【中学受験2022】札幌日大の入試講評
2022年1月24日(月)18時15分 リセマム
札幌日本大学中学校の2022年度入学試験はA日程が1月7日、B日程が1月9日に実施された。リセマムは、練成会グループ四谷大塚NETの協力を得て、A日程の講評を掲載する。
2022年度札幌日本大学中学校A日程の出願状況は、定員105人に対し、出願者数337人、出願倍率3.21倍だった。
札幌日本大学中学校A日程 講評
(練成会グループ四谷大塚NET提供)
国語
大問2題構成(説明文・物語文)は例年どおりです。大問2の物語文の文章のボリュームが大幅に増え(およそ2倍)、一昨年並に戻りました。小問数は25問(2021年度)→24問とあまり変わらないものの、選択肢問題が減少した分、書き抜き問題が3問⇒4問に増え、難易度はやや上がったといえます。また、選択肢は昨年度の4択から5択・6択になり、難易度は上昇。知識分野では漢字の書き問題が復活し、「綿密」「宣伝」といった入試で定番の漢字が出題されています。語句の意味を問う問題がなくなり、代わりに文法問題が2問出題されています。出題頻度の高い接続詞や副詞の出題はありませんでした。
記述については、50字、10字、70字、35字記述がそれぞれ1問出題されました。合計の字数は昨年よりも減りましたが、いずれも文章を正確に読み取る力が要求される問題で、難易度は上がっています。大問1の問7では「この文章は、何について述べている文章か」という文章の要旨を10字前後で記述する問題。大問2の問3の70字以内の記述問題は、2人の違いを対比させて説明する問題。「Aは…が、Bは…。」という形で書けるかがポイント。大問2の問6の35字以内の記述問題は登場人物のようすから心情を読み取る問題で文章中のヒントが少なく解きにくい問題でした。
大問1:説明文
山﨑広子「声のサイエンス あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか」
漢字の書き問題が復活。文法は「連体詞、副詞の判別」が出題。問5(1)は45〜55字以内で抜き出す問題。問題文中にある「実験の結果をふまえて」「どのような心の動きが起きるのか」といった条件に当てはまる部分を傍線前後から探すことが求められます。また、問6では6つの選択肢から適切なものをすべて選ぶ問題。文章の細部まで見て、文章に反する内容や書かれていない内容を消していく方法で確実に解ける問題です。
大問2:物語文
神戸遥真「ぼくのまつり縫い 手芸男子は好きっていえない」
問1で出題された「れ」の用法は難易度が高く、受験生にとっては差にならない問題です。問2は毎年出題されている語句の意味を問う問題。問4、5、7、8、9はすべて選択問題。文章全体というよりは、その場面ごとで登場人物の心情を読み取ることが求められていますが、選択肢はそれほど難しくなく、ストーリー展開をおさえれば×となる選択肢も見抜けるはずです。
<合格に向けてのポイント>
(1)知識分野
漢字は5問出題されましたが、書けないものがあっても心配ありません。標準レベルの漢字が書けるように日々の練習を怠らないようにしましょう。文法問題で差がつくことはありませんが、基本的な知識だけは押さえておきましょう。今年出題されなかった語句の意味は今後も要注意です。
(2)文章読解スピードを鍛える
文章量が増加したことと、選択肢が5択や6択になったことで、時間配分(60分)を意識した学習が必要となります。ただし、大切なことは「なぜ答えがそうなるのか」という勉強の繰り返しを行うことです。すべての問題の中で間違えた問題だけでなく、正解した問題も答えの根拠をしっかり確認しながら勉強しましょう。
(3)要旨をとらえる
70〜80字以内の記述対策として、繰り返しの表現や言い換えの部分はしっかりチェックし、まとめるトレーニングをしましょう。また、記述は(1)模範解答と自分の解答を比較、(2)なぜ×なのか、どこが足りない(多い)のかを自分でチェック、(3)第三者(先生)に必ず添削してもらう、の3つを忘れないようにしてください。特に(3)は大切です。客観的な目で判断してもらうことが「伝わる答案を仕上げる力」を養うための近道となります。
算数
大問6題、小問24題は例年通り。難易度は前年度とほぼ同程度で、基本的な内容からの出題となっています。平均点は昨年よりやや高くなると予想されます。また、2019年以来3年ぶりに記述問題が出題されました。
大問1:計算問題
前年度の3題から1題増えています。分数・小数の計算が中心です。4題目の計算は長い分数の計算となっており、丁寧な計算が求められます。日頃から計算練習は受験校に関わらず必要不可欠です。
大問2:小問集合
場合の数、和と差の問題、比の文章題、通過算、食塩水、平面図形、立体図形で、昨年度とほぼ同様の出題範囲です。基本的な内容からの出題となっていますが、速さや食塩水は考え方・解き方が定着していないと得点できない問題のため、日ごろから重要事項の確認が必要です。
大問3:図形
平面図形・立体図形の単問5題。角の3等分線、面積比を使った問題が2題、水量変化の問題が1題、円柱にひもを巻き付ける問題1題です。解き方を単純に暗記するだけでは正解までたどり着くことはできず、理解して道筋をとどって行く解き方が求められます。
大問4:和と差の文章題・グラフ
運送会社で荷物と費用と重さ・距離の関係をグラフと表の両方から読み取らなくてはいけない問題です。グラフと表の両方から、隠れた「距離と費用の関係」を見つけなくてはならず、正解するためには時間がかかると思われます。
大問5:数の性質
バーコードの数字からの出題です。2019年度入試以来3年ぶりに考え方を記述する出題がありました。過去には公立中高一貫校でも出題されています。バーコードに関する知識は不要で、長い文章の中に説明がなされています。単純に計算だけの記述ではなく、計算結果によっての状況判断まで答えなくてはいけません。そのためには文章中に書かれたことを正しく理解する必要があります。
大問6:速さ
人と往復するバスの時間と距離の関係からダイヤグラムを用いると整理がしやすくなります。速さの問題では定番で、文章を読んだときにグラフや図を書いて考えることができた受験生は多かったと予想されます。
<合格に向けてのポイント>
(1)毎日の計算練習を積み重ねる
日ごろから計算練習こそが合格点突破に必要です。
(2)受験で頻出事項の定着
図形、割合と比、速さ等は頻出事項です。考え方、切り口等普段の学習の中でしっかりと理解しながら進めましょう。単なるとき方の暗記では対応できない問題も多くあります。
(3)答えだけなく考え方も重要
答えがあっているだけでなく、考え方が相手に伝わるような書き方を意識しましょう。そのためにはノートの書き方等にも工夫が必要です。
理科
昨年より1つ増えて大問5問となりましたが、全体の小問数はやや減って32題で、そのほとんどが選択問題です。2021年度以前は用語記述が5・6題出題されていましたが、2022年度は1問も出題されていません。その代わり今まで出ていなかった「ばね」に関するグラフの作図問題の出題がされています。全体的に昨年以前もそれほど難しい問題はありませんが、2022年度も基本的な問題で構成されており、平易な内容となっています。以下が出題の特徴です。
大問1
いろいろな生物に関する問題で、ペンペングサと呼ばれる植物、花のつくり、昆虫の冬越しのすがた等、基本的な問題が多く見られます。外来生物のヒアリが出ていましたが、話題になったのがかなり前の話なので忘れていた生徒も多いかと思われます。また、自然に風に乗って種が運ばれたものは外来生物ではないという問題も差がつきそうです。
大問2
天体分野の月の見え方の問題です。地球の自転の向きや公転の向き、月の形と位置の関係等、ほとんどがよく見られる基本問題です。やや難しいのは満月の南中高度が一番高くなる日と、他の国での月の見え方です。札幌で上弦の月が見られたときに、南半球の国ではさかさまに見えることに気づいた生徒はそれほど多くなかったように思われます。
大問3
化学全般で、水溶液の特徴や状態変化に関する問題です。特に溶解度に関する問題はほぼ毎年のように出題されていますので、しっかりと演習しておく必要があります。何度まで冷やすと結晶がでてくるのか、また何gの結晶が出てくるのかといった計算問題で差がつきそうです。また、塩酸にある気体をふきこみ、加熱後に固体が残るような気体は何かという問題が出題されましたが、酸とアルカリで中和反応が起こり、塩ができることがわかればできる問題です。
大問4
物理で、電流の問題です。この大問がやや難しめと思われます。前半は単純な豆電球と回路の問題でしたが、途中から乾電池が3個のうち1個だけ逆になっている問題が出題されています。1個だけ逆にしても残りの2個が電流を流すことがわかれば解ける問題ですが、電池の数を増やして向きを変える問題はあまり見かけないので差がついたと思われます。
大問5
物理で、ばねの問題です。おもりの重さとばね全体の長さの関係をグラフに表す作図問題が出題されています。条件をよく読み正しい作図できれば、他の問題のヒントとしても使える構成になっています。ただ、最後の問題はてんびんの計算が入ってくるため、難しく感じた受験生も多かったでしょう。
<合格に向けてのポイント>
以前は難問も多く見られましたが、昨年からは基本的な出題が目立ち、一般的な入試問題を徹底して勉強していた生徒には得点しやすいテストとなっています。予習シリーズ等一般的な中学受験用教材との相性が非常に良く、日ごろの学習の成果がそのまま結果に反映される出題でした。
社会
2021年度は大問4題小問34題という形式でしたが、2022年度は大問6題小問42題という形式となり、大問数、小問数ともに増加しました。また、全体の難度も昨年度と比べると上昇しました。そして、昨年度まではリード文のテーマとして触れられる程度だった、前年の出来事に関する時事問題が小問集合の形式で大問1題分出題されましたので、昨年度と同様の出題を想定していた受験生は驚いたかもしれません。
大問1:地理(小問5題)
問1が「バックウォーター現象」等、指定語句5語を用いて答える記述問題でした。時事的要素を含み、指定語句の数も多い記述問題が1問目ということで、驚いたと同時に、苦労した受験生が多いと思います。問3も災害時の避難場所を示すマークに関する問題となっており、問1と同様に直近の話題ではないものの、こちらも時事的要素のある問題と言えます。
大問2:歴史(小問5題)
2021年に開催された東京オリンピックをリード文にした問題でした。難度の上昇に加え、東京以外にオリンピックが開催されたことのあるアジアの都市を選ぶ問題や、1940年に開催予定だった東京オリンピックが実施されなかった理由を選ぶ問題等、オリンピックに関する問題も出題されており、苦労した受験生も多いと思います。
大問3:地理(小問10題)
ラグビーワールドカップをリード文にした問題でした。小問数は多いですが、オーソドックスな問題ばかりだったので大問1・大問2と比べると解きやすかったはずです。
大問4:歴史(小問10題)
日本の歴史上活躍した女性をテーマにした問題でした。大問3同様、オーソドックスな問題ばかりでした。こちらも比較的、解きやすい問題だったと思います。
大問5:公民(小問8題)
国の歳入の円グラフに関して先生と生徒が会話している場面をリード文にした問題でした。時事的要素のある問題として、消費税の軽減税率「8%」を答える問題が出題されました。それ以外の問題も含め、難問はありませんでした。
大問6:時事問題(小問4題)
2021年の時事について小問集合形式の穴埋め問題が4問、出題されました。日大中の過去の傾向にはない形式の問題でしたが、日本の岸田首相やアメリカのバイデン大統領の名前を答えるといった、時事問題としては容易なものばかりでした。
<合格に向けてのポイント>
ここ数年、出題傾向や難度が一定せず対策が難しい印象もありますが、中学入試の問題として極端に難しい問題はごくわずかなので、基本的な中学入試社会の知識を身に付けることで十分、対応することができます。
また、時事的要素を含む問題に関しては、これまでも出題されていた過去数年の出来事に関わる問題に加え、今までになかった前年の時事を答える問題も出題されていますので、小学校4〜5年生のうちから受験直前まで、常にニュース等に触れる習慣をつけたいところです。
協力:練成会グループ四谷大塚NET
2022年度札幌日本大学中学校A日程の出願状況は、定員105人に対し、出願者数337人、出願倍率3.21倍だった。
札幌日本大学中学校A日程 講評
(練成会グループ四谷大塚NET提供)
国語
大問2題構成(説明文・物語文)は例年どおりです。大問2の物語文の文章のボリュームが大幅に増え(およそ2倍)、一昨年並に戻りました。小問数は25問(2021年度)→24問とあまり変わらないものの、選択肢問題が減少した分、書き抜き問題が3問⇒4問に増え、難易度はやや上がったといえます。また、選択肢は昨年度の4択から5択・6択になり、難易度は上昇。知識分野では漢字の書き問題が復活し、「綿密」「宣伝」といった入試で定番の漢字が出題されています。語句の意味を問う問題がなくなり、代わりに文法問題が2問出題されています。出題頻度の高い接続詞や副詞の出題はありませんでした。
記述については、50字、10字、70字、35字記述がそれぞれ1問出題されました。合計の字数は昨年よりも減りましたが、いずれも文章を正確に読み取る力が要求される問題で、難易度は上がっています。大問1の問7では「この文章は、何について述べている文章か」という文章の要旨を10字前後で記述する問題。大問2の問3の70字以内の記述問題は、2人の違いを対比させて説明する問題。「Aは…が、Bは…。」という形で書けるかがポイント。大問2の問6の35字以内の記述問題は登場人物のようすから心情を読み取る問題で文章中のヒントが少なく解きにくい問題でした。
大問1:説明文
山﨑広子「声のサイエンス あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか」
漢字の書き問題が復活。文法は「連体詞、副詞の判別」が出題。問5(1)は45〜55字以内で抜き出す問題。問題文中にある「実験の結果をふまえて」「どのような心の動きが起きるのか」といった条件に当てはまる部分を傍線前後から探すことが求められます。また、問6では6つの選択肢から適切なものをすべて選ぶ問題。文章の細部まで見て、文章に反する内容や書かれていない内容を消していく方法で確実に解ける問題です。
大問2:物語文
神戸遥真「ぼくのまつり縫い 手芸男子は好きっていえない」
問1で出題された「れ」の用法は難易度が高く、受験生にとっては差にならない問題です。問2は毎年出題されている語句の意味を問う問題。問4、5、7、8、9はすべて選択問題。文章全体というよりは、その場面ごとで登場人物の心情を読み取ることが求められていますが、選択肢はそれほど難しくなく、ストーリー展開をおさえれば×となる選択肢も見抜けるはずです。
<合格に向けてのポイント>
(1)知識分野
漢字は5問出題されましたが、書けないものがあっても心配ありません。標準レベルの漢字が書けるように日々の練習を怠らないようにしましょう。文法問題で差がつくことはありませんが、基本的な知識だけは押さえておきましょう。今年出題されなかった語句の意味は今後も要注意です。
(2)文章読解スピードを鍛える
文章量が増加したことと、選択肢が5択や6択になったことで、時間配分(60分)を意識した学習が必要となります。ただし、大切なことは「なぜ答えがそうなるのか」という勉強の繰り返しを行うことです。すべての問題の中で間違えた問題だけでなく、正解した問題も答えの根拠をしっかり確認しながら勉強しましょう。
(3)要旨をとらえる
70〜80字以内の記述対策として、繰り返しの表現や言い換えの部分はしっかりチェックし、まとめるトレーニングをしましょう。また、記述は(1)模範解答と自分の解答を比較、(2)なぜ×なのか、どこが足りない(多い)のかを自分でチェック、(3)第三者(先生)に必ず添削してもらう、の3つを忘れないようにしてください。特に(3)は大切です。客観的な目で判断してもらうことが「伝わる答案を仕上げる力」を養うための近道となります。
算数
大問6題、小問24題は例年通り。難易度は前年度とほぼ同程度で、基本的な内容からの出題となっています。平均点は昨年よりやや高くなると予想されます。また、2019年以来3年ぶりに記述問題が出題されました。
大問1:計算問題
前年度の3題から1題増えています。分数・小数の計算が中心です。4題目の計算は長い分数の計算となっており、丁寧な計算が求められます。日頃から計算練習は受験校に関わらず必要不可欠です。
大問2:小問集合
場合の数、和と差の問題、比の文章題、通過算、食塩水、平面図形、立体図形で、昨年度とほぼ同様の出題範囲です。基本的な内容からの出題となっていますが、速さや食塩水は考え方・解き方が定着していないと得点できない問題のため、日ごろから重要事項の確認が必要です。
大問3:図形
平面図形・立体図形の単問5題。角の3等分線、面積比を使った問題が2題、水量変化の問題が1題、円柱にひもを巻き付ける問題1題です。解き方を単純に暗記するだけでは正解までたどり着くことはできず、理解して道筋をとどって行く解き方が求められます。
大問4:和と差の文章題・グラフ
運送会社で荷物と費用と重さ・距離の関係をグラフと表の両方から読み取らなくてはいけない問題です。グラフと表の両方から、隠れた「距離と費用の関係」を見つけなくてはならず、正解するためには時間がかかると思われます。
大問5:数の性質
バーコードの数字からの出題です。2019年度入試以来3年ぶりに考え方を記述する出題がありました。過去には公立中高一貫校でも出題されています。バーコードに関する知識は不要で、長い文章の中に説明がなされています。単純に計算だけの記述ではなく、計算結果によっての状況判断まで答えなくてはいけません。そのためには文章中に書かれたことを正しく理解する必要があります。
大問6:速さ
人と往復するバスの時間と距離の関係からダイヤグラムを用いると整理がしやすくなります。速さの問題では定番で、文章を読んだときにグラフや図を書いて考えることができた受験生は多かったと予想されます。
<合格に向けてのポイント>
(1)毎日の計算練習を積み重ねる
日ごろから計算練習こそが合格点突破に必要です。
(2)受験で頻出事項の定着
図形、割合と比、速さ等は頻出事項です。考え方、切り口等普段の学習の中でしっかりと理解しながら進めましょう。単なるとき方の暗記では対応できない問題も多くあります。
(3)答えだけなく考え方も重要
答えがあっているだけでなく、考え方が相手に伝わるような書き方を意識しましょう。そのためにはノートの書き方等にも工夫が必要です。
理科
昨年より1つ増えて大問5問となりましたが、全体の小問数はやや減って32題で、そのほとんどが選択問題です。2021年度以前は用語記述が5・6題出題されていましたが、2022年度は1問も出題されていません。その代わり今まで出ていなかった「ばね」に関するグラフの作図問題の出題がされています。全体的に昨年以前もそれほど難しい問題はありませんが、2022年度も基本的な問題で構成されており、平易な内容となっています。以下が出題の特徴です。
大問1
いろいろな生物に関する問題で、ペンペングサと呼ばれる植物、花のつくり、昆虫の冬越しのすがた等、基本的な問題が多く見られます。外来生物のヒアリが出ていましたが、話題になったのがかなり前の話なので忘れていた生徒も多いかと思われます。また、自然に風に乗って種が運ばれたものは外来生物ではないという問題も差がつきそうです。
大問2
天体分野の月の見え方の問題です。地球の自転の向きや公転の向き、月の形と位置の関係等、ほとんどがよく見られる基本問題です。やや難しいのは満月の南中高度が一番高くなる日と、他の国での月の見え方です。札幌で上弦の月が見られたときに、南半球の国ではさかさまに見えることに気づいた生徒はそれほど多くなかったように思われます。
大問3
化学全般で、水溶液の特徴や状態変化に関する問題です。特に溶解度に関する問題はほぼ毎年のように出題されていますので、しっかりと演習しておく必要があります。何度まで冷やすと結晶がでてくるのか、また何gの結晶が出てくるのかといった計算問題で差がつきそうです。また、塩酸にある気体をふきこみ、加熱後に固体が残るような気体は何かという問題が出題されましたが、酸とアルカリで中和反応が起こり、塩ができることがわかればできる問題です。
大問4
物理で、電流の問題です。この大問がやや難しめと思われます。前半は単純な豆電球と回路の問題でしたが、途中から乾電池が3個のうち1個だけ逆になっている問題が出題されています。1個だけ逆にしても残りの2個が電流を流すことがわかれば解ける問題ですが、電池の数を増やして向きを変える問題はあまり見かけないので差がついたと思われます。
大問5
物理で、ばねの問題です。おもりの重さとばね全体の長さの関係をグラフに表す作図問題が出題されています。条件をよく読み正しい作図できれば、他の問題のヒントとしても使える構成になっています。ただ、最後の問題はてんびんの計算が入ってくるため、難しく感じた受験生も多かったでしょう。
<合格に向けてのポイント>
以前は難問も多く見られましたが、昨年からは基本的な出題が目立ち、一般的な入試問題を徹底して勉強していた生徒には得点しやすいテストとなっています。予習シリーズ等一般的な中学受験用教材との相性が非常に良く、日ごろの学習の成果がそのまま結果に反映される出題でした。
社会
2021年度は大問4題小問34題という形式でしたが、2022年度は大問6題小問42題という形式となり、大問数、小問数ともに増加しました。また、全体の難度も昨年度と比べると上昇しました。そして、昨年度まではリード文のテーマとして触れられる程度だった、前年の出来事に関する時事問題が小問集合の形式で大問1題分出題されましたので、昨年度と同様の出題を想定していた受験生は驚いたかもしれません。
大問1:地理(小問5題)
問1が「バックウォーター現象」等、指定語句5語を用いて答える記述問題でした。時事的要素を含み、指定語句の数も多い記述問題が1問目ということで、驚いたと同時に、苦労した受験生が多いと思います。問3も災害時の避難場所を示すマークに関する問題となっており、問1と同様に直近の話題ではないものの、こちらも時事的要素のある問題と言えます。
大問2:歴史(小問5題)
2021年に開催された東京オリンピックをリード文にした問題でした。難度の上昇に加え、東京以外にオリンピックが開催されたことのあるアジアの都市を選ぶ問題や、1940年に開催予定だった東京オリンピックが実施されなかった理由を選ぶ問題等、オリンピックに関する問題も出題されており、苦労した受験生も多いと思います。
大問3:地理(小問10題)
ラグビーワールドカップをリード文にした問題でした。小問数は多いですが、オーソドックスな問題ばかりだったので大問1・大問2と比べると解きやすかったはずです。
大問4:歴史(小問10題)
日本の歴史上活躍した女性をテーマにした問題でした。大問3同様、オーソドックスな問題ばかりでした。こちらも比較的、解きやすい問題だったと思います。
大問5:公民(小問8題)
国の歳入の円グラフに関して先生と生徒が会話している場面をリード文にした問題でした。時事的要素のある問題として、消費税の軽減税率「8%」を答える問題が出題されました。それ以外の問題も含め、難問はありませんでした。
大問6:時事問題(小問4題)
2021年の時事について小問集合形式の穴埋め問題が4問、出題されました。日大中の過去の傾向にはない形式の問題でしたが、日本の岸田首相やアメリカのバイデン大統領の名前を答えるといった、時事問題としては容易なものばかりでした。
<合格に向けてのポイント>
ここ数年、出題傾向や難度が一定せず対策が難しい印象もありますが、中学入試の問題として極端に難しい問題はごくわずかなので、基本的な中学入試社会の知識を身に付けることで十分、対応することができます。
また、時事的要素を含む問題に関しては、これまでも出題されていた過去数年の出来事に関わる問題に加え、今までになかった前年の時事を答える問題も出題されていますので、小学校4〜5年生のうちから受験直前まで、常にニュース等に触れる習慣をつけたいところです。
協力:練成会グループ四谷大塚NET