新型コロナ「遺症症」あり56%…倦怠感や睡眠障害

2023年1月19日(木)14時15分 リセマム

大阪公立大学

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大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学の井本和紀病院講師らの研究グループは、「新型コロナウイルス感染の後遺症」に関してアンケート調査を実施。新型コロナウイルスに感染後約1年が経過していても、半数以上の人に後遺症状が残っていることを明らかにした。

 現在、新型コロナウイルスに感染するとさまざまな後遺症状が残ることが、おもに海外から報告されている。しかし、日本では詳細な新型コロナウイルス感染の後遺症に関する調査が進んでおらず、後遺症を診察するとともに、後遺症について研究を行っている施設・医師はほとんどいない状況。大阪公立大学大学院医学研究科臨床感染制御学の井本和紀病院講師らの研究グループは、新型コロナウイルス感染の1年後の後遺症に関して285名を対象にアンケート調査を実施した。

 アンケート調査は、大阪公立大学医学部附属病院、大阪市立十三市民病院、大野記念病院、旧阪和第二病院、ベルランド総合病院の5つの病院で、2020年1月1日から12月31日までにCOVID-19と診断された人、もしくは各病院に入院した人(合計285名)を対象に行われた。

 アンケートでは、「COVID-19の後遺症がどのような症状で、どれくらいの人に残っているのか」「それによってどれくらい生活が影響を受けているのか」「どのような人が、後遺症が残りやすいのか」について調査した。その結果、対象者のうち56%の人に、少なくとも1つ以上の後遺症状が残っていることがわかった。

 後遺症状については、比較的軽症の人(無症状者・軽症者)では、倦怠感や抜け毛、集中力・記憶力の異常、睡眠障害が10%以上残っていた。比較的重症の人(中等症〜重症)では、倦怠感、呼吸困難感(息がしづらくなる感じ)、味覚障害、抜け毛、集中力の異常、記憶力の異常、睡眠障害、関節の痛み、頭痛も10%以上で、多く残っていたことが明らかとなった。

 また、生活に大きな影響を与えている後遺症としては、倦怠感、喀痰(痰が多くでること)、呼吸困難感、嗅覚の異常、抜け毛、集中力や記憶力の異常、睡眠障害、関節の痛み、眼の充血、下痢がある。これらの症状が常に気になるほど残っていることで「生活の質」が低下している人が多くいることがわかった。

 次に、どのような人で後遺症が残りやすいかを検討するため、後遺症状と危険因子(患者の背景・持病・血液検査値)についてロジスティック回帰分析を実施した。新型コロナウイルスに感染した際の重症度と、喀痰、胸痛、呼吸困難感、咽頭痛、下痢等が非常に強く関連していることがわかった。しかし、倦怠感や味覚・嗅覚の異常、抜け毛、睡眠障害は、新型コロナウイルスに感染した際の重症度と関係なく残ることがわかった。

 この研究により、重症度と関係なく残りやすい症状があることが明らかとなった。若年層やワクチンをすでに打っている人、過去に新型コロナウイルスに感染しており重症化する可能性が低い人でも後遺症が残る可能性があり、感染に注意が必要だと言える。

リセマム

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