鳥と魚のキメラみたい? 見た目がシュールすぎる和菓子「下剋上鮎」開発秘話を聞いた

2020年1月19日(日)11時0分 Jタウンネット

鵜を使ってアユなどを獲る「鵜飼」。岐阜県を流れる長良川の鵜飼が全国的に有名だ。


鵜にパクっと咥えられるアユの姿が見られる鵜飼だが、その関係が逆転するシュールな和菓子がツイッターで話題になっている。


その名も「下剋上鮎」。


ここぞとばかりに鵜に襲い掛かるアユ。鵜は思ってもみなかった攻撃を受け、面食らったような顔をしている。通常なら考えられない光景だ。


下剋上鮎は明治41年(1908年)創業の老舗和菓子店・玉井屋本舗岐阜市)が2019年12月に発売。ツイッターではこの和菓子に対し、


「名前と見た目がおもしろい!」
「巷で噂の下剋上鮎買ってきた!かわいいし美味しい!」
「なんとも言えない良い顔してる」



といった声が寄せられ、話題になっている。


売上は看板商品に匹敵


いったいなぜ鵜とアユの下剋上を和菓子にしたのか。


Jタウンネットは20年1月10日、下剋上鮎のプロデュースを担当した白木佑典さん(33)に開発の経緯を聞いた。


白木さんによれば、今から1年半ほど前に大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK)の主役が明智光秀になり、岐阜近辺が取り上げられるという話があがった。そこで関連商品を玉井屋近辺の事業者が作るという流れになったが、「高齢の方たちのアイデアでは面白くないかも」という玉井屋社長の考えで白木さんに話が来たという。


「和菓子の消費に関しては若者が結構離れていっています。職人も若者の不足が問題視されています。今回も商品を作るなら、麒麟が来るにあやかっただけじゃなく、若者がインスタで取り上げたりするような、おもしろい商品にしたいと思いました」(白木さん)



メインのターゲットは若者世代。岐阜の特徴的な文化である「長良川の鵜飼」と明智光秀を絡めようと考えた白木さんは、明智が「本能寺の変」で主君・織田信長に下剋上を企てたことに着目した。


「明智光秀がフィーチャーされ、アユもうかうかしてられないぞということで『鵜に食らいついてやる』という下剋上を起こすという切り口を考えました」



こうして生まれた下剋上鮎。鵜のしっぽにアユが食らいつく姿は、どこかほほえましい。


白木さんによれば、ツイッターでも評判の「鵜の何ともいえない表情」は計算して作ったとのこと。「このとぼけた顔なんだろう、という想像力が広がると拡散されやすい」と考えたという。


下剋上鮎は予想以上の売れ行きとなり、売上は看板商品「登り鮎」と同等に推移している。今後、玉井屋本舗の新たな看板商品になる可能性も十分にあるということだ。


商品がここまで話題になった理由について、白木さんは、


「国民が、景気など自分の思い通りにいかないことに対して『下剋上』を求めていたのではないでしょうか。あとはクスッと笑ってしまうようなデザインと、老舗の玉井屋が画期的なチャレンジをしていることが認められたのかもしれません」



と分析する。


実際に食べてみた


下剋上鮎はオンライン販売も行っており、編集部でも食べることができた。


下剋上鮎は大が1個入りで500円(税抜)、小が4個入りで1000円。の2つ。味は黒糖と抹茶の2種類だ。


筆者が買ったのは小で、手のひらサイズといったところ。鵜の「アーッ」という鳴き声が今にも聞こえてきそうだ。


箱の中には、アユを主人公にした「下剋上鮎」誕生の物語が書かれている。下剋上ということで、合格祈願などの「験担ぎ」の意味も備えているようだ。


さっそく食べてみると、下剋上鮎は意外と固くポリポリと食べることができる。中は空洞でほんのり甘さが感じられ、抹茶は渋い風味で、黒糖はビターな甘さが特徴的だ。


和菓子にしてはポップな見た目で、思わず手に取ってみたくなる。ツイッターを見る限りではお土産としても喜ばれているようだ。

Jタウンネット

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