人生が好転する「断り方」の極意。「身の回りのモノを捨てること」が自主トレに。執着を手放し、好き嫌いを明確に、決断力を磨く
2025年1月21日(火)12時29分 婦人公論.jp
(写真:stock.adobe.com)
誘いを断られた際、なぜか言い訳がましいと感じる人と、また誘いたいと思う人では、何が違うのでしょうか。人に嫌な思いをさせず、お互いにハッピーになれる「断り方」を指南します(構成=吉川明子)
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<前編よりつづく>
相手に配慮した誘い方を
一方、自分から誘う時も、人間関係を損なわない、スマートな「断られ方」のコツがあります。もっとも大切なのは、相手が断りやすいように誘うこと。
「ベトナム料理を食べに行かない?」「現代美術の展覧会に行かない?」と具体的な誘いの内容を伝えることで、「現代美術に興味がなくて……」などと、相手が断りやすくなります。
そして、断られた時は、「了解! また誘うね。よろしくお願いします」と、断った人に罪悪感を抱かせないよう気持ちのいい返事をしましょう。
このように、「断る」「断られる」極意を身につけておくと、自分がどちらの立場になっても、「相手はこういう意図なのかも」と推測することができるようになります。こうして大人のスマートなコミュニケーション技術を身につけていくのです。
ところで、私たちは対面、電話、メール、LINE、SNSなど、さまざまな方法で人とつながっています。交流の手段は違っても、ここでお伝えしたコツは変わりません。
最近は、グループLINEで複数の人たちがやりとりする機会も増えていますよね。「会話のやりとりが早すぎてついていけなかった」「たまたま用事があって見られず、返信しそびれてしまった」ということもあるでしょう。そんな時は、「華麗にスルー」で大丈夫。
(イラスト:オオイシチエ)
「さっきは参加できなくてごめんね」と、後から加わる必要はありません。人生後半の時間は限られています。自分に意味がないと思うものはさらりと流すほうが波風を立てませんし、みなさんも参加していなかったことなどすぐ忘れるでしょう。
「断る」「断られる」技術は、誰かに誘われたり、自分が誘ったりする機会がなくても《自主トレ》できます。それは、身の回りのモノを捨てること。
モノを「いつか使うかもしれない」と捨てられないことと、人に対しての「断るとこの人との関係が悪くなるかも」という恐れは似ていて、突き詰めると、そこには執着があるように思います。
部屋をスッキリさせると気持ちが晴れやかになるという話をよく聞きますが、まさに理に適っているのです。視覚的な余裕やスペースは、脳にも伝わり、心の余裕になります。そうすれば、思考がクリアになり、迷いもなくなっていく。
自分をよく知り、何が好きか、嫌いかを明確にして、速やかに決断できるようになるためにも、ぜひ「捨てる」を実践してみましょう。
空いたスペースには、モノを置かないこと。これが「断る」技術の向上にもプラスになるはずです。
全員に好かれることはない
こんな話をする私も、今でこそ「断る」「断られる」ことができていますが、むしろ昔は相手に合わせてばかりいました。
学生時代、本当はたのきんトリオが好きではないのに、「友達に合わせて好きと言っておいたほうが丸く収まるのかな?」などと考え、自分を出せずにいたのです。
でもある時、精神科医の叔父に、こう言われました。「人の顔色をうかがって、みんなに好かれようとしすぎでは? 人間は3:3:4だよ」と。
10人いれば、3人は私を好きで、3人は私が嫌い。残りの4人は私に興味がない、ということです。どんなに人気のある芸能人でも、すべての人に好かれることはありません。それなら人に合わせるのではなく、どんどん自分を出して、趣味嗜好の合う人とつながっていったほうが楽しいはず、と思うようになったのです。
私たちの人生には限りがあります。断るに断れなくてモヤモヤしたり、ストレスを溜め込んだりするよりも、心地のいい状態を保ったほうが幸せに違いありません。
「断る」「断られる」技術が身につけば、人間関係もよくなるし、人生が好転することは間違いないはず。心に余裕を持って、人生を楽しんでいきましょう。