2050年に全国の約2割が「無居住化」!? 人口減少、少子高齢化…今後“日本が目指す姿”とは? 昨年策定された「国土形成計画」を解説

2024年1月22日(月)20時50分 TOKYO FM+

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30〜7:55)。1月21日(日)の放送では、国土交通省 国土政策局 総合計画課長の倉石誠司さんを迎えて、「日本の未来が見える! 新たな国土形成計画」をテーマに話を伺いました。

(左から)青木源太、倉石誠司さん、足立梨花


◆2050年には全国の約2割が「無居住化」に…
国土計画は、その国土と人との関わり合いに焦点を当てながら、日本全土がバランスよく発展することを目指す、総合的かつ長期的な計画です。
初めて策定されたのは1962年。当時は「全総」(全国総合開発計画)と言い、その後、制度が改正されて、2008年には呼称が「国土形成計画」に変更されました。
また、社会経済状況の変化を踏まえて国土計画の策定がおこなわれ、昭和から平成にかけて7回、昨年7月には、令和になってから初となる8回目の国土形成計画が策定されました。
この新しい国土形成計画について、倉石さんは「スローガンのように掲げられているのは『新時代に地域力をつなぐ国土』です。地域力というのは、地域の課題を克服する“守りの力”と、地域の魅力を高め人々を惹きつける“攻めの力”を指します。こうした地域力を日本のすべての地域が持ち、国土全体にわたってつなぎ合わせて未来へつなげていこう、という思いが込められています」と説明。
また、日本の未来のためには“地域の活性化”が欠かせないポイントとし、「今、日本の国土をめぐる社会経済状況は大きく変化しており、時代の転換点とも言える局面、時代の重大な岐路に立っていると言えます」と強調します。
というのも、日本の人口は2008年をピークに減り続けていて、2050年には約4割が65歳以上の高齢者になるなど、少子高齢化が加速しています。
また、日本は巨大災害の発生リスクもあり、気候変動による危機もより深刻化しています。こうした影響は、東京一極集中といった国土構造の歪みと相まって、特に地方の生活、経済の存立そのものを脅かしていくことが心配されています。
倉石さんは「地方における人口の減少や流出が続けば、地域の公共交通や医療・福祉・介護など、生活に不可欠なサービスの利便性は低下し、さらに人口減少・流出の悪循環となります。こうした流れが続けば、2050年には全国の居住地域の約2割が“無居住化”することが推計されています。そうなると、その地域を管理することが難しくなるので、国土が再生困難なくらい荒れてしまう可能性もあります」と語ります。
一方で、「コロナ禍を契機としたデジタル化が進み、テレワークの普及などによって、人々の暮らし方・働き方が変化してきました。また、若者世代を中心に、田舎暮らしへの憧れやローカル思考が広がりつつあり、人々の価値観や行動様式に変化の兆しが少しずつ見え始めています」とも。
こうした時代の背景を踏まえて、今回の国土形成計画では『新時代に地域力をつなぐ国土』を日本が目指す姿として掲げています。その姿を形成していくことによって、結果として「活力ある国土」「災害などに強い安全・安心な国土」「個性豊かな国土」を作り、日本の国土全体の課題解決、魅力向上につなげる狙いがあります。
◆「共助」の考え方で魅力あるまちに変化
番組後半では、モデル地域として全国に先駆けて課題解決に取り組み、魅力を倍増させている地域の事例を紹介。
倉石さんが挙げたのは香川県三豊市です。以前は、三豊市も他のローカルエリアと同様、人口減少に伴うさまざまな課題をもつ自治体でしたが、「近年は、三豊市と地元企業などが共に助け合う『共助』の考え方を取り入れた、さまざまなサービスを提供するようになり、活気を帯びてきています」と言います。
その1つが、地元企業ら13社が出資したAIオンデマンド交通サービス(mobi)です。同サービスは、「お迎え地点」と「行き先」を指定するだけで迎えに来てくれるエリア内・定額乗り放題のシェア(相乗り)移動サービスです。コミュニティバスより使い勝手がよく、タクシーよりも気軽に使えるメリットがあります。
また、AIを搭載したシステムによって、常に成長しながら“最短ルートの選択”などの更新が可能なので、お迎えまでの待ち時間が短くて済むなど、ユーザーの暮らしに合わせた使い勝手の良い地域交通になっています。
続けて倉石さんは「三豊市には共助の考え方で構築されている市民大学(瀬戸内・暮らしの大学)もあります。18の企業や個人の出資によって2022年7月に設立され、年齢や職業に関係なく“瀬戸内での暮らしを豊かにする学び”を提供しています」と説明。
ほかにも“空き家の活用”や“移住・仕事マッチング”の取り組みが進められています。さらには、サービス事業者が持つデータを効率的にやりとりするための基盤のシステムを三豊市が構築するなど、民間主導のプロジェクトを、行政が側面支援する官民パートナーシップにも取り組んでいます。
その努力が実を結び、三豊市が実施するアンケート調査などによると、2017年度の移住者が93人だったところ、2021年度は305人に増加しました。
コロナ禍以降、都市圏で暮らしている人の地方移住への関心が高まっています。改めて倉石さんは「国土交通省でも、二地域居住などの多拠点居住を推進することは、個人の多様なライフスタイルを実現することに加えて、地域を支える人を増やすことにもつながり、より良い地域づくりのための有効な手段だと考えています。そのため、二地域居住などのハードルを下げるために、『住まい』『仕事』『コミュニティ』に関わる新しい制度づくりを進めていきます」と力を込めていました。
足立は、今回のテーマで印象に残ったこととして、二地域居住に関心がある人が増えてきている点を挙げ、「私の身近にも二地域居住をしている人がいて、話を聞くと“面白そうだな”と興味が湧いています。コロナ禍を経て、いろいろな働き方が出てきて、そういう考え方もありだなと思いました」と感想を述べます。
一方、青木は香川県三豊市の事例で紹介した「官民パートナーシップ」に着目。「地域力を上げるためには、これが大事だなと感じました。国や地方公共団体など行政の力だけでなく、民間の力も結集して、それぞれの地域力を上げていってほしいですね」と、さらなる広がりを期待していました。

(左から)青木源太、足立梨花


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1月21日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年1月30日(月) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/

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