パンの中に大福!? 福井・鯖江で愛され続ける名物グルメ「大福あんぱん」とは?

2024年1月16日(火)10時50分 食楽web


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●福井名物として知られる「大福あんぱん」。パンの中に大福餅が入った、ユニークなパンは何故生まれたのか? そのストーリーと味を探る!

 日本各地には、「ご当地パン」が存在しています。近年では各地で「パンフェス」や、地域物産店などで気軽に触れられるようになりましたが、そんな中で全国から注目を浴びている福井県の名物パンがあります。それが「大福あんぱん」です。

 丸ごと1個の大福餅を包んで焼き上げたというユニークなあんパンですが、実は40年以上の歴史があり、パンの本場フランスでも紹介されたという由緒ある一品だそうです。

 今回は、この「大福あんぱん」の出自を探りに、福井県鯖江市にある製造元の『ヨーロッパン キムラヤ』を訪ね、取締役副社長の古谷聖津子さんにインタビュー。さらに肝心の味についてレビューします!

パリに渡った子を思う母の愛から誕生した「大福あんぱん」


「大福あんぱん」を考案した福井県鯖江市の『ヨーロッパン キムラヤ』の店頭の様子

 福井県鯖江市は日本屈指の「メガネの生産地」として知られ、そのシェアは日本の9割以上とも言われています。このメガネの町・鯖江に『ヨーロッパン キムラヤ』はあります。

『キムラヤ』とある通り、「あんぱん」を考案した東京の『木村屋』(現在の『木村屋總本店』)からの暖簾分け店として誕生した由緒正しいパン店です。『ヨーロッパン キムラヤ』初代の古谷伍一さんが、東京の『木村屋』で奉公をしていた際、関東大震災に遭い、鯖江に赴任していた兄を頼りこの地に住み、その4年後の1927年(昭和2年)に『木村屋』の暖簾分けのカタチで『ヨーロッパン キムラヤ』を開店。その後1980年に2代目が『ヨーロッパン キムラヤ』と会社組織に変更。福井にフランスパンを広めたことでも知られています。

 古谷聖津子さんさんによれば、「大福あんぱん」を考案したのは、その2代目・古谷欽一さんだったとのこと。

「2代目がパリへと赴く際、パリで暮らす大福好きの日本人の友人を驚かすために考案したのが、最初の成り立ちです。パンに包んだ大福餅は、パリで暮らす友人の母親から預かったもので、遠い異国の地で暮らす子を想い友人の母親が2代目に大福餅を託したそうです。その思いを受けて、大福餅の柔らかさを保つために、パリで『幸せの象徴』とされるブリオッシュ生地で大福餅を包んで焼き上げたと聞いています」(古谷聖津子さん)

懐かしさを感じるオシャレな味わいの「大福あんぱん」


「大福あんぱん」

「大福あんぱん」の出自とエピソードを足早に紹介しましたが、やはり気になるのはその味。実際に食べてみることにしました。写真の通り、一見ごく普通の「あんぱん」のように映りますが、中には大福がしっかり入っています。


「大福あんぱん」の中

 かじってみると、これが不思議と合います。繊細に焼き上げられた、ふっくらしたブリオッシュの食感に、もちっとした大福の食感が見事にマッチ。中のあんこの程よい甘さとも相まって、どこか懐かしくもオシャレな味わいです。何も聞かされず、目を瞑って食べれば「大福が入っている」ことさえわからず、「これはパリのスイーツパンなのか?」と思えるほどのマッチぶり。この優しい味わいは、ルーツの『木村屋』の味を凌駕するほど絶品で、フランス・パリの人たちの間でもきっとおおいに受け入れたのではないかと思います。

まとめ


オンライン購入でも注文できるようになった「大福あんぱん」

 最後に古谷聖津子さんはこう結んでくれました。

「現在、『大福あんぱん』は3代目が受け継ぎ焼き上げています。新たな創造と研究、職人の真心を込めた手作りの味を多くの方にお召し上がりいただければ幸いです」(古谷聖津子さん)

 現在「大福あんぱん」は、「パンフェス」や地域物産店などでも購入できるようになっています。さらに、オンラインでの購入もできるので、このユニークでありながら美味しい味をぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。

(取材・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:ヨーロッパン キムラヤ

住:福井県鯖江市旭町2-3-20
TEL:0778-51-0502
営:9:30〜18:00
休:日・祝日
https://www.umai-mon.com/user/product/26196

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