【阪神・淡路大震災から30年】大人1人に必要な水の備蓄量は9リットル!賞味期限が切れた水は飲んでいい?「ローリングストック」で備蓄品を常に新しく
2025年1月17日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真:stock.adobe.com)
阪神・淡路大震災から今日で30年。これを機に、もう一度家庭の防災準備の見直しをしてみましょう。今回は、災害時に多くの人が直面する課題の一つ「水不足」に注目。飲料メーカー「ライフドリンク カンパニー」の執行役員・浅井祥平さんに、家庭での、賢い水の備蓄術について話を聞きました。
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常に備蓄を維持する『ローリングストック』
《「ローリングストック」とは》
日常的に消費する食品や飲料を少し多めに買い置きしておき、古いものから順に消費して購入することで、 常に一定量の備蓄を維持する方法。
災害時にも普段から使い慣れた飲料や食品を利用でき、安心感を得られる。
「特に災害時の水不足の不安に対しては、水をローリングストックすることで解消できます。実際に楽天市場で弊社が販売しているペットボトル飲料「彩水」500mL・48本入りが人気ランキングに入ったり、自社サイトでの定期購入での販売額が年々増加してきているなど、こうした購入スタイルの広がりを感じます」と浅井さん。
ライフドリンク カンパニー 執行役員人財本部長 浅井祥平さん
また、水のローリングストックについては、より柔軟に備蓄を活用するために「2Lのボトルだけでなく、500mlの小型ボトルを併せて準備するのがおすすめ」と話します。
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災害時に向けて備蓄しておくべき水の量
《推奨されている水の備蓄》
大人1人1日当たり3リットル、最低でも3日分、できれば1週間分
「政府や地方自治体は、飲料や調理に必要な水として、《大人1人1日当たり3リットル、最低でも3日分、できれば1週間分を用意》することを推奨しています。つまり、1人あたり最低3日分の9リットルを用意しておく必要があります。
9リットルを常にこまめにスーパーなどで買い足すのは大変かと思いますので、ネットで定期的にまとめ買いをし、家に備蓄しておくことをおすすめします。定期販売サービスを活用していくことで買い忘れを防ぐこともできます」と浅井さん。
また、上記の飲料用や調理用の水だけでなく、手や体を洗ったり、トイレや洗濯などに使用する生活用水の確保も必要となります。
「その場合、水道水をそのまま空のペットボトルなどの清潔で密閉できる容器に入れて備蓄しましょう。こちらに関しては最低限必要な量は決まっていないため、各家庭で必要だと思う量を確保すると良いと思います」(浅井さん)
水の備蓄方法は
《市販の水の備蓄方法》
水の風味を損なわないよう、市販のペットボトルの水を備蓄する際は直射日光や高温多湿を避けて涼しい場所を選ぶ。
もし賞味期限が過ぎてしまったら、生活用水として使用する。
「一つのスペースに多くの水を置いておくのは難しいと思いますので、複数のスペースに分散して置いておくことをおすすめします」(浅井さん)
《水道水の備蓄方法》
清潔で密閉できる容器を使用。
朝一番に出した水道水は残留塩素が低い可能性があるため、バケツ1杯程度流してから容器に保存するのが良い。
「水道水の保管期間としては、水道水中の消毒用塩素が消失し細菌が繁殖する恐れがありますので、3日程度で定期的に入替えを行う必要があります」(浅井さん)
もし保存期間が切れてしまったら、飲用ではなく生活用水として使用するとよいでしょう。
賞味期限・消費期限について
備蓄用にと水を長期間保存していて、賞味期限が切れてしまうことも多いのではないでしょうか。そこで、ペットボトルの水の賞味期限について、浅井さんに聞くと、
「市販で販売されているペットボトルの水の賞味期限は、約2年とされています。しかし、市販のペットボトルの水は出荷前に不純物の除去や除菌や殺菌処理がされているため、未開封のものを適切に保管していれば賞味期限が切れても品質の変化は極めて少なく、一律に飲めなくなるものではありません」
と答えてくれました。
また、水などのドリンク類にも賞味期限がある理由については、
「ペットボトルに使われている素材は通気性があり、内容量が変化することがあるからです。ペットボトルに記載されている内容量と実際の容量に差があると計量法違反となるため、内容量が計量法の下限を下回らない範囲を賞味期限として記載されています。
そのため、未開封であれば賞味期限が過ぎても飲めなくなるわけではないですが、水に他のニオイが移ってしまう可能性もあるため、気になる場合は災害に備えて生活用水として備蓄しておくことをお勧めします」
ということでした。
賞味期限・消費期限の切れたペットボトルの水も、断水時に皿洗いや洗濯、トイレ用の水として活用できます。飲料用とは分けて、捨てずにとっておくとよいでしょう。
定期購入などを利用して、上手にローリングストックを(写真は「彩水」500mL・24本入り)
災害時に向けた水のまとめ買い需要について
水のまとめ買いの需要については、
「災害時に向けた水のまとめ買い重要も高まってきているなと感じます。最近弊社が販売しているペットボトル飲料「彩水」では500ml・48本セットや2L・12本セットの売り上げが伸びており、徐々にローリングストックが浸透してきているのではないかと思います」と浅井さん。
また、飲料メーカーとしての災害時の取り組みとして、昨年の7月に栃木県足利市と「災害時における飲料供給に関する協定」を締結。
今後も足利市以外の自治体とも連携を強化していきたいと考えているということです。
栃木県足利市と「災害時における飲料供給に関する協定」を締結
震災の時の経験から、色々な防災対策が提案されている昨今。まずは水のローリングストックから、自宅の防災対策を始めてみてはいかがでしょうか。
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