新大河ドラマ「いだてん」、珍妙な題字に感じたNHKの気概

1月21日(月)3時1分 YAZIUP

この色使い、3本の脚?! この題字を手がけたのは……


この色使い、3本の脚! この題字を手がけたのは……

2019年、NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」が始まりましたね。

宮藤官九郎さんら「あまちゃん」チームが顔をそろえたとか、久々に近現代が舞台だとか、ビートたけしさんのカツゼツがほにゃららだとか。東京オリンピックを来年に控えていることもあり、話題性充分のスタートとなりました。


私、アントニオ犬助もドラマを楽しんでいたのですが、どうも気になるのが題字。

大河ドラマの題字といえば、書道家が大書する。そんなイメージだったのですが、今回は大いに違う。黄色のバックに黒色の極太ゴシック体で「いだてん」の4文字、赤色で「東京オリムピック噺」と添えられています。

これだけでも相当なインパクトがあるのですが、あろうことか「いだてん」の4文字を覆い隠さんばかりの大きさで、ピンク色の珍妙な三本脚が重ねてあるではないですか。


黄、黒、赤という普通のデザイナーならば禁忌する色使い、ピンク色の足。

ひょっとして手掛けたのは、あの人ではないか?と、犬助はピンと来たのです。



やはり、横尾忠則氏の作品だった


さて、上では珍妙な三本脚と書いてしまっているのですが実はこのデザイン、非常に伝統があるものです。「トリスケリオン(triskelion)」、日本語では「三脚巴(さんきゃくともえ)」と呼ばれているもので、自動車レースで有名なイギリスのマン島や、マフィアで有名なイタリアのシチリア島の旗や紋章にもあしらわれているもの。

マン島のものは「投ぐればいずくにでも、立たん」=ぶん投げられても、必ず立ち上がってやるぜ、という島民のモットーを表しており、シチリア島のものは春・夏・秋の3つの季節を表しているのだとか。


いずれにせよ脚が120度で3本連結されている様は、一度みたら忘れられないもの。これを物語の主人公、金栗四三の短パンと脚に置き換え文字にコラージュするセンス。絶対に常人のものではない。

……日本を代表する芸術家、横尾忠則氏が手がけています。



コラージュといえば、横尾氏のお家芸


説明不要の大芸術家、横尾忠則氏のことを、ここで語るのは不可能です。

それほど氏の作品は数多く、手法も多岐にわたるのですが、中でも犬助にとって印象深いのは、80から90年代にかけて造られてきた、コラージュの作品群。

既存の写真を切り貼りすることから始まり、CGへと変化していくのですが、犬助は少なからぬ影響を受け、スキャナーと昇華型プリンターに大枚をはたいてしまったものでした。


そして思い知ったのは、どう逆立ちしても横尾氏にはなれないということ。氏の作品は「いだてん」のロゴでも明らかですが、何を観てもすぐにわかるほど豊かで饒舌なのです。それに対して、犬助の駄作のどうしようもなさといったら。

表現とは自己の発露なのですから、お気軽にハードさえそろえてもどうしようもない。こんな当たり前ながらも残酷な現実を、犬助に突きつけたのが横尾氏の作品。

ええ、CGの道はすぐにあきらめました。



もちろん、素晴らしい出来のポスターも必見です


そして、横尾氏が題字と同時に手がけているのがポスター。

主演の中村勘九郎氏が走っている様子を何枚も重ねた構図は、1964年の東京オリンピックのポスター、何人もの陸上選手がスタートを切っている写真を、赤、金、黒の色使いは、同じく前回のロゴを、イメージさせるもの。

前回の東京オリンピックへのオマージュも含みつつ、完全に横尾氏の作品となっているところも面目躍如といって良いでしょう。


そんな「いだてん」初回の視聴率は15.5%と、話題性の割には今一つ奮いませんでしたが、題字とポスターで、横尾忠則氏を起用したこと一つとってみても、新しい大河ドラマを作り出そうというNHKの気概が伝わってくるのです。

これから、どんなものを見せてくれるのか? 年末まで楽しみたいと思うのです。


YAZIUP

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