巨大キノコの中で暮らしたらどうなるか?科学者が未来の建築資材としてキノコの可能性を模索中

1月25日(土)20時30分 カラパイア

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Reimund Bertrams from Pixabay

 想像して欲しい。あなたがいるその部屋の壁も、床も、天井も、それどころか建物全体や配線・配管の類までキノコでできていたとしたら?

 木材やコンクリートといった建材はもはや過去のものだ。街全体がキノコでできており、成長しては死に、また再生するという大いなる循環の中で人々の暮らしが営まれている——。

 こんなことを考えているのは、ヨーロッパの真面目な学者たちだ。
・未来の建築資材としてのキノコの可能性

   そのビジョンは、未来の建築資材としてのキノコの可能性を調査した世界初の論文、『Emerging Technologies』(12月31日提出)で語られている。

 論文では「生きた真菌の菌糸体を利用して、構造基質を開発するよう提案する」と述べられている。

 このアイデアは、破壊的な温暖化への対応策として考案された。その狙いは、生物素材から成長する建材を使うことで、建築のさいの化石燃料や鉱業への依存を減らすというものだ。

 論文の著者であるオランダ、ユトレヒト大学のハン・ウーステン氏によれば、真菌素材はフォーム状、木材状、ポリマー状、エラストマー状など、幅広い特性を獲得できるという。「木材状の素材を作れるのなら、建築にも利用できるでしょう」とウーステン氏は話す。

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Reimund Bertrams from Pixabay

・生きた建材で実現される循環型経済

 じつはキノコで建物を作ろうというアイデアは新しいものではない。たとえばNASAなども、火星でキノコを育てることができれば、低コストの建材として利用できるかもしれないと考えている。

 だが、従来のアイデアはいずれも、頑丈な建材を作り出すためにキノコを殺す。1本の生きたキノコの中で暮らす可能性が模索されたことはない。

 「我々の素材のウリは、生分解性で、循環型経済実現へ向けた一助になるところです。それと同時に、利用している間に分解しては建材としてはまずいでしょう。この相反する要素はコーティングで対応できます。実際、木材だってオイルで防腐処理をしますよね」とウーステン氏は説明する。

 彼らが目標とするのは、コーティングを施してもなお生きているキノコ建築だ。これでできた建物は、補修や改修が必要になれば、水をやって若返らせることで、さらに成長させ、実施される。

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Enrique Meseguer from Pixabay

・キノコの内部ネットワークを配管や配線に利用

 また、このコーティングを利用することで、キノコ内部のネットワーク構造を配管や配線として最大限に活用することができる。

 ただし、このアイデアは、あくまで理論上のものであることに注意が必要だ。

 研究グループの1人、イギリス、西イングランド大学のアンドリュー・アダマツキー氏は、現在キノコを使った神経形態学的回路などの開発に取り組んでいるが、従来の配線の方が安上がりで、楽であることは認めている。

 しかし、従来の回路にはない「自己成長、自己構築、自己修復」といった特徴は大いに魅力的である。

 「難題ですが、建物が成長、自己修復、適応する方法や、地産地消の建材で従来の建築ではかかってしまう運送や生産上のエネルギーを最小限にする方法を模索するチャンスです」とデンマーク王立美術院のフィル・エアーズ氏は話す。

 彼らが目指すのは、建築の循環型経済だ。

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dottedhippo/iStock

References:These Researchers Want You to Live In a Fungus Megastructure/ written by hiroching / edited by parumo

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