ビタミンやミネラル、プロテインを大量に摂取すればするほど早く大きく成長するわけではない。「子どもにサプリを飲ませたい」と思ったら

2023年1月16日(月)11時31分 マイナビ子育て

今、小林製薬のサプリメントの健康被害が話題になっています。また、少し前には被災地での炊き出しにサプリメントが投入されていたことがネット上で「危険」だと指摘されました。どういった点が問題だったのでしょうか。子どもにサプリメントを与える場合の注意点についても、森戸先生に聞きました。

不特定多数の人に出す食事で絶対に気をつけたいこと

(※画像はイメージです)

少し前、「能登半島地震の被災地で、炊き出しの豚汁にミネラルのサプリメントが投入されていた」という話題がネットニュースやSNSで広まりました。ことの真偽はよくわかりませんが、もしも本当の話であれば、とても危険なことだと思います。

というのも、炊き出しなどは不特定多数の人たちが食べるもの。その中には、持病のある人、アレルギーのある人が一定数います。例えば、腎臓病の人はカリウム、心臓病や高血圧の人はナトリウムの摂取量を制限する必要があるのは、みなさんがご存じの通りです。

また、サプリメント類には卵などのアレルゲンが含まれていることがあり、アレルギーのある人は必ず原材料名やアレルゲン表示を確認する必要があります。ですから、不特定多数の人に出す食事には、その健康や命を守るために何が入っているかを明らかにする必要があるのです。

普通に考えても、自分の食べるものに勝手にサプリメントを入れられては困りますね。何が入っているのかわからないとなると、口にすること自体が怖くなります。ましてや子供には食べさせたくありません。これは持病やアレルギーがなくても同じでしょう。

また、「これは〇〇由来だからアレルギーがあっても大丈夫」などと勧められることがありますが、根拠なく言っているケースも多く、鵜呑みにすると大変危険です。

医薬品と違ってサプリメントは食品の一種

(※画像はイメージです)

そもそもサプリメントは、医薬品と違って健康食品と同じ食品に分類されます。医薬品の場合は厳しいテストを繰り返し行うことで許可されていますから、効果効能や用法用量がはっきりと決められていて、副作用についても記載されています。

ところがサプリメントの場合は、医薬品ほどの厳しいテストは義務付けられていません。ですから、ものによっては安全性が微妙なものもあります。

今、小林製薬が「機能性表示食品」として販売していた紅麹のサプリメントをめぐる、重大な健康被害が大きな問題となっていますね。「機能性表示食品」というものは、あくまでも事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品であり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません(※1)。 また、以前「花粉症がよくなる」とうたった健康茶が市販されていたことがありましたが、後で医薬品の成分であるステロイドが含まれていたことがわかりました。これは確実に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律(略称:薬機法)」違反でした。また、ステロイドは正しい管理下で使用する必要があり、特に知らずに飲んでいたとなると副作用の懸念もあります(※2)。

食品に医薬品を混ぜてはいけませんし、食品は医薬品と違って「〇〇に効く」「××が治る」などという表記をしてはいけません。いずれにしても安易に効果を期待させるようなサプリメントがあれば、それはあやしいと思ったほうがいいでしょう。

大人でも子供でも、サプリメントを摂取する場合には、誇大広告をしていないもの、信頼できるメーカーのもの、さらに配合成分がはっきりわかるものを選んでください。やはり何が入っているのかわからないとリスクが大きいのです。

子供にサプリメントを与える場合の注意点

さて、そもそも子供にサプリメントは必要でしょうか。食事を普通にとれていれば、なんらかの栄養が極端に不足することはないため、必須ではありません。

ビタミンやミネラル、プロテインなどを大量に摂取させればさせるほど健康になる、早く大きく成長する、というわけではないということは覚えておいてください。摂取しすぎると、過剰症になる栄養素もあります。「子どもに少しでもたくさんの栄養を与えたい」という気持ちはとてもよくわかりますが、日本小児内分泌学会は「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解を出していて、多量に摂った際の危険性についても触れています(※3)。

でも、お子さんに偏食があり、食事の工夫だけでは不足する栄養素を補うのが難しい場合、信頼できるメーカーのサプリメントなどを与えてもいいでしょう。例えば、乳製品や小魚などを食べない場合にカルシウムを与えるなどです。

ただ、実際にサプリメントを与える前に、お子さんの普段の食事内容や量を見直し、年齢ごとの栄養摂取基準に照らし合わせ、本当に不足しているかどうかを考えることも大切です。また、マルチミネラルのサプリメントを与え、ミネラル入りのゼリードリンクを与えて……などと重複して与えないよう摂取の総量には注意しましょう。

最後に、例えばお子さんの顔色が悪い、階段などで息切れするなどの場合は鉄欠乏性貧血が疑われますし、その背景には思わぬ病気が隠れていることもあります。お子さんの体調や様子がおかしい場合は自己判断でサプリメントを飲ませるのではなく、小児科を受診してください。

小児科医が必要だと判断して血液検査をし、鉄やカルシウムなどが不足していることがわかった場合には錠剤を処方することもできますよ。

参考文献※1 消費者庁『「機能性表示食品」って何?』※2 花粉症への効果をほのめかした健康茶にステロイドが含有−飲用されている方は、医療機関にご相談を−(発表情報)_国民生活センター※3  「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)|日本小児内分泌学会

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