介護の3大トラブル。介護する人が倒れる、家族仲が悪くなる、医師との相性…溜息が増えたら要注意

2025年1月22日(水)12時0分 婦人公論.jp


イメージ(写真提供◎Photo AC)

身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
病気やケガで通院した後の在宅医療の支援であれば、病院の「医療連携室」などの窓口へ。認知症で要介護認定されれば「地域包括支援センター」へ。
ただ複数の窓口に混乱したり、そもそも主治医からの紹介先が遠かったり……複数の病状に悩むケースもあるでしょう。
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている読者の方への駆け込み寺:【おとなの相談室】の先生として答えてもらうのがこの連載です。
専門の「在宅看護」を主軸に、切っても切り離せないメンタルケアを含めて、質問していきます。第6回目は、「知っておきたい、介護のトラブル3選」についてです。
(構成◎野辺五月)

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前回「介護や看護に困ったら【おとなの相談室】5」はこちら

本人が動けないのが大変なところ


Q:最近、義理の母の様子が芳しくないため、在宅介護を考えはじめています。友人から「介護にトラブルはつきものだよ」と忠告をされているものの、具体的な問題について思い描けていないのが現状です。よくあるトラブルについて教えて下さい。

A:よくあるトラブルを知っておきたいということなので、3つに分けてお答えしますね。

1つ目は、「介護する人が倒れてしまう・鬱になる」パターンです。

よくあるトラブルですが、「いざ」となったときにはトラブルを解決したいと思っている本人が動けないことも多いのが大変なところ。ただ実はトラブルに対して備えることはできるのです。安心してください。お身内や頼める先が見つからなくても、利用できる駆け込み先もあります。高齢者の場合は、ショートステイ用の施設が一時的な避難場所として利用できるので、先に知っておくとよいでしょう。

ただし利用するために、介護申請が必要なので、早めに申請をしておきましょう。なお介護レベルに関わらず、緊急時は利用可能である場合がほとんどです。

ちなみに障害のある方については、また別途レスキュー用の施設があります。もちろん数があるわけではないので、病院に一時入院となる場合もあります。その他度合いによって、訪問看護を含めて、地域のサービスを利用したり、ヘルパーさんを手配したり……様々な手を取ることはできます。

それでもなお「トラブル」として挙げられるのは、残念なことにあまり知られていないいからというのが大きいと(現場で見ていて)思います。いざというときに、専門家に繋がれるように、介護申請をして、訪問看護ステーションや地域包括支援センター、ケアマネージャーさん……どこでもいいので連絡先を確認しましょう。

溜息が増えたときが目安


2つ目のトラブルは「家族の仲が悪くなること」です。

どうしようもないケースもありますが、誰がやるのかやらないのか、実際の役割分担とお金の役割分担をはっきりさせておくことが大事です。介護をする人だけが疲弊したり、外に頼めなくなったりしていないかの確認をしましょう。色々な補助施策もあります。

またこの場合の問題は、「介護人が疲弊している」ことを、どこのタイミングで話し合うか(助けてもらうか)が重要ですが、これは、「しんどい」という自覚がなくても、「溜息が増えた」ときを目安にするとよいでしょう。


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迷わず早めに外(専門家・第三者)の意見を入れることで、トラブルの拡大を防げます。

1つ目も2つ目もですが、まずはメインで介護する人間が健やかでいることで防げることは多いです。ぎすぎすしたり喧嘩したりするのも、我慢してしまうことと閉鎖的になってしまうことが原因であることがほとんど。どの段階で「休むか」「外に相談するか」「身内に助けを求めるか」を決めておきましょう。特に家族間でのトラブルは激化する前に止めたいところなので、我慢せず「専門家を挟む」ことにしましょう。

「共同で治療していくため」に


3つ目のトラブルは「病院との相性」「先生との相性」です。

これは見逃しがちなのですが、介護先やセンター、担当の先生も含めて、人間なので、やっぱり合う・合わないはあります。「何だか話が通じない」「信用できない」「冷たく感じる」ときに、我慢するストレスがきっかけで、色々な対処が遅れることもあります。

「先生の方がエライから我慢しなくちゃ」「そんなおこがましい」と思う人もいるかもしれませんが、変更は可能です。病院の場合はケースワーカーさんに相談してみましょう。クリニックの場合は看護師さんにぼやいてみるといいと思います。


イメージ(写真提供◎Photo AC)

病状が悪化するよりは(お互いに)変更する方がいいのです。失礼なことはありません。特に介護では、患者へのストレスが大敵です。クレームではなく、建設的に解決策を求めているのですから、「共同で治療していくため」に話し合いましょう。

(上下の)力関係が極端にある先生ではうまくいきません。ちゃんと選んでください。

これら3つのよくあるトラブル。共通点は「トラブルになった時に、動いていいか迷ってしまう」ことです。迷いは当然です。迷ってもいいんです。ただ我慢はしないように、先に「いろいろと頼れる場所がある」ことを知っておきましょう。

介護は長期戦。メインで動く人が倒れないように、患者も周りもストレスがないように整備する心を忘れずに、用意出来れば……と思います。困ったことがあれば、私達専門家にご相談下さい。

婦人公論.jp

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