阜県のひるがの高原スキー場に「機動戦士ガンダム」のモビル…[ 記事全文 ]
【清水富美加】トラブル続きの“悪評”レプロの実態! 新垣結衣やこずえ鈴、社員までも… tocana2月19日(日)9時0分
清水富美加が宗教団体「幸福の科学」への出家を発表したことに関して、現時点での所属事務所「レプロエンタテインメント」が危機に陥っている。[ 記事全文 ]
アクセスランキング
1 2匹の猫がこっそり勉強している理由は… 肉球文字の通信講座「ユーニャン」が可愛くて心温まるBIGLOBEニュース編集部2月22日(水)14時24分
2 今夜、NASAが超重大・緊急記者会見!! 「植民惑星」「地球外生命体」発見の歴史的1日になる可能性ガチで高い、物理学者予想tocana2月22日(水)7時30分
3 スキー場に“連邦の白いヤツ”現る ガンダムやシャアザクがリフトに乗って華麗にスノボBIGLOBEニュース編集部2月21日(火)20時1分
4 【清水富美加】トラブル続きの“悪評”レプロの実態! 新垣結衣やこずえ鈴、社員までも…tocana2月19日(日)9時0分
5 アンチエイジング力満点! 40男に効く「あんこう」の魅力R252月11日(土)11時2分
6 【乃木坂46】2人ともクビ確定? 不人気なうえ、文春スキャンダルで多大な損害が影響か?tocana2月20日(月)9時0分
7 痛っ!とぶつかる“耳かき詐欺”に驚きの声ナリナリドットコム2月21日(火)17時12分
8 爆売れ「KOIKEYA PRIDE POTATO」1種集中生産へナリナリドットコム2月20日(月)21時51分
9 愛する夫を裏切れない!と思いつつ「Hしちゃいました…」感想2つMenjoy![メンジョイ]1月31日(火)22時30分
10 NASAが公式発表した異次元ワームホール「Xポイント」研究に新展!? 宇宙船4機が既にワープか!tocana2月22日(水)7時30分

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア